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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

前方・後方連携を強化し、在院日数短縮と利用率向上の実現を―病院報告、15年10月分

2016.2.9.(火)

 2015年10月には、一般病床の平均在院日数が前月に比べてわずかに短縮し(0.4日減)、病床の利用率も減少(3.6%減)してしまった―。こうした状況が、9日に厚生労働省が発表した2015年10月分の病院報告から明らかになりました。

 「平均在院日数を短縮する」とともに「病床利用率を高める」ことが理想ですが、集患などに苦戦し、在院日数の短縮がそのまま利用率に低下に結びついてしまっています。

一般病床、前方・後方連携に一層力を入れる必要

 厚労省は毎月、(1)1日平均患者数(2)平均在院日数(3)月末病床利用率―を集計し、「病院報告」として公表しています。2015年10月の状況は次のようになっています。

 (1)の1日平均患者数は、病院全体では入院124万4343人(前月比3560人、0.2%増)、外来142万1323人(同6万8585人、5.1%増)で、入院は微増、外来は一定程度の増加となりました。

 診療所の療養病床については、入院6298人(同97人、1.5%減)となっています。

 病院の一般病床に焦点を合わせると、入院患者数は66万3662人で、前月に比べて7317人・1.1%減少しました。また、病院の療養病床では、入院患者数は28万8854人で、前月に比べて1710人・0.6%とわずかに減少しました。

2015年10月、病院では入院患者数は微増、外来患者数は相当増となった

2015年10月、病院では入院患者数は微増、外来患者数は相当増となった

 

 (2)の平均在院日数については、病院全体では28.4日で、前月から0.9日短縮しました。昨年(2015年)7月以降、在院日数が少しずつ伸びている状況が気になりましたが、ここに来てようやく短縮方向にシフトした格好です。

 病床種別に見ると、▽一般病床16.1日(前月比0.4日減)▽療養病床156.9日(同8.0日減)▽介護療養病床310.5日(同31.5日減)▽精神病床272.7日(同5.4日減)▽結核病床68.5日(同3.0日減)―とすべてで短縮しています。有床診療所の療養病床は106.3日で、前月に比べて0.2日とわずかながら短縮しています。

 何度もお話していますが、在院日数の延伸は、ADLの低下、院内感染リスクの高まり、医療費の増加などの弊害があります。これまで(15年7月以降)、平均在院日数はわずかならが伸びる状況にありましたが、ここに来て短縮が見られたのは歓迎すべきでしょう。ただし、単月の増減だけでなく、長期的な傾向をしっかりと踏まえていくことが最も重要です。

2015年10の平均在院日数、一般病床では前月から0.4日短縮し、16.1日となった

2015年10の平均在院日数、一般病床では前月から0.4日短縮し、16.1日となった

 

 ところで、平均在院日数の短縮は、延べ患者数の減少、つまり病床利用率の低下、減収に繋がります。このため「利用率を維持するために、平均在院日数を延ばす」という現象も一部に生じることがあります。しかし、前述のとおり平均在院日数の延伸は医療にとって好ましいものではないため、「平均在院日数を短縮しながら、病床利用率を上げていく」ことが理想的です。

 (3)の月末病床利用率に目を移すと、病院全体では77.1%で、前月に比べて2.1ポイント減少してしまいました。

 病院の病床種別に見ると、▽一般病床70.4%(前月から3.6ポイント低下)▽療養病床87.7%(同0.1ポイント上昇)▽介護療養病床91.5%(同0.1ポイント上昇)▽精神病床85.6%(同0.4ポイント低下)▽結核病床35.6%(同0.8ポイント低下)―となっています。

2015年10月の月末病床利用率、一般病床では低下。平均在院日数の短縮が、そのまま利用率の低下に結びついた可能性がある

2015年10月の月末病床利用率、一般病床では低下。平均在院日数の短縮が、そのまま利用率の低下に結びついた可能性がある

 (2)の結果と合わせると、一般病床については「平均在院日数の短縮が、病床利用率の低下を招いた」ことが分かります。前方連携(地域の診療所や中小病院との連携)による集患を強化し、後方連携(療養病床や介護事業所・施設との連携)による早期退院に、一層力を入れていくことが重要でしょう。2016年度の診療報酬改定でも、この点に関する評価が充実される見込みで、例えば「退院支援加算1」の新設、「退院後訪問指導料」「訪問看護同行加算」(入院医療機関の看護師と、在宅生活をサポートする訪問看護師師が、共同で患者宅を訪問し指導することを評価する)などがあり、これらを活用し、前方・後方連携の強化により一層取り組んではいかがでしょう。

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