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15年度予算案を閣議決定、社会保障費は29兆4505億円-前年度比3.2%増

2015.1.15.(木)

2015年度予算案が14日、閣議決定されました。歳出総額は96兆3420億円で、アベノミクスを推進し、経済再生と財政再建の両立が最重要項目に掲げられています。

厚生労働省所管分のうち、一般会計は29兆9146億円で、前年度当初予算に比べて8693億円(3.0%)の増額となっています。予算案の編成過程で焦点になった介護報酬改定については、関連記事をご参照ください。

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15年度の厚労省予算(一般会計)は29兆9146億円。うち社会保障関係費は29兆4505億円で、前年度当初予算に比べて9231億円・3.2%の増額

15年度の厚労省予算(一般会計)は29兆9146億円。うち社会保障関係費は29兆4505億円で、前年度当初予算に比べて9231億円・3.2%の増額

このうち社会保障関係費は29兆4505億円で、前年度に比べて9231億円(3.2%)の増額で、制度別には下図の通りとなっています。

社会保障関係費の内訳、医療が11兆4891億円で39.0%を占め、介護は2兆7592億円で9.4%を占める

社会保障関係費の内訳、医療が11兆4891億円で39.0%を占め、介護は2兆7592億円で9.4%を占める

 

地域医療介護総合確保基金は医療分904億円、介護分724億円

厚労省予算案の最重点事項である「社会保障の充実・安定化」には、消費税率を5%から8%に引き上げた増収分(15年度は8.2兆円)がすべて充てられます。具体的には、▽地域医療介護総合確保基金(医療分)904億円▽14年度診療報酬改定における消費税財源の活用分392億円▽地域医療介護総合確保基金(介護分)724億円▽15年度改定における介護職員の処遇改善等1051億円▽在宅医療・介護連携、認知症施策など地域支援事業の充実236億円▽難病・小児慢性特定疾病への対応2048億円▽国保への財政支援の拡充1864億円-などです。

社会保障の充実に向けた施策として、「地域医療介護総合確保基金」や「難病対策」等の経費を計上

社会保障の充実に向けた施策として、「地域医療介護総合確保基金」や「難病対策」等の経費を計上

社会保障の充実に向けて、消費税を5%から8%に引き上げたことによる増収分(15年度は8.2兆円)をすべて充てる

社会保障の充実に向けて、消費税を5%から8%に引き上げたことによる増収分(15年度は8.2兆円)をすべて充てる

地域医療介護総合確保基金は、14年度に設けられた「新たな財政支援制度」です。15年度から介護事業も対象となり、「地域密着型特別養護老人ホーム等の地域密着型サービスの施設整備に必要な経費」「介護施設の開設準備に必要な経費」「特別養護老人ホーム多床室のプライバシー保護のための改修など、介護サービス改善のための改修経費」「介護従事者確保対策」などに補助が行われます。

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地域医療構想の作成、都道府県担当者向けに研修

医療・介護に関係の深いこのほかのメニューを見てみましょう。

◆医療提供体制の機能強化

▽地域医療構想を作成するため、都道府県庁の全体を統括する者への研修を行う(1100万円)

▽女性医師が働きやすい環境の整備に向けて、女性医師の支援に先駆的に取り組む医療機関を「女性医師キャリア支援モデル推進医療機関」に位置付け、効果的支援策モデルの普及啓発を行う(2100万円)

▽救急医療体制の整備を図るため、重篤な救急患者を24時間体制で受け入れる救命救急センターなどへ財政支援を行う(50億円ほか)

▽ドクターヘリの導入促進(50億円)

▽周産期医療体制を整備するため、総合周産期母子医療センター・地域周産期母子医療センターのNICU(新生児集中治療室)やMFICU(母体・胎児集中治療室)などへ支援を行う(7500万円ほか)

▽へき地保健医療対策の推進(38億円)

▽災害医療体制の充実(8億円)

◆医療・介護連携の推進

退院などに伴って医療保険から介護保険に移行した患者について、医療と介護の双方のレセプトを分析を通して実態を把握するとともに、今後、解消する必要がある医療・介護サービスの課題を把握する。また、医療・介護連携を効率的に進めている先進事例を基に、実践的なモデルを作成します(3800万円)。

