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診療報酬改定セミナー2024 看護モニタリング

わが国の男性がん患者、胃がんを抜き大腸がんが最多に―2013年国がん調査

2015.8.4.(火)

 わが国のがん患者を部位別に見ると、男性では大腸がんが胃がんを抜いて最多で、女性では乳がんと大腸がんの患者数が急増している―。このような集計結果を国立がん研究センターが3日、発表しました。

女性では、胃がんと大腸がんの増加率が高い

 これは、全国409のがん診療連携拠点病院における2013年の診療実績(院内がん登録)を集計したもので、症例数は65万6272例で、わが国全体のがん罹患数の約70%に当たります。

 1施設当たりの登録数(中央値)は1398症例ですが、最少は158症例、最多は9339症例で、拠点病院間でも症例数に大きな差があることが浮き彫りになりました。

2013年のがん診療連携拠点病院における院内がん登録の症例数は1施設当たり1398例(中央値)だが、最小値は158症例、最大値は9339症例と大きな幅がある

2013年のがん診療連携拠点病院における院内がん登録の症例数は1施設当たり1398例(中央値)だが、最小値は158症例、最大値は9339症例と大きな幅がある

 男性の5大がん(胃、大腸、肝臓、肺、前立腺)の症例数を見ると、▽胃がん5万2807例▽大腸がん5万5601例▽肝臓1万7266例▽肺がん5万255例▽前立腺がん5万257例―となり、07年の集計スタート以来、初めて大腸がんが胃がんを抜き、最多となりました。

男性の5大がん(胃、大腸、肝臓、肺、前立腺)の症例数を見ると、2013年には初めて大腸がんが最多となった

男性の5大がん(胃、大腸、肝臓、肺、前立腺)の症例数を見ると、2013年には初めて大腸がんが最多となった

 また女性の5大がん(胃、大腸、肝臓、肺、乳房)の症例数を見ると、▽胃がん2万2458例▽大腸がん3万6929例▽肝臓7394例▽肺がん2万2762例▽乳がん6万4552例―となっています。順位に変動はありませんが、胃がんと大腸がんの増加率が高いことが分かります。

女性の5大がん(胃、大腸、肝臓、肺、乳房)の症例数を見ると、胃がんと大腸がんの増加が著しい

女性の5大がん(胃、大腸、肝臓、肺、乳房)の症例数を見ると、胃がんと大腸がんの増加が著しい

 男女合計で見ると、大腸がんが最も多く全体の14.1%、次いで胃がん11.6%、肺がん11.2%、乳がん10.0%、前立腺がん7.7%、子宮頸がん3.8%、肝臓がん3.7%と続きます。上位5位までの傾向は09年から変わっていません。

男女合計で見ると、大腸がんが最も多く14.1%、次いで胃がん11.6%、肺がん11.2%、乳がん10.0%、前立腺がん7.7%、子宮頸がん3.8%、肝臓がん3.7%と続く

男女合計で見ると、大腸がんが最も多く14.1%、次いで胃がん11.6%、肺がん11.2%、乳がん10.0%、前立腺がん7.7%、子宮頸がん3.8%、肝臓がん3.7%と続く

大腸がん、同じステージでも治療法にばらつき

 大腸がんについて、少し詳しく見てみましょう。

 治療前のステージ別登録数の割合は、13年は▽0期14.7%(前年比1.0ポイント増)▽I期20.8%(同0.3ポイント減)▽II期15.9%(同0.5ポイント減)▽III期18.5%(同0.1ポイント増)▽IV期13.3%(同0.4ポイント減)▽不明16.8%(同0.1ポイント増)―という状況です。

 一方、術後病理学的ステージ別の登録者数の割合は、▽0期29.5%(前年比1.7ポイント増)▽I期20.1%(同0.4ポイント減)▽II期20.0%(同0.9ポイント減)▽III期19.1%(同0.3ポイント減)▽IV期8.6%(同0.4ポイント減)▽不明0.3%(前年から増減なし)―などとなっています。

