病院看護職員、複線型人事と等級を組み合わせた給与体系の設定や、夜勤手当の引き上げなどを―日看協
2016.6.21.(火)
病院に勤務する看護職員の給与体系は、能力・職務・役割の違いに応じた「複線型人事制度」と「等級制度」を組み合わせたものとすべきである―。
日本看護協会は20日、このような内容を含む提言「病院で働く看護職の賃金のあり方」を公表しました。
入職からしばらくは「専門職群」、後に「高度専門職群」や「管理・監督職群」を選択
日看協では、看護職員が専門職としてのキャリアを高められるように、またやりがいや充実感をもって働き続けられるように、病院看護職員の賃金体系のあるべき姿を研究。今般、2つの提案を行っています。
1つ目は「賃金体系モデル」に関する提案です。具体的には、能力・職務・役割の違いに応じた「複線型人事制度」と「等級制度」を組み合わせた体系にするべきとしています。
例えば、新人看護師として入職した時点では「専門職群」の1等級になります。その後、経験を積む中で「専門職群」の中堅クラスとなってから、より専門性を高めた「高度専門蜀群」を目指すのか、師長や看護部長に向かう「管理・監督職群」を目指すのかを自身に問うことになります。
さらに、専門職群において、どの等級でどのような能力が求められるのかを、▽看護実践能力▽組織的役割遂行能力▽自己教育・研究能力―のそれぞれについて規定した「看護師キャリア開発ラダー」(専門知識や技術を段階的に身につけられるよう計画されたキャリア開発プラン、ラダーとは「はしご」のこと)との当てはめも行っています。
例えば熟練レベルでは、「複雑な状況の中で、ケアの受け手に最適な手段を選択し、QOLを高める看護を実践する」能力や、「所属を越え、看護部や病院から求められる役割を遂行する」能力などが求められます。
1回当たり夜勤手当の引き上げや、夜勤回数に応じた手当の増額を
提案の2つ目は、(1)短時間勤務の正規職員(2)夜勤労働―の賃金処遇に関するものです。
後者の「夜勤」に関する賃金については、▽1回当たりの夜勤手当の増額▽深夜割増賃金の乗数引き上げ▽夜勤「回数」に応じた手当の増額▽夜勤負担の賞与などへの反映▽夜勤専従者の基本給を維持したまま所定労働時間の縮減(月144時間を上限とする)―を行うよう具体策も提示しています。
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