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介護療養などの転換先候補、「機能強化型Aの人員・報酬水準の維持」を求める意見―社保審・療養病床特別部会

2016.6.23.(木)

 2017年度末で設置根拠が切れる介護療養について、新たな医療施設類型への転換や病院として存続させるなどさまざまな見解があるものの、「医療ニーズに応えるために、少なくとも療養機能強化型Aの人員配置基準・報酬水準を維持すべき」である―。

 22日に開かれた社会保障審議会の「療養病床の在り方等に関する特別部会」では、こういった意見が医療現場から出されました。

6月22日に開催された、「第2回 社会保障審議会 療養病床のあり方等に関する特別部会」

6月22日に開催された、「第2回 社会保障審議会 療養病床のあり方等に関する特別部会」

介護現場から新類型などについて意見聴取、「介護療養の機能」の重要性を指摘

 特別部会では、2017年度末で設置根拠が切れる介護療養病床などについて、「設置根拠である経過措置を延長するのか」「新たな医療施設類型を含めた別の施設への転換を進めるのか」について総合的な議論を行っています(関連記事はこちら)。

25対1医療療養・介護療養の新たな選択肢、【案1-1】【案1-2】【案1-3】の3つが提示された。既存の20対1医療療養(病院)と、特定施設(住まい)と対比させ、どのような機能を持つのかが明示されている

25対1医療療養・介護療養の新たな選択肢、【案1-1】【案1-2】【案1-3】の3つが提示された。既存の20対1医療療養(病院)と、特定施設(住まい)と対比させ、どのような機能を持つのかが明示されている

【案1-1】【案1-2】【案2】の機能を図示したもの。全く新たな施設類型である【案1-1】【案1-2】については、【案2】などとの組み合わせ(居住スペース)になる形態が多いのではないかと厚労省は見込んでいる

【案1-1】【案1-2】【案2】の機能を図示したもの。全く新たな施設類型である【案1-1】【案1-2】については、【案2】などとの組み合わせ(居住スペース)になる形態が多いのではないかと厚労省は見込んでいる

 22日の会合では医療現場が、こうした点についてどのように考えているのかを詳しく知るために、次の3参考人から意見を聴取しました。

(1)有吉通泰参考人(医療法人笠松会有吉病院院長、福岡県宮若市)

(2)猿原孝行参考人(医療法人社団和恵会理事長、静岡県浜松市)

(3)矢野諭参考人(医療法人社団大和会多摩川病院理事長、東京都調布市)

 (1)の有吉病院では、「抑制廃止」を入院患者に対する基本理念とした医療提供をかねてより実践しており、法令で定められた基準よりも手厚く医師や看護・介護職員を配置しています。しかし有吉参考人は「加配しても現場は手一杯である」ことを強調し、新類型の施設においても「少なくとも療養機能強化型Aの人員配置基準・報酬水準を維持してもらわなければ、入所者の医療ニーズに十分に応えることはできない」と訴えました。

 また(2)の猿原参考人は、自法人における▽介護老人保健施設(従来型)▽介護老人保健施設(療養機能強化型、転換型)▽療養機能型Aの介護療養病床―を比較したとき、療養機能強化型Aでは、入所者の要介護度、寝たきり度、自立度(認知症高齢者)が際立って高いことを紹介。こうした点を踏まえて、「看取り機能を担保できる介護療養は貴重である」と述べ、経過措置の延期を求めています。

 さらに(3)の矢野参考人は、病院病床は「病気を治して退院させる」機能を持つ事が必要で、「病院病床」と「住まい・住居」とは切り分けることが重要と指摘。また医療区分1に該当する患者の中にも重症患者が存在することを強調し、「同一施設内にすぐに駆け付けられる当直医師が存在する新類型の【案1-1】【案1-2】が理想的である」との考えを述べました。

介護療養からの転換先、「新たな医療施設」とすべきか「病院」とすべきか

 参考人と特別部会委員との間では、非常に興味深い意見交換が行われています。

 まず、「介護療養から新類型などへの転換を進めた場合、それを『新たな医療施設』とすべきか、『病院』とすべきか」という旨の鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)の問いかけに対して、有吉参考人は「なんらかの形で24時間の医療・看護提供体制を確保すべきであるが、介護療養単独で病院機能・医療機能を維持することは困難ではないかと考えている。同一法人の中で病院を持ち、医療機能を確保し、介護療養は新たな施設に転換してよいと思う。ただし、転換先の新たな施設について現在よりも医師や看護・介護職員配置を薄くし、報酬水準を下げるようなことがあってはいけない」と答弁。