◆予防健康管理の推進

医療・介護など社会保障関連の費用の高騰が財政を圧迫していると指摘され、医療提供体制や医療保険の改革論議が進められています。この点、政府は「医療・介護費のパイ」そのものの縮小化を狙い、医療保険者による予防健康管理の推進を図る考えです。

▽「データヘルス計画」の策定や、計画に基づく事業実施結果の評価・分析などを行うとともに、先進的保健事業の横展開を図る(7.6億円)

▽医療機関と連携した糖尿病性腎症患者の重症化予防を実施するとともに、後発医薬品の使用促進を徹底する(5.1億円)

▽糖尿病の疑い患者を対象に、メタボ改善のための健康増進施設などを活用した「宿泊型新保健指導プログラム」を試行する(6400万円)

▽レセなどの情報により選択した重複受診者らに対し、保健師らの訪問指導による適正受診促進や、薬剤師らの訪問指導による医薬品の使用の適正化を推進する(1.9億円)

◆認知症施策の推進

「認知症施策推進5か年計画」(オレンジプラン)を新たな総合戦略に改め、早期診断・早期対応を軸としたシームレスな医療・介護提供体制を構築します(48億円)。具体的には、▽認知症初期集中支援チームを316か所に増設(前年度は100か所)▽認知症地域支援推進員を580か所に配置(同470か所)▽認知症疾患医療センターを366か所に増設(同300か所)-を実施します。

また、▽若年性認知症への総合的な支援(6.4億円)▽認知症をきたす疾患それぞれの病態解明や、粗暴行動などBPSDを引き起こすメカニズムの解明による予防・診断・治療・リハビリの研究推進(6.8億円)-なども行います。

◆チーム医療の推進

「特定行為に係る看護師の研修制度」の実施に向け、指定研修機関の確保、指定研修修了者の計画的養成、指導者育成への支援を行います(2.7億円)。

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◆医療事故調査制度の実施

医療事故の調査結果を収集・分析し、再発防止のための普及啓発を行うことで医療安全確保に資する民間の第三者機関(医療事故調査・支援センター)の運営に必要な経費を支援します(5.4億円)。

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◆専門医に関する新たな仕組みの構築

新たな専門医に関する仕組みが円滑に構築されるよう、総合診療専門医や小児科、救急などの専門医で地域医療に配慮した養成プログラムの作成を支援します(3億円)。

 

医療の国際展開を進めるため、医療政策の有識者を派遣

◆医療の国際展開

わが国の医療政策に関する有識者の派遣、研修生の受け入れを、国立国際医療研究センターを拠点として実施するとともに、外国人患者の受け入れ体制の充実や、国際機関への協力を通じた保健医療政策に関する人材育成プログラムの作成・実施などを推進します(8億円)。

◆革新的医薬品・医療機器の創出

世界最高水準の医療提供に必要な研究開発、実用化を進めるために、▽創薬支援ネットワークを活用した創薬支援を推進(67億円)▽医療現場と医療機器メーカーが協力した臨床研究・治験を実施する仕組みを整備(24億円)▽早期・探索的臨床試験拠点や、臨床研究品質確保体制整備病院における臨床研究・治験を推進(17億円)▽再生医療実現化ハイウェイ構想(28億円)▽ゲノム医療実現化プロジェクト(1.5億円)▽ジャパン・キャンサーリサーチ・プロジェクト(87億円)▽患者申出療養(仮称)の創設や保険外併用療養の新展開に対応するための調査を実施(1.5億円)-などを実施します。

◆医療保険制度の運営確保

国保の都道府県単位化に備え、財政支援の拡充(832億円)や財政安定化基金の創設(200億円)などの措置を行います。

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◆介護サービスの充実

上述の「社会保障の充実」や「認知症施策の推進」のほか、▽地域支え合いセンターの整備(9.6億円)▽低所得者高齢者の住まい・生活支援の推進(1.1億円)▽福祉用具・介護ロボットの実用化支援(8200万円)▽介護保険制度改正に伴うシステム改修(44億円)-などを行います。

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