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GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

院内に伝えるべきことが伝わる効果的なプレゼン手法とは―病院ダッシュボード入門講座(3)

2016.2.16.(火)

 伝えるべきことが伝わる、効果的なプレゼンテーションの手法とは――。GHCは16日、病院経営の現場スタッフ向けの入門講座を東京都内で開催しました。

 「病院ダッシュボード入門講座」は、「改善のポイントが瞬時に分かる」が開発コンセプトの次世代型病院経営支援ツール「病院ダッシュボード」のユーザーが対象です。特に、導入間もないユーザーに向けたプログラムで、(1)機能を学ぶ、(2)資料の作成方法を学ぶ、(3)プレゼン方法を学ぶ―の3段階に分けて、具体的な改善活動を実践する基礎体力を身に付けるための計3回の講座となります。講師はGHCコンサルタント兼カスタマーサポート担当で診療情報管理士の薄根詩葉利が担当しました。

GHCコンサルタント兼カスタマーサポート担当で診療情報管理士の薄根詩葉利

GHCコンサルタント兼カスタマーサポート担当で診療情報管理士の薄根詩葉利

すべての参加者がプレゼン、「すでに成果」の声も

 この日のアジェンダは、「(3)プレゼン方法を学ぶ」です。これまでの学習で身に付けた知識をフル活用した総合演習という位置付けで、参加した14病院すべての参加者が6グループに分かれて、プレゼンと質疑応答を軸にしたディスカッションをしました。

 プレゼンのテーマは、病院ダッシュボードを用いた自院の経営改善。実際の自院のデータを確認し、改善の必要がある項目を選び出し、選出の理由とデータの検証結果、改善提案を行うという内容です。参加病院はこの日のプレゼンに向けて、約2週間の分析期間で自らの手で経営改善提案資料を作成してきました。分析期間は参加者が作成した資料を講師の薄根が確認し、アドバイスなどを行う機会も設けました。

プレゼンと質疑応答はどのグループでも活発なディスカッションが展開されました

プレゼンと質疑応答はどのグループでも活発なディスカッションが展開されました

 プレゼンと質疑応答はそれぞれ5分ずつという短い時間でしたが、どのグループでも活発なディスカッションが展開されました。ディスカッション後は各グループから1人の代表が選出され、発表会を実施しました。中には、今回の作成資料を院内の会議体に提出し、クリニカルパス作成への道筋を付けたという報告もあり、講師の薄根は、「3か月という短い期間だったが、実際の改善アクションに繋がっているという報告をとても嬉しく思う。今後も経営層に報告して、院内の問題を解決していくひとつのツールとして使用して欲しい」と感想を述べています。

「うちは特殊」の逃げ道は防ぐ

 発表会後、GHCマネジャーの冨吉則行が、実際に担当した病院へ行ったプレゼン事例を紹介しつつ、プレゼンの際の注意点を解説しました。

GHCマネジャーの冨吉則行

GHCマネジャーの冨吉則行

 まず冨吉が強調したのは、「うちは公立病院で特殊な患者も扱っているので」というような現場の声に耳を傾けすぎて、改善できる点と改善できない点を混合した議論にしないことです。どの病院でも特殊な状況の患者を扱っていることはありますが、それでも大きな改善効果を出している病院は多々あります。そうした病院に共通していることは、「改善できることに徹底的に取り組んでいること」(冨吉)であり、改善できることと改善できないことは最初から切り離し、「うちは特殊である」という逃げ道を防ぐ流れを最初から作っておくことが必要としました(図表)。

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 紹介した事例は大腸がんで、平均在院日数が極めて長く、期間II超えが全入院患者の半数を超えているというケースでした。クリニカルパスが作られていないことはもちろん、術前の入院期間が長いなど、外科と内科の連携ができていない点に着目。主な提案内容としては、同院ですでに導入済みの入院サポートセンターを活用し、術前の入院期間を短縮するというものでした。

 この病院は僻地にあるため、術前の入院サポートセンター活用は「アクセス面で患者負担が大きいのでは」という意見が上がることを見越して、すでに同じ僻地にある病院の入院サポートセンター活用の事例を紹介するなどして、反対意見に先手を打つプレゼンにする工夫なども合わせて紹介しました。

重症患者割合の精度をチェック、「看護必要度分析」リリース

 加算項目の算定率をチェックする際の切り口なども解説。例えば、特別食加算を見る際は、「糖尿病と高脂血症の算定率が9割を割っていれば、その病院の栄養管理士は医師にしっかりと提案ができていないと見ていい」(冨吉)など、コンサルタントがまず見るべきポイントなどを披露しました。加算項目については、病院ダッシュボードの「チーム医療Plus」でこうしたデータを瞬時に確認することが可能です。

 2016年度診療報酬改定を巡る議論で注目された「重症度、医療・看護必要度」についても言及。看護必要度は16年10月から生データの提出が義務化される見通しであるほか、7対1入院基本料の算定要件の一つである重症患者割合が18%以上から25%以上(200床以下は23%以上)に引き上げられます。こうした中、データ精度の向上が必須であることに加えて、7対1の算定要件厳格化で、改めて自院の病床戦略を見直す必要性が浮上してきています。

 GHCは「看護必要度データ精度向上プログラム」や「病床戦略策定支援のコンサルティング」を行ってきましたが、このほどこうしたノウハウをシステム化し、病院ダッシュボードのオプション機能「看護必要度分析」を発売することが決まりました(詳細はこちら)。詳細は左記をご確認いただきたいですが、「看護必要度分析」をリリースする背景や活用方法などについても解説しました。

【連載◆病院ダッシュボード入門講座】
(1)病院の課題を短時間で把握し、具体的な改善策を立てるには
(2)医師を動かし院内を変革させる資料作成、これだけは押さえたい3つのステップ
(3)院内に伝えるべきことが伝わる効果的なプレゼン手法とは

解説を担当したコンサルタント 薄根 詩葉利(うすね・しより)

morimoto 株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンのコンサルタント兼カスタマーサポート担当。
国際医療福祉大学医療福祉学部卒業。高度急性期病院の診療録管理室勤務を経て、GHCに入社。診療情報管理士の資格を持ち、DPC分析全般を得意とする。「コンサル視点が瞬時に分かる」をコンセプトに開発された次世代型病院経営支援ツール「病院ダッシュボード」のカスタマーサポートも務める(関連記事『データ軸にパス見直し、および入院医療の外来化を推進、II群病院の維持に貢献―病院ダッシュボードユーザー会』)。
解説を担当したコンサルタント 冨吉 則行(とみよし・のりゆき)

tomiyoshi 株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンのコンサルティング部門マネジャー。
早稲田大学社会科学部卒業。日系製薬会社を経て、入社。DPC分析、人財育成トレーニング、病床戦略支援、コスト削減、看護部改善支援などを得意とする。金沢赤十字病院(事例紹介はこちら)、愛媛県立中央病院など多数の医療機関のコンサルティングを行う。「コンサル視点が瞬時に分かる」をコンセプトに開発された次世代型病院経営支援ツール「病院ダッシュボード」の営業統括も務める(関連記事「病院が変化の先頭に立つために今できるたった3つのこと」)。
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