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7対1の重症者割合25%は厳しすぎる、「病棟群別の入院料」は恒久措置にすべき―日病協・楠岡議長

2015.12.18.(金)

 2016年度の次期診療報酬改定に向けて、中央社会保険医療協議会の総会では、7対1入院基本料の施設基準である『重症患者割合』の25%への引き上げを巡る議論が始まっています(関連記事はこちら)。18日に行われた日本病院団体協議会の代表者会議では、複数の病院における簡単な試算を行った結果「25%をクリアできる病院がなかった」ことが分かりました。こうした状況を受け、会議後に記者会見を行った楠岡英雄議長(国立病院機構大阪医療センター院長)は「25%への引き上げは厳しすぎる」と強く訴えています。

 あわせて厚生労働省が提唱する「病棟群別の入院基本料」については、日病協の提唱するものとは趣旨が異なることを指摘し、「少なくとも恒久的な措置でなければ、話に乗ることはできない」とも強調しています。

12月18日の日本病院団体協議会・代表者会議後に記者会見(定例記者会見)に臨んだ、楠岡英雄議長

12月18日の日本病院団体協議会・代表者会議後に記者会見(定例記者会見)に臨んだ、楠岡英雄議長

簡単な試算では「25%をクリアできた病院」は1つもない

 2016年度改定では、一般病棟用の重症度、医療・看護必要について、既存のA項目・B項目の内容を一部見直すとともに、新たに「手術からの経過日数」に着目したM項目を新設。さらに、重症患者の定義を、現在の「A項目2点以上かつB項目3点以上」に加えて「A項目3点以上」、さらに「M項目1点以上」を対象にする、といった方向が固まりつつあります(関連記事はこちら)。

看護必要度のA、B項目を見直すと同時に、手術などの医学的状況を評価する「M項目」を新設、重症者には「A2点以上かつB3点以上」に加えて、「A3点以上」「M1点以上」の患者もカウント(赤線部分が見直し点)

看護必要度のA、B項目を見直すと同時に、手術などの医学的状況を評価する「M項目」を新設、重症者には「A2点以上かつB3点以上」に加えて、「A3点以上」「M1点以上」の患者もカウント(赤線部分が見直し点)

 この見直しによって重症患者の対象が広がるため、現在7対1入院基本料の施設基準である「重症患者割合が常に15%以上」という基準値が引き上げられることになりそうです。厚生労働省は明示こそしていませんが、中医協総会に出された資料からは「25%」への引き上げを考えていることが伺えます(関連記事はこちら)。

重症患者割合の基準値の引き上げと、10対1などから7対1への転換を加味した場合、施設基準を満たせない7対1病院がどれほど出現するかの試算結果

重症患者割合の基準値の引き上げと、10対1などから7対1への転換を加味した場合、施設基準を満たせない7対1病院がどれほど出現するかの試算結果

 日本病院会や全日本病院協会など12の病院団体で構成される日本病院団体協議会(日病協)では、18日に代表者会議を開き、この見直し案について議論を行いました。

 その席で、特定機能病院を含む4-5施設において、厚労省の示した看護必要度項目や重症者の定義見直し案に沿って簡単な試算を行ったところ、「重症者割合が25%を超えた病院は1つもなかった」ことが分かりました。

 代表者会議終了後に記者会見した楠岡英雄議長は、「M項目の全身麻酔手術にどこまでを含むのかなど、細部が明らかになっていないので簡単な試算しか行えていないが、25%をクリアできた病院が1つもないことは深刻だ」との感想を述べた上で、「25%は厳しすぎる」と強く訴えました。代表者会議でも「25%は高すぎる」という点で全員一致しています。

 なお、楠岡議長は「外科についてはM項目などで手厚く評価されるが、内科(特に呼吸器内科)の評価は不十分なのではないか」とも指摘しています。

病棟群別の入院基本料、恒久措置でなければ機能分化に繋がらない

 このように重症者割合の基準値が引き上げられれば、全体で7対1の施設基準を満たすことが難しい病院も数多く出てきそうです。現在は、病院単位で入院基本料を届け出るため、こうした病院は10対1入院基本料などに移行する必要があります。

 しかし、7対1から10対1へのいきなりの移行は、経営的にも、心理的にも難しい面があるため、厚労省は「病棟群別の入院基本料」を中医協総会に提案しました。これは、例えば7対1から10対1へ移行する際のクッションとして、一時的に「7対1病棟群と10対1病棟群の混在」を認めるというものです(関連記事はこちら)。

病棟群単位の入院基本料届け出を認めた場合のメリット

病棟群単位の入院基本料届け出を認めた場合のメリット

 この提案は、日病協が提唱している「病棟群別の入院基本料」に類似していますが、楠岡議長は「似て非なるもの」との見解を強調しました。

 楠岡議長は「日病協の主張は、『病床機能報告制度』の中でも病棟別の機能を報告することになっている点に鑑みて、病棟群ごとの機能に応じた診療報酬上の評価を求めるというものである(つまり機能分化のための方策)。一方、厚労省の提案は『7対1の逃げ道』であり、根本的に異なっている」と説明。

 さらに日病協では、厚労省の「病棟群別の入院基本料」が『一時的』とされている点を強く問題視しているようです。楠岡議長は「仮に7対1と10対1の混在が2年認められたとして、経過措置が終了した2年後には、10対1で統一されると考えられる。これでは機能分化という趣旨とかけ離れてしまう」と指摘しました。

「病棟群を恒久化すれば25%案を検討する余地もある」と楠岡議長

 では、どのような見直し案を日病協は望んでいるのでしょうか。この点、日病協として一致した見解には至っておらず、例えば「重症者割合を●%にすべき」といった部分まで議論は煮詰まっていないようです。

 ただし楠岡議長は、「あくまで個人的見解であり、日病協の見解ではない」と前提を置いた上で、「病棟群別の入院基本料を恒久的な措置とするのであれば、『高機能な病棟である7対1』では重症者割合を25%に引き上げる、という話にも乗ることができるかもしれない」との見解を披露しています。「重症患者が25%以上入院している7対1の病棟群」と「それ以外の10対1の病棟群」に機能分化し、これを恒久的に維持するという構想でしょう。

 

 年明け(2016年)1月から、より細部にわたる改定論議が中医協総会で行われますが、そこに日病協としてどのような姿勢を打ち出すことができるのか、今後の動きに注目する必要がありそうです。

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