Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

急性期入院の施設基準、支払側は2018年度改定に向け「マトリックスによる評価」など提案―中医協総会

2016.2.4.(木)

 2016年度の診療報酬改定に向け、中央社会保険医療協議会の総会は一通りの議論を終え、10日予定される答申が待たれます(関連記事はこちらこちら)。3日の総会では、答申附帯意見案が取りまとめられましたが、それに関連して「7対1の施設基準について、診療側と支払側で勉強会を開いていく」方針も固められました。

 支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会副会長)は、「例えば平均在院日数が多少長くても、在宅復帰率が極めて高い場合には施設基準を満たすことにするなど、マトリックスで考える必要がある」との考えを示しています。

2月3日に開催された、「第327回 中央社会保険医療協議会 総会」

2月3日に開催された、「第327回 中央社会保険医療協議会 総会」

診療側委員は「勉強会の開催」を提案

 診療報酬改定の最大の目的は、医療現場の課題を解決するために診療報酬項目や点数、施設基準を見直す(項目の新設や、点数の増減など)ことにあります。毎回、2月中旬に答申という形で厚生労働大臣に対して新点数表案を提出します。

 ただし、診療報酬の項目を新設したり、大幅な施設基準の見直しを行った場合、医療現場に与える影響は必ずしも予測しきれません。この場合には、事後の検証が不可欠です。

 また、議論が熟す前に時間切れとなることもしばしばあります。

 こうした事項について「改定後に検討、検証することが必要」という意見を、中医協総会が答申時に表明することが通例となっています。これが附帯意見と呼ばれるものです。

 2016年度改定に向けては、やはり時間切れとなった項目や、影響を早急に見極めるべき項目があり、次のような附帯意見が取りまとめられました。

▽「重症度、医療・看護必要度」などの施設基準の見直しの影響(一般病棟では平均在院日数に与える影響を含む)を検討する

▽地域包括ケア病棟入院料の包括範囲の見直しの影響を検証する

▽救急患者の状態を踏まえた救急医療管理加算などの評価の在り方、退院支援における医療機関の連携や在宅復帰率の評価の在り方、療養病棟を始め各病棟における患者像を踏まえた適切な評価の在り方、チーム医療の推進などについて検討する

▽DPC調整係数の機能評価係数IIへの置き換えに向けた適切な措置について検討するとともに、医療機関群、機能評価係数IIの見直しなどについて調査・検証の上、検討する

▽紹介状なしの大病院受診時の定額負担の導入の影響を調査・検証し、外来医療の機能分化・連携の推進について引き続き検討する

▽回復期リハビリテーション病棟におけるアウトカム評価の導入、維持期リハビリテーションの介護保険への移行状況、廃用症候群リハビリテーションの実施状況等について調査・検証し、それらの在り方について引き続き検討する

▽医薬品・医療機器の評価の在り方に費用対効果の観点を試行的に導入することを踏まえ、本格的な導入について引き続き検討する

▽著しく高額な医療機器を用いる医療技術の評価に際して費用対効果の観点を導入する場合の考え方について検討する

▽診療報酬改定の結果検証などの調査について、NDBなどの各種データの活用により調査の客観性の確保を図る

 

 このうち特に急性期入院医療について、支払側の幸野委員は「看護必要度(重症度、医療・看護必要度)、平均在院日数、在宅復帰率という施設基準の各項目が縦割りとなっているが、例えば『平均在院日数はやや長いが、在宅復帰率が著しく高ければ施設基準を満たすと考える』といったマトリックスで考えるべきではないか」と指摘、答申後の早い時期にこうした議論を中医協で始めたいと要望しました。

 これに対し診療側の中川俊男委員(日本医師会副会長)も「ある意味で同じ意見である」とし、「支払側と診療側で勉強会を開きたい」と提案しています。

 2018年度には、診療報酬と介護報酬の同時改定が控えており、そこに向けて熱のこもった議論が行われそうです。

切除不能胆道がんへのFOLFIRINOX療法など、保険診療との併用可能に

 なお、この日は次の医療技術について、先進医療として保険診療との併用を認めることが報告されています(先進医療会議で有効性・安全性を確認し、中医協に報告する形)。

●核磁気共鳴画像-経直腸的超音波画像融合画像に基づいた前立腺生検(MRIにおいて、前立腺内部に臨床的に意義のあるがん、いわゆるSignificant cancerと呼ばれる腫瘍体積0.5立法メートル以上のがんが疑われ、超音波において当該病変の確認が困難な患者が対象)

●難治性褐色細胞腫患者に131I-MIBGを用いる内照射療法(褐色細胞腫のうち、▽初発時に原発巣の高度な局所進展を有する▽初発時に遠隔転移を有する▽外科的切除後に局所再発を来した▽外科的切除後に遠隔転移を生じた―もののいずれかで、かつ外科的切除や根治的放射線外照射が不可能なものが対象)

●切除不能または術後再発胆道がんに対するFOLFIRINOX療法

【関連記事】
7対1の重症患者割合、200床以上と未満で2段階に設定へ―中医協総会
月平均夜勤72時間、7対1・10対1以外では「8時間以上の短時間夜勤者」も計算に含める―中医協総会
7対1の重症患者割合、診療側は「20%台前半」「病床規模別の設定」などを要望―中医協総会
7対1などの看護必要度、M項目に脊椎麻酔・救命等に係る内科的治療後の患者も追加―中医協総会
7対1病棟の平均在院日数を短縮すべきかで診療・支払側が激論、結論は持ち越し―中医協総会
7対1の重症患者割合、支払側は「機能分化が確実に進む水準」への引き上げを要望―中医協総会
7対1の重症患者割合、25%へ引き上げ軸に攻防開始、看護必要度にM項目新設―中医協総会
7対1病院、10対1などへの移行見据え「病棟群単位の入院基本料」を認める―中医協総会
【2016年度診療報酬改定総点検1】7対1の施設基準は厳格化の方向、重症患者割合は25%に引き上げられるのか?

病院ダッシュボードχ 病床機能報告