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「個室での透析」など、療養環境に配慮した外来医療でも特別料金徴収可能に―厚労省

2016.6.27.(月)

 保険外併用療養費の1つである評価療養に、「外来医療に係る特別の療養環境の提供」などを追加する―。

 厚生労働省は24日、このような評価療養の見直しを行う通知「『「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」及び「保険外併用療養に係る厚生労働大臣が定める医薬品等」の実施上の留意事項について』の一部改正について」を発出しました(厚労省のサイトはこちら)。

 また療養の給付と直接関係がなく、患者から実費徴収が可能なものとして「感染症予防の適応を持つ医薬品の投与」や「患者都合によるキャンセルで使用できなくなった検査薬の費用」などが追加されています。

学会や国民の声、中医協での議論をもとに、選定療養を拡大

 公的医療保険制度において、原則として「必要な医療はすべて保険給付される」ことになっています。医療保険の財源は、国民が納めた保険料や税金であり、無駄使いは許されないことから、患者が特別に欲するサービスや、有効性・安全性の確認が十分なされていない医療は保険給付の対象になりません。

 一方で、患者の個別ニーズに応えることも重要であり、厚労省は例外的に「保険医療と保険外サービスとの併用」も認めており、これが保険外併用療養費です。

 保険外併用療養費には、現在、(1)評価療養(2)患者申出療養(関連記事はこちらこちらこちら)(3)選定療養―の3種類があります。(1)の評価療養(先進医療や治験など)と(2)の患者申出療養は、現時点では有効性・安全性が一定程度しか確立していないが、症例を確保して知見を集積し、将来、保険適用を目指す医療です。

保険外併用療養費制度には、▽評価療養(先進医療など)▽選定療養(差額ベッドなど)-がある

保険外併用療養費制度には、▽評価療養(先進医療など)▽選定療養(差額ベッドなど)-がある

 これに対して(3)の選定療養は、快適性・利便性や、患者による医療機関や医療行為の選択に関するもので、これまで「差額ベッド代」や「紹介状なしの大病院の初診・再診」などがあります。

 

 ところで、安倍晋三内閣が以前に閣議決定した「日本再興戦略」改訂2014では、選定療養について「対象の拡充を含めた不断の見直しを行う仕組みを構築する」こととされました。アメニティ向上を目指す医療機関の要望に応えるとともに、産業の活性化を狙ったものです。

 厚生労働省は、これを受けて学会や国民から意見を募り、さらに中央社会保険医療協議会の議論を踏まえて、選定療養に次のような見直しを行うことを決定しました(関連記事はこちらこちらこちら)。

(A)「外来医療に係る特別の療養環境の提供」を追加

(B)「予約に基づく診察に関する事項」の一部見直し

(C)「医科点数表等に規定する回数を超えて受けた診療であって別に厚生労働大臣が定めるものに関する事項」の一部見直し

特別料金徴収には「完全な個室」が必要、間仕切りなどでは不可

 (A)の外来における特別の療養環境とは、例えば「個室での人工透析」などがイメージしやすいのではないでしょうか。具体的には、次のとおりです。

▽一連の診療に要する時間が、概ね1時間を超える場合に限り、特別の療養環境提供ができる

▽「完全な個室環境」(間仕切りなどで個人の区画を確保するようなものは不可)および「静穏な環境下で受診できる構造設備の確保」を充足しなければいけない

▽療養環境以外の便宜を図る(他の患者に比べて予約の順位を優先するなど)ことは認められない

 もちろん、「通常の療養環境」と「特別の療養環境」とを患者が選択できるようにしなければならず、「医療機関内の受付窓口など見やすい場所に、個室数や料金などを分かりやすく掲示する」「個室の構造や料金などについて明確かつ懇切丁寧に説明し、患者の同意署名を受ける」などが必須となり、さらに救急患者など「実質的に患者の選択によらない」場合には特別料金徴収は認められません。

 また、一定期間の複数受診について包括的に個室提供の同意を得ることも可能ですが、その際には「期間を明示」した上での患者の同意が必要です。

予約診察は休日や夜間でも可能だが、時間外加算などの算定は不可

 (B)の予約診察については、次の2点が明確にされました。

▽予約料の額は、曜日・時間帯・標榜科などに応じて複数定めることが可能(もちろん、社会的に見て妥当適切な水準でなければならない)

▽予約診察は夜間、休日、深夜に行ってもよい。ただし、この場合には診療報酬点数表の「時間外加算」「休日加算」「深夜加算」の算定はできない(診療応需体制をとっているため)

患者の不安を和らげるため、PSAやCA19-9の規定超過実施を認める

 一方、(C)では、点数表に規定された回数を超過した検査が認められる項目として、「前立腺特異抗原(PSA)」と「CA19-9」(すい臓がんなどの腫瘍マーカー)が追加されました。

 もっぱら患者の不安感に応えることが目的で、超過分は患者の自己負担となります。

検査予約を患者都合でキャンセルした場合、使えなくなった検査薬は患者負担

 前述のとおり、保険診療と保険外サービスとを併用することは原則として認められません。しかし、保険診療(療養の給付)と直接関係のないサービスについては、実費を徴収することが可能です。例えば、「テレビ代」や「クリーニング代」「生命保険会社に提出する診断書代」「インフルエンザの予防接種費用」などです。これらを実費徴収しても、保険診療に予想できない影響が及ぶものではないためです。

 厚労省は24日に、この実費徴収の対象項目を拡大する通知「『療養の給付と直接関係ないサービス等の取扱いについて』の一部改正について」を発出しました(厚労省のサイトはこちら)。具体的な追加項目は次のとおりです。

▽感染症の予防に適応を持つ医薬品の投与[すでにインフルエンザ予防接種などが規定されており、これを拡大するものと考えられる]

▽治療中の疾病または負傷に対する医療行為とは別に実施する検診(治療の実施上必要と判断して、検査などを行う場合を除く)

▽患者都合による検査のキャンセルに伴い使用することができなくなった当該検査に使用する薬剤などの費用(現に生じた物品などに係る損害の範囲内に限る。なお、検査の予約などに当たり、患者都合によるキャンセルの場合には費用徴収がある旨を事前に説明し、同意を得ること)

▽院内託児所・託児サービスなどの利用料

▽手術後のがん患者などに対する美容・整容の実施・講習など

▽有床義歯などの名入れ(刻印・プレートの挿入など)

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