Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

消費税率10%時に介護報酬でどのような対応をすべきか、介護給付費分科会がヒアリングを実施

2016.2.4.(木)

 消費税率10%への引き上げに向けて、介護報酬でどのような対応をすべきなのか―。こうした点について日本医師会や全国老人福祉施設協議会、全国老人保健施設協会などから意見を聴取していくことが、3日に開かれた社会保障審議会の介護給付費分科会で決まりました。

 消費税率は来年(2017年)4月から10%に引き上げられる予定で、仮に介護報酬で対応するとなると、今年(2016年)中に方針を固める必要があります。分科会では3月中を目途に意見聴取を行い、今後の議論のベースにする考えです。

2月3日に開催された、「第127回 社会保障審議会 介護給付費分科会」

2月3日に開催された、「第127回 社会保障審議会 介護給付費分科会」

3月目途に関係団体からヒアリング、書面での意見陳述も可能

 公的介護サービスについては消費税が非課税とされているため、介護事業所・施設が設備投資や備品購入などの際に支払った消費税を利用者に転嫁することはできません。消費税率が引き上げられた場合、介護事業者の消費税負担が重くなるため、前回の消費増税(5%→8%)の際には、通常の介護報酬改定と合わせて特別のプラス改定(消費税負担を補填するため)が行われました。

 来年4月には消費税率が10%に引き上げられる予定ですが、その際にどういった対応をとるのかが重要課題となっています。仮に前回と同様に介護報酬のプラス改定を行うとすれば、その改定内容などを介護給付費分科会で議論する必要があります。

 分科会では議論の基礎資料を得るために、(1)消費税率が8%に引き上げられた際に介護報酬プラス改定を行ったが、それをどう評価しているか(補填は十分か)(2)消費税率が10%に引き上げられる場合、どのように対応すべきと考えているか―の2点について、関係団体から意見を聴取(ヒアリング)することにしたものです(関連記事はこちら)。

 ヒアリングの対象は、▽全国老人福祉施設協議会▽全国老人保健施設協会▽日本医師会▽日本慢性期医療協会▽全国特定施設事業者協議会▽日本看護協会▽健康保険組合連合会―など28団体。

 厚生労働省老健局老人保健課の佐原康之課長は、「今月(2月)中には各団体に案内を出し、3月中(日程調整の関係で4月に入ることもありうる)を目途にヒアリングを行いたい」と説明しています。「書面での意見陳述」や「意見なし」と回答することも可能で、前回改定時には、実際に会議に出席して意見を述べたのは7団体に、書面での意見陳述も4団体でした。

 ヒアリングは、介護給付費分科会の下部組織である「介護事業経営調査委員会」で行われ、一部の分科会委員もオブザーバーとして参加する見込みです。

2018年度改定に向け、2014・15の2年度分の経営状況を調査

 3日の介護給付費分科会では、2016年度の介護事業経営概況調査の概要も固められました。

 介護報酬改定をする際、介護事業所・施設の経営実態を把握する必要があります。経営面が非常に厳しいサービスがあれば、そこに補填する必要などがあるためです。

 経営実態の把握には、「介護事業経営概況調査」と「介護事業経営実態調査」の2つが活用されますが、分科会では「より正確な経営実態を把握する必要がある」と考え、▽概況調査は前回改定を挟んだ2年分とする(従前は1年分)▽実態調査は改定後2年目の1年分とする(従前は1か月分)▽キャッシュフローを一定程度把握する―などの見直しを行うことを決めました(関連記事はこちらこちら)。

 厚労省はこの見直し方針に基づいて具体的な調査設計を行い、3日の分科会に提示。分科会はこれを了承しています。

 調査は次のように行われます。

▽調査対象は「2014年度」と「2015年度」の決算額とする(従前であれば、2015年度の決算額のみであった)

▽すべての介護サービスを対象に一定割合の事業所・施設を抽出し、そこを調査対象とするが、事業所数の少ない定期巡回・随時対応型訪問介護看護などは全事業所を調査対象とする(過去の調査で回答率が低かった短期入所生活介護などでは、抽出率を上げて、回答数の確保を目指す)

▽調査項目は「収入」「支出」「サービス提供の状況(利用者数や利用者の要介護度など)」「居室・設備などの状況」「職員配置」「職員給与」などとする

 このうち支出については、新たに「設備資金借入金元金償還金支出」「長期運営資金借入金元金償還金支出」が調べられます。

 これは「簡易にキャッシュフロー(資金繰り)を把握する」ことが目的で、厚労省は「収入と減価償却費から長期借入金の返済分を除けば、事業所・施設の資金繰りは一定程度把握できる」と説明しています。これまで「建物などの整備に関する借入金の返済」が議論の中心でしたが、「運営に関する長期借入金の返済」も対象となっています。

 こうした「長期借入金返済額」の調査対象は、▽介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)▽介護老人保健施設▽介護療養型医療施設▽短期入所生活介護▽特定施設入居者生活介護▽小規模多機能型居宅介護▽認知症対応型共同生活介護▽地域密着型特定施設入居者生活介護▽地域密着型介護老人福祉施設▽看護小規模多機能型居宅介護(旧、複合型サービス)―の10類型のみで、他のサービス(訪問介護や訪問看護など)は回答の必要はありません。

 なお佐原老人保健課長は、回答率を上げるために「過去の調査で記入不備が目立った部分については記入要領を充実する」「WEBで回答する場合にはエクセルの機能による誤記入が分かりやすくなる(例えば内訳の数値を間違えると、合計に反映され、記入者自身が誤りに気づける)」ような配慮をしていることを強調しています。

  

 今後、総務省の審査を経て調査票などが対象事業所・施設に発送されます。事業所・施設は5月末までに調査票に記入の上、投函する必要がありますが、仮に締め切りを過ぎても提出が可能です。

【関連記事】
介護経営実調など調査対象期間を延長し、長期借入金の返済支出も調査することを決定―介護給付費分科会
介護施設などの「資金繰り」把握に向け、介護経営実態などで長期借入金の返済額も調査―介護事業経営調査委員会
14年度介護報酬改定で消費増税補填は適切に行われたか、調査の必要性低い―介護給付費分科会
「介護事業経営実調でCF把握すべき」、調査委員会と意見分かれる―介護給付費分科会
改定前後2年分と改定後2年目のデータから介護事業所の経営状況把握を―介護事業経営調査委

病院ダッシュボードχ 病床機能報告