Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
病床機能報告 看護モニタリング

7対1の重症患者割合、200床以上と未満で2段階に設定へ―中医協総会

2016.2.3.(水)

 2016年度の診療報酬改定で注目される「7対1入院基本料の重症患者割合」について、許可病床数200床以上の病院と200床未満の病院で区分し2段階とする―。このような考え方が、3日に開かれた中央社会保険医療協議会の総会に提案されました。

 200床未満の病院では緩やかな基準が設定されますが、病棟群単位の入院基本料と同様に一定の期限が設けられます。

 今回の中医協総会で改定論議は終了し、10日に予定される次回会合で答申が行われ、新点数などが明らかになる見込みです。

2月3日に開催された、「第327回 中央社会保険医療協議会 総会」

2月3日に開催された、「第327回 中央社会保険医療協議会 総会」

200床未満の緩やかな重症患者割合は期限付き

 1月27日の中医協総会に個別改定項目(いわゆる短冊)が示されましたが、その後の中医協論議を経て、3日には短冊の修正版が厚生労働省から提示されました。

 その中で注目されるのが、「7対1入院基本料の重症患者割合」です。重症患者を評価する「一般病棟用の重症度、医療・看護必要度」の項目が見直され(A、B項目の一部を見直し、医学的管理を評価するM項目を新設)、かつ重症患者の対象を拡大(A項目2点以上かつB項目3点以上、A項目3点以上、M項目1点以上のいずれか)することから、重症患者割合の基準値(現在は15%以上)を引き上げる方向で検討が進められています(関連記事はこちらこちらこちらこちらこちら)。

 この引き上げについて、診療側の中川俊男委員(日本医師会副会長)は29日の中医協総会で「基準値を一律に設定するのではなく、状況を見て『病床規模別の設定』や『内科系・外科系に分けた設定』などの配慮をし、現場の混乱を避ける必要がある」と要望していました。

 こうした要望が医療現場の状況を勘案し、厚生労働省保険局医療課の宮嵜雅則課長は、重症患者割合の基準値を許可病床数200床以上と200床未満で区分する考え方を打ち出しました。200床未満の病院では、若干緩やかな引き上げとなります。

 ただし、200床未満の7対1病院がすべて対象になるわけではなく、「病棟群単位の入院基本料を届け出ない」ケースに限られます。このため、病棟群単位の入院基本料と同様の期限が設定されます。

許可病床数200床未満の7対1病院では、病棟群単位の入院基本料を届け出ない場合に限り、一定期間(病棟群単位と同じ期間)、緩やかな重症患者割合が設定される

許可病床数200床未満の7対1病院では、病棟群単位の入院基本料を届け出ない場合に限り、一定期間(病棟群単位と同じ期間)、緩やかな重症患者割合が設定される

 この厚労省提案に対し、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は「今回改定では在宅復帰率は骨抜きとなり、平均在院日数の短縮も盛り込まれず、重症患者割合のみが機能分化を進めるための指標だが、さらに経過措置が設けられる。そうであるなら、200床以上の重症患者割合はかなり高い水準に設定されるべきである」と指摘し、病床規模に応じた2段階設定には異論を唱えませんでした。このため、厚労省提案どおり「200床以上」「200床未満」の2区分で重症患者割合が設定されます。

 

 こうした点を踏まえると、重症患者割合の基準値を満たすことが難しい7対1病院は次のような選択肢の中から対応方針を探ることになります。

(1)10対1などへの移行

(2)7対1の維持

 →7対1病棟群と10対1病棟群とのミックス(期限あり)

 →7対1病棟と一般病棟以外(地域包括ケア病棟や回復期ケア病棟など)とのミックス(500床以上やICU保有などの病院では、地域ケア病棟は1病棟のみとの制限あり)

 →介護老人保健施設などへの一部転換を含めた病床削減

 まず、7対1病院では、7対1を維持するのか、10対1へ移行するのかを考える必要があります。

 7対1を維持しようと考えた場合、「病棟群単位の入院基本料」を届け出るか否かが大きなポイントになります。病棟群単位を選択する場合には、7対1と10対1のミックスが可能ですが、これには期限がある点に注意が必要です。期限後に病院全体で7対1の施設基準を満たせない場合には、10対1に移行しなければいけません。

 病棟群単位を選択しない場合、地域包括ケア病棟などの一般病棟以外とのミックスを探ることになります。ただし、500床以上の病院やICUなどを保有する病院では、地域包括ケア病棟は1病棟しか設置できないので、その効果は限定的です。

 他の入院料などとのミックスが難しい場合には、介護老人保健施設への転換など含め「病床削減」も視野にいれなければいけません。

 なお、病棟群単位を選択しない場合、前述のように200床未満の病院では重症患者割合が一定程度、緩やかに設定されますが、これにも期限があります。したがって期限後には、やはり「地域包括ケア病棟などとのミックス」や「病床削減」を検討しなければいけません。

【関連記事】
7対1の重症患者割合、診療側は「20%台前半」「病床規模別の設定」などを要望―中医協総会
7対1などの看護必要度、M項目に脊椎麻酔・救命等に係る内科的治療後の患者も追加―中医協総会
7対1病棟の平均在院日数を短縮すべきかで診療・支払側が激論、結論は持ち越し―中医協総会
7対1の重症患者割合、支払側は「機能分化が確実に進む水準」への引き上げを要望―中医協総会
7対1の重症患者割合、25%へ引き上げ軸に攻防開始、看護必要度にM項目新設―中医協総会
7対1病院、10対1などへの移行見据え「病棟群単位の入院基本料」を認める―中医協総会
【2016年度診療報酬改定総点検1】7対1の施設基準は厳格化の方向、重症患者割合は25%に引き上げられるのか?

診療報酬改定セミナー2024