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7対1病院、10対1などへの移行見据え「病棟群単位の入院基本料」を認める―中医協総会

2015.12.9.(水)

 日本医師会や病院団体が提唱していた「病棟群単位の入院基本料」を、7対1病院から10対1などへ移行する際のクッションとして一時的に認めてはどうか―。厚生労働省が9日に開かれた中央社会保険医療協議会の総会に、こういった提案を行いました。

 診療側委員はもちろん賛成しており、支払側も「議論の順序に問題はあるが、仕組み自体には必ずしも反対ではない」と述べており、2016年度の次期診療報酬改定において「病棟群単位の入院基本料」が認められることになりそうです。

12月9日に開催された、「第318回 中央社会保険医療協議会 総会」

12月9日に開催された、「第318回 中央社会保険医療協議会 総会」

日医や日病協が「病棟群単位の入院基本料」を要望

 現在、入院基本料の届け出は病院単位でしなければいけません。複数の病棟がある場合に「A病棟は7対1、B病棟は10対1で届け出て、2種類の入院基本料を算定する」ことはできないのです。

現在は、病院単位で一般病棟の入院基本料を算定する

現在は、病院単位で一般病棟の入院基本料を算定する

 また同じ入院基本料を届け出ながら、病棟ごとに看護配置に軽重をつける(例えばA病棟は事実上の5対1、B病棟は事実上の10対1とするなど、傾斜配置)が可能ですが、この場合でも病院全体で看護配置の基準(例えば7対1)を満たしていなければいけません。

病棟間で看護師を傾斜配置することも認められている

病棟間で看護師を傾斜配置することも認められている

 このため、例えば「ある7対1病院で看護師の欠員が出たため、5病棟あるうちの4病棟分は7対1を満たすが、残り1病棟は7対1の看護配置基準にわずかに欠ける」といったような場合でも、この病院では7対1を返上し10対1入院基本料を届け出なければならないのです(一時的な欠員であれば救済措置があります)。

 こうした点について日本医師会や病院団体(日本病院団体協議会)は、「病棟群単位の入院基本料の届け出を認めるべきである」との提言を行っています(関連記事はこちら)。

 上記の例であれば、4病棟をα病棟群として設定して7対1を、残り1病棟をβ病棟群として10対1を届け出ることを認めるものです。

「7対1から移行する際のクッションが必要」と厚労省

 9日に開かれた中医協総会では、厚労省保険局医療課の宮嵜雅則課長から、この「病棟群単位の入院基本料」を一時的な仕組みとして認めてはどうかとの提案が行われました。

 この背景には、別途お伝えするように「重症度、医療・看護必要度など、7対1の施設基準を厳格化する」ことがあります。7対1の施設基準を満たせなくなった場合、(1)10対1などに転換する(2)ダウンサイジング(病床削減)する(3)一部の病棟を地域包括ケアや回復期リハに転換する―ことなどが考えられますが、例えば10対1への転換は「収入の大幅減」を意味するため、人件費を削減するために看護師の整理などをせざるを得なくなります。当然、人員整理は容易に行えませんから、病院経営者はどのような方策を取るべきか、非常に難渋することになります。

 こうした場合、「病棟群単位の入院基本料」が認められれば、それがクッションとなり、10対1への移行が一定程度円滑に進むのではないかと考えられるでしょう。

 宮嵜課長は、次の2つの事例を挙げ、病棟群単位の入院基本料を認めることのメリットを説明しています。

(例1)一部の病棟で重症者が多いような7対1病院では、重症度、医療・看護必要度の基準を満たしやすくなる

(例2)10対1への移行に当たり、看護職員数の変動を緩和できる

(例2)は既に見てきた事例です。(例1)は、多くの病院に当てはまる「病棟ごとに重症者割合が異なる」という点を考慮したものと言えます(関連記事はこちら)。この場合、病棟における患者構成の組換えなども考えられますが、「重症度、医療・看護必要度」の基準が厳しくなると、その対策にも限界に達してしまします。そこで、病棟群別の入院基本料が浮上してくるのです。

病棟群単位の入院基本料届け出を認めた場合のメリット

病棟群単位の入院基本料届け出を認めた場合のメリット

 ところで宮嵜課長は、この提案を「一時的な仕組み」「一部の病棟に限る」ことも併せて説明しています。前者からは「経過措置である」、後者からは「完全に自由な病棟群を設定することは認められない」仕組みとなることが伺えます。詳細は、年明けまで待つ必要があります。

 また「病棟群単位の入院基本料」を届け出られるのは、「既に7対1を届け出ている病院」に限定される見込みです。したがって、10対1病院で、一部の病棟に看護師を厚く配置し、7対1と13対1を届け出るといったことは想定されていません。

重症度、医療・看護必要度と病棟群は密接に関連

 この提案に対し、診療側委員は当然、賛意を示しています。さらに中川俊男委員(日本医師会副会長)は、「病棟群単位の入院基本料を認めることで、7対1のベッド数は減少することになろう」とも見通しました。

 まだ万代恭嗣委員(日本病院会常任理事)は、「一時的なものに止まらず、将来的にも認めるべき制度である」とコメント。松原謙二委員(日本医師会副会長)も「7対1を創設した際に、病院単位でなく病棟群単位にすれば、過剰な看護師の抱え込みが生じなかった」と述べ、万代委員と同様に恒久的な制度にすべきとの考えを示しました。

 一方、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)や平川則男委員(日本労働組合総連合会総合政策局長)は「拒否はしない」と述べ、病棟群単位の入院基本料に一定の理解を示しました。ただし、「先に施設基準(重症度、医療・看護必要度など)の方向を決め、その上で、その上で病棟群などをどう設定していくのかを議論すべき」と要望しています。

 この点、別稿でお伝えするように、「重症度、医療・看護必要度をどのように見直すのか」は、「病棟群をどのように設定するか」と密接に関連するため、両者はセットで議論されることになりそうです。

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