 治療前のステージ別に見た治療方法の割合は、次のようになりました。

▽0期(1万1499症例):内視鏡のみ86.6%、手術のみ8.6%、手術と内視鏡2.8%、治療なし0.9%、手術(または内視鏡)と薬物0.5%など

▽I期(1万6275症例):手術のみ63.9%、内視鏡のみ14.0%、手術(または内視鏡)と薬物12.0%、手術と内視鏡5.1%、治療なし3.5%など

▽II期(1万2414症例):手術のみ65.8%、手術(または内視鏡)と薬物27.3%、手術(または内視鏡)と放射線と薬物1.9%、治療なし1.9%など

▽III期(1万4493症例):手術(または内視鏡)と薬物44.4%、手術のみ47.8%、手術(または内視鏡)と放射線と薬物3.1%、治療なし1.4%など

▽IV期(1万447症例):手術(または内視鏡)と薬物45.1%、手術のみ21.0%、薬物療法のみ15.6%、治療なし9.8%、手術(または内視鏡)と放射線と薬物1.6%など

▽不明(1万3187症例):内視鏡のみ74.6%、手術のみ12.7%、手術(または内視鏡)と薬物4.3%、手術と内視鏡3.8%、治療なし3.3%など

大腸がんのステージ別に見た治療方法の割合(単位%)

大腸がんのステージ別に見た治療方法の割合(単位%)

 ステージによって治療法の選択肢が大きく異なることだけでなく、同じステージでもさまざまな治療法が選択されていることが分かり、さらなる分析が待たれます。

乳がん治療、手術に加え薬物・放射線の活用が主流に

 次いで乳がんについて見てみましょう。

 治療前のステージ別登録数の割合は、2013年は▽0期14.5%(前年比0.5ポイント増)▽I期39.4%(同0.6ポイント減)▽II期32.2%(同0.3ポイント増)▽III期7.6%(前年から増減なし)▽IV期4.9%(同0.1ポイント増)▽不明1.5%(同0.1ポイント減)―となりました。

 一方、術後病理学的ステージ別の登録者数の割合は、▽0期14.1%(前年比0.2ポイント増)▽I期39.5%(同0.6ポイント増)▽II期24.9%(前年から増減なし)▽III期5.9%(同0.1ポイント減)▽IV期0.3%(前年から増減なし)▽不明0.4%(同0.1ポイント増)―などとなっています。

 治療前のステージ別に見た治療方法の割合は、次のような状況です。

▽0期(6797症例):手術のみ45.46%、手術(または内視鏡)と薬物19.1%、手術(または内視鏡)と放射線18.4%、手術(または内視鏡)と放射線と薬物13.7%など

▽I期(1万8491症例):手術(または内視鏡)と放射線と薬物40.9%、手術(または内視鏡)と薬物38.1%、手術のみ12.5%、手術(または内視鏡)と放射線5.0%など

▽II期(1万5118症例):手術(または内視鏡)と薬物52.6%、手術(または内視鏡)と放射線と薬物28.9%、手術のみ10.0%、薬物療法のみ5.3%など

▽III期(3576症例):手術(または内視鏡)と薬物40.7%、手術(または内視鏡)と放射線と薬物30.4%、薬物療法のみ18.6%、手術のみ6.2%など

▽IV期(2305症例):薬物療法のみ61.7%、放射線と薬物11.8%、手術(または内視鏡)と薬物10.8%、治療なし6.1%、手術(または内視鏡)と放射線と薬物4.6%など

▽不明(706症例):手術のみ25.1%、手術(または内視鏡)と薬物24.7%、手術(または内視鏡)と放射線と薬物18.6%、手術(または内視鏡)と放射線10.6%、薬物療法のみ10.5%など

乳がんのステージ別に見た治療方法の割合(単位%)

乳がんのステージ別に見た治療方法の割合(単位%)

 「手術のみ」の割合が減り、薬物療法や放射線療法を組み合わせた治療法が主流になっていることが分かります。

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