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介護職員処遇改善加算、未届け施設の原因調査と加算施設との給与水準比較を―介護給付費分科会

2016.6.16.(木)

 介護職員の賃金改善を目的とした介護職員処遇改善加算について、届け出をしない理由を詳細に調べることはもちろん、調査後に「加算届出事業所と、未届出事業所とでどの程度給与が異なるのか」を比較する必要がある―。

 15日に開かれた社会保障審議会の介護給付費分科会では、2016年度の介護従事者処遇状況調査の内容を固めるとともに、こういった意見が出されました。調査は、今年(2016年)4-9月の給与などを対象として行われ、来年(2017年)3月にも結果が公表されます。

6月15日に開催された、「第130回 社会保障審議会 介護給付費分科会」

6月15日に開催された、「第130回 社会保障審議会 介護給付費分科会」

加算届出事業所と、未届出事業所との間で給与の比較分析などを行うべき

 介護職員の人材確保・離職防止策の一つとして介護職員処遇改善加算があります。加算は次の要件を満たすとともに、加算Iでは1人当たり2万7000円、加算II-IVでは1万5000円程度の賃金改善をすることが必要です(関連記事はこちらこちらこちら)。

(1)加算I:キャリアパス要件I、キャリアパス要件II、職場環境要件(2015年4月以降の賃金改善実績の職員への周知)のすべてを満たす

(2)加算II:[キャリアパス要件Iまたはキャリアパス要件II]および従前の定量的要件(2008年10月以降の処遇改善実績の職員への周知)を満たす

(3)加算III:キャリアパス要件I、キャリアパス要件II、従前の定量的要件のいずれかを満たす

(4)加算IV:キャリアパス要件I、キャリアパス要件II、従前の定量的要件のいずれも満たさない(処遇改善のみ実施)

介護職員処遇改善加算のイメージ、2015年度の介護報酬改定で加算Iが新設された

介護職員処遇改善加算のイメージ、2015年度の介護報酬改定で加算Iが新設された

 処遇改善加算の届出状況や、処遇改善の内容がどうなっているかなどを厚生労働省は適宜調査しており、2015年度の調査では「全体の88.5%の事業所・施設が届け出を行っている」ことなどが明らかになりました。

 2016年度には従前の調査に加えて、「届け出を行っていない理由」を詳しく調べることになっています。具体的には、下部組織である「介護事業経営調査委員会」の意見も踏まえ、次のような点について調査を行います。

【加算Iの取得が困難な理由】

(1)キャリアパス要件I(介護職員の任用要件や賃金体系を定め、すべての介護職員に周知する)

  →▽要件を定めることが難しい、あるいは分からないのか▽賃金体系の定め方が難しい、あるいは分からないのか▽全職員への周知が難しいのか▽事務を行える職員がいないのか―

(2)キャリアパス要件II(介護職員の資質向上計画を定め、また研修実施などを行うとともに、これらをすべての介護職員に周知する)

  →▽資質向上計画の策定・周知が難しいのか▽研修の実施や能力評価が難しいのか▽資格取得の支援が難しいのか▽事務を行える職員がいないのか―

【加算全体の届け出を行わない理由】

  →▽介護職以外の職員(看護職や事務職)との給与バランス」がとれないためなのか▽同一法人に加算対象外施設(保育所など)があり、これとの給与バランスがとれないためなのか▽バランスをとるために事業所から持ち出しが必要になってしまうためなのか―

 調査内容については概ね了承が得られましたが、委員からは調査結果の分析についていくつか注文がついています。

 鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は、「加算を届け出ている事業所と、届け出ていない事業所で給与を比較することが必要ではないか」「資格支援が、実際の資格取得にどれだけつながっているのかも分析するべきである」と指摘。

 さらに東憲太郎委員(全国老人保健施設協会会長)は、「加算の届け出を行っている事業所について、『使い勝手』に関する意見も来てほしい」と注文をつけました。

 厚労省老健局老人保健課の佐原康之課長は「自由記載のアンケートは集計が困難だが、検討してみたい」とコメントしています。

 調査は今年(2016年)10月に実施され(対象は16年4-9月分の賃金など)、来年(2017年)3月に結果が公表されます。

一億総活躍プランに盛り込まれた1万円の処遇改善、「手法は未定」と厚労省

 またこの日は、佐原老人保健課長から「ニッポン一億総活躍プラン」(2日に閣議決定)についても報告が行われました。ここでは「介護離職ゼロ」(家族介護のために離職せざるを得ない人をゼロにする構想)を目指す方針や検討事項なども盛り込まれており、介護給付費分科会(介護報酬や人員・構造設備基準)に関連する検討テーマとして、次の4点があります。

(A)自立支援と介護の重度化防止を推進するため、介護記録のICT化を通じた業務の分析・標準化を進める。これにより、適切なケアマネジメント手法の普及を図るとともに、要介護度の維持・改善の効果を上げた事業所への介護報酬等の対応も含め、適切な評価の在り方について検討する。

(B)介護人材の処遇については、競合他産業との賃金差がなくなるよう、2017年度からキャリアアップの仕組みを構築し、月額平均1万円相当の改善を行う。この際、介護保険制度の下で対応することを基本に、予算編成過程で検討する。

(C)介護サービスや介護保険事務処理について、介護ロボット・ICT等の次世代型介護技術(ICT、AI、センサーなど)の活用により、介護サービスの生産性の向上を進める。それにより、介護の質を低下させずに、効率的なサービス提供に資する基準の緩和や、効率的・効果的な職員配置を推進する。

 ▽見守り支援機器等の介護ロボットの導入促進や介護現場のニーズを踏まえた介護ロボットの開発支援の加速化

 ▽次世代型介護技術による業務の効率化や介護負担の軽減について実証研究を実施し、これを踏まえて、次世代型介護技術を用いた介護に適合する新たな基準の在り方を検討

 ▽複数の施設の保有、総務・経理・人事などの複数の部門の集約化など事業所のグループ化を推進

(D)高齢者、障害者、児童等の福祉サービスについて、設置基準、人員配置基準の見直しや報酬体系の見直しを検討し、高齢者、障害者、児童等が相互に又は一体的に利用しやすくなるようにする

 このうち(B)の「1万円の処遇改善」は、かつての介護職員処遇改善交付金のような補助金とする手法や、介護職員処遇改善加算の期中改定を行う手法などが思いつきますが、佐原老人保健課長は、「どう対応するかはこれから検討する」と述べるにとどめています。

 また(D)の方向について厚労省老健局振興課の辺見聡課長は、「介護・福祉サービスを利用しやすくするため、現在でも行っている「場」の基準の統一(例えばデイサービスの人員や構造設備の基準を介護保険、障害者福祉で一定程度揃えるなど)を推進していきたい」と説明しています。

 

 なお、「介護離職ゼロ」全般に対して、武久洋三委員(日本慢性期医療協会会長)は、「元気な高齢者や虚弱な高齢者を支える仕組みを構築しなければ、とても持たない」ことを強調し、例えば「夜間の准看護師養成コースを充実する」などの方策を真剣に検討すべきと提案しています。

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