 一方、猿原参考人は、「静岡県の慢性期医療協会では、『病院でなければならない』という意見が圧倒的である。『病院の名称』を手放すことに抵抗を感じる人も多いが、より本質的な部分でいえば、看取りを実施するために最低限「病院」機能が必要だからである。24時間・365日、入所者・入院患者の死に対してエビデンスを持って対応するために『病院』での形を維持すべきでる」旨を訴えます。

 両参考人の意見は、今後の新類型をどのような施設とすべきかの最も本質的な部分にかかわる考えと言えそうです。

 

 また、新類型への移行元として「介護療養病床や25対1医療療養に限定すべきか」との鈴木委員の問いに対しては、3参考人全員が「一般病床などからの転換を認めてもよいのではないか」との見解を示しました。

 この点について矢野参考人は、「地域によっては医療療養が一般病床が果たすべき機能を担っているところもある。そうした地域では療養と一般との競争が生じている」ことを紹介し、同じ競争条件という点を考えれば、一般から新類型への転換も認めて良いとの見解を付言しています。

制度設計論議とは別に、「低所得者への工夫」を考える必要

 新類型を創設するにあたっては「低所得者対策」も重要テーマの一つとなります。入所者の負担が大きければ、低所得者の居場所がなく、病院などへの社会的入院が増えてしまう可能性があるためです。

 土居丈朗委員(慶應義塾大学経済学部教授)もこの点を心配し、3参考人に対し「現在の施設入所者の所得状況」について質問。3参考人ともに、介護保険制度改正の中で「補足給付(低所得者に対する食費負担などの補填給付)の受給基準が変更になった」ことなどで、例えば「離婚するケース(世帯の資産などを低くすることができる)」があることや、「他施設への入所が阻害されるケース」が生じていることを紹介しています。

 ただし田中滋委員(慶應義塾大学名誉教授)は、「低所得者がいるので制度改正ができないとなると、何もできなくなってしまう。制度設計論議は進め、別に低所得者への工夫を考慮する必要がある」と述べています。

医療区分やターミナルケアの定義に関する議論も必要に

 22日の会合では、医療療養の報酬区分や施設基準のベースになっている「医療区分」のあり方についても議論が行われました。

 武久洋三委員(日本慢性期医療協会会長)は、「医療区分1は『医療区分2、3以外』と定義されており、がんの末期もすべて医療区分1に該当するように、医療区分1は軽症患者ではない」殿部、医療区分について改めて検討する必要があると強調しています。

 この点について吉岡充委員(全国抑制廃止研究会理事長)は、「介護療養の入所者では、医療区分が1であっても重介護であり、病床的には不安定で、医療区分2・3でADL区分が軽い人よりも医療的管理を多く必要といている」と指摘。「医療区分1=軽度者、社会的入院」という誤った理解を正す必要があると訴えています。

 また西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)も同様に、「医療区分は2006年度の診療報酬改定で導入されてから10年が経ち、制度疲労を起こしている。もう一度、医療区分、ADL区分を考えた方が良いのではないか」との考えを述べました。

 もっとも遠藤久夫部会長(学習院大学経済学部教授)は、「特別部会で議論するテーマか検討したい」と述べ、中央社会保険医療協議会との役割分担なども踏まえて考えていく意向を示しています。

 

 なお、武久委員は「施設ごとに『ターミナルケア』の定義が異なる現状は問題である。ターミナルケアの定義をきちんと議論する事が重要である」とも指摘。また東憲太郎委員(全国老人保健施設協会会長)は「老衰で亡くなる方の場合、必ずしも医師がオンタイムで居なくてもよいのではないか」と述べ、武久委員とは異なる角度で「ターミナルケアのあり方」を議論すべきと訴えています。

 新類型の【案1-1】で24時間の看取りやターミナルケア機能を持つことが想定されており、武久委員らの指摘は、やはり制度設計上、極めて重要なテーマとなります。

【更新履歴】

 参考人として出席された猿原先生のお名前を猿橋と記載しておりました。大変失礼いたしました。深くお詫び申し上げるとともに、再発防止に努めます。記事は修正済です。

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