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診療報酬改定セミナー2024 看護モニタリング

2018年度の同時改定、「医療・看護必要度」「在宅復帰率」「平均在院日数」の3点をセットで議論―中医協・支払側委員

2016.2.15.(月)

 お伝えしているとおり、2016年度の診療報酬に関する答申を中央社会保険医療協議会・総会が10日に行いました。中医協は答申に併せて、2018年度に予定される診療報酬・介護報酬の同時改定に向けて、「入院医療の機能分化、連携がどのように進んでいるのか」など18項目について調査・検証を行っていくことも決めました。

 また、総会終了後に記者会見を行った支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、7対1入院基本料などについて(1)重症度、医療・看護必要度(2)在宅復帰率(3)平均在院日数―の3項目をセットで議論していく考えを強調しています。

2月10日の中医協総会(答申)後に、記者会見を行った支払側(1号側)委員。向かって左から、吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)、平川則男委員(日本労働組合総連合会総合政策局長)、幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)、花井十伍委員(日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)、石山惠司委員(日本経済団体連合会社会保障委員会医療・介護改革部会部会長代理)、松浦満晴委員(全日本海員組合組合長代行)

2月10日の中医協総会(答申)後に、記者会見を行った支払側(1号側)委員。向かって左から、吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)、平川則男委員(日本労働組合総連合会総合政策局長)、幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)、花井十伍委員(日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)、石山惠司委員(日本経済団体連合会社会保障委員会医療・介護改革部会部会長代理)、松浦満晴委員(全日本海員組合組合長代行)

回復期リハへのアウトカム評価導入、「医療の質」測定の面からも大きな意義

 中医協の支払側委員は10日の総会後に記者会見を行い、2016年度改定についての所感を発表しました。

 幸野委員は、「一部継続課題は残ったが、全体として良い改定内容である」と評価。特に次の項目についてコメントしています。

▽7対1入院基本料の施設基準について、支払側の主張内容と一部異なるが、重症度、医療看護必要度の項目、あわせて重症患者割合の基準値を引き上げるなど、急性期の入院医療をより適切に評価する指標が示されたことは評価できる

回復期リハビリテーション病棟にアウトカム評価が取り入れられたことは、「医療の質」を測る観点からも意義が大きい

▽かかりつけ薬剤師・薬局について、薬局ビジョンを踏まえた観点から調剤報酬の見直しが行われたことや、いわゆる門前薬局の評価を適正化した点は評価できる。期待される機能を発揮し、広く普及することを期待したい

 ただし、幸野委員は「病院、病床の機能分化・連携を強化していくために、将来的には『病床機能報告制度の4機能(高度急性期、急性期、回復期、慢性期)』と『診療報酬』との整合性を求めることが必要である」とし、今後、中医協や社会保障審議会などで議論していくべきと強く求めました。

 なお、2018年度の診療報酬・介護報酬同時改定に向けて、(1)重症度、医療・看護必要度(2)在宅復帰率(3)平均在院日数―の3点を「必ずセット」で議論していくことが必要とも強調しています(関連記事はこちら)。

看護師の離職理由の一つが「夜勤」、負担軽減を図るべきと平川委員

 ところで、2016年度改定では入院基本料の施設基準である「看護師の月平均夜勤72時間」の計算方法が見直されます。この点について支払側の平川則男委員(日本労働組合総連合会総合政策局長)は、「少ない看護師で月夜勤72時間要件を満たせることになるため、看護師を減らす可能性がある。そうなれば一部の看護師の夜勤負担がより過重になる」と中医協総会で指摘しています(関連記事はこちら)。

 さらに平川委員は10日の記者会見の席で、「7対1から看護師が減る可能性があるが、その看護師が、例えばへき地の病院に行くかというと、現実的には難しいのではないか」と述べ、月平均夜勤時間の計算方法見直しをしても、労働力需給のバランスは取れないと見通しています。また平川委員は、「若い看護師の中には『夜勤を積極的にして、給与を上げたい』と考える人もいると思うが、それは大多数ではない。看護師が離職する大きな理由の一つとして、労働条件、とくに夜勤が大きな要素となっており、負担増は避ける必要がある」と強調しています。

18年度の同時改定に向け、中医協は18の調査・検証項目を決定

 診療報酬改定では、医療現場の課題を解決するために項目の新設や点数の増減、施設基準の見直しなどが行われますが、その影響を調査・検証し、以後の改定に活かしてくことも重要です。

 2016年度改定では、「7対1をはじめとする一般病棟用の重症度、医療・看護必要度の見直し」「回復期リハビリテーション病棟へのアウトカムに基づく算定上限の設定」「在宅医療の報酬体系見直し」など、かなり大きな見直しが行われました。このため中医協総会は10日、答申に併せて、こうした見直し項目の影響を調査・検証すべきとの附帯意見をまとめています。意見は18項目に及びますが、次のような項目が目立ちます(関連記事はこちら)。

2月10日に開催された、「第328回 中央社会保険医療協議会 総会」

2月10日に開催された、「第328回 中央社会保険医療協議会 総会」

●入院医療の機能分化・連携の推進などについて調査・検証し、引き続き検討する

▽一般病棟入院基本料・特定集中治療室管理料における「重症度、医療・看護必要度」などの施設基準の見直しの影響(一般病棟入院基本料の施設基準の見直しが平均在院日数に与える影響を含む)

▽地域包括ケア病棟入院料の包括範囲の見直しの影響

▽療養病棟入院基本料など慢性期入院医療における評価の見直しの影響

▽救急患者の状態を踏まえた救急医療管理加算などの評価の在り方

▽退院支援における医療機関の連携や在宅復帰率の評価の在り方

●DPCにおける調整係数の機能評価係数Ⅱの置き換えに向けた適切な措置について検討するとともに、医療機関群、機能評価係数Ⅱの見直しなどについて引き続き調査・検証し、その在り方について引き続き検討する

●かかりつけ医・かかりつけ歯科医に関する評価などの影響を調査・検証し、外来医療・歯科医療の適切な評価の在り方について引き続き検討する

●紹介状なしの大病院受診時の定額負担の導入の影響を調査・検証し、外来医療の機能分化・連携の推進について引き続き検討する

●質が高く効率的な在宅医療の推進について、重症度や居住形態に応じた評価の影響を調査・検証するとともに、在宅専門の医療機関を含めた医療機関の特性に応じた評価の在り方、患者の特性に応じた訪問看護の在り方等について引き続き検討する

●回復期リハビリテーション病棟におけるアウトカム評価の導入、維持期リハビリテーションの介護保険への移行状況、廃用症候群リハビリテーションの実施状況等について調査・検証し、それらの在り方について引き続き検討する

●医薬品・医療機器の評価の在り方に費用対効果の観点を試行的に導入することを踏まえ、本格的な導入について引き続き検討する。あわせて、著しく高額な医療機器を用いる医療技術の評価に際して費用対効果の観点を導入する場合の考え方について検討する

●診療報酬改定の結果検証などの調査について、NDBなどの各種データの活用により調査の客観性の確保を図るとともに、回答率の向上にも資する調査の簡素化について検討し、また、引き続き調査分析手法の向上について検討し、調査の信頼性の確保に努める

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