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介護療養などの経過措置、再延長は求めない―日慢協の武久会長と池端副会長

2016.6.30.(木)

 介護療養病床などの新たな転換先として、医療内包型・外付け型の3案(新類型)の議論が社会保障審議会の特別部会で進む中、日本慢性期医療協会では、介護療養などの経過措置再延長は求めない―。

 日本慢性期医療協会の武久洋三会長と池端幸彦副会長は、こうした方針を理事会で固めたことを30日の定例記者会見で明らかにしました。

 また、新類型には一般病床からの転換は認めてもよいが、新設の場合には居住スペースのハードルを高く設定する必要もあるとの見解を示しています。

6月30日の通常総会で再任され、記者会見に臨んだ日本慢性期医療協会の池端幸彦副会長

6月30日の通常総会で再任され、記者会見に臨んだ日本慢性期医療協会の池端幸彦副会長

新類型が創設されてから2年程度、「移行のための経過措置」は必要

 介護療養病床や4対1看護を満たさない医療療養病床について、2017年度末(2018年3月)で設置根拠となる経過措置が切れます。このため、厚生労働省は「療養病床の在り方等に関する検討会」で議論を行い、医療内包型・医療外付け型の3つの新類型案を整理しました。現在、社会保障審議会の「療養病床の在り方等に関する特別部会」でより具体的な検討が進められていますが、「介護療養などの経過措置を再延長すべき」と強く主張する委員も少なくありません(関連記事はこちら)。

25対1医療療養・介護療養の新たな選択肢、【案1-1】【案1-2】【案1-3】の3つが提示された。既存の20対1医療療養(病院)と、特定施設(住まい)と対比させ、どのような機能を持つのかが明示されている

25対1医療療養・介護療養の新たな選択肢、【案1-1】【案1-2】【案1-3】の3つが提示された。既存の20対1医療療養(病院)と、特定施設(住まい)と対比させ、どのような機能を持つのかが明示されている

【案1-1】【案1-2】【案2】の機能を図示したもの。全く新たな施設類型である【案1-1】【案1-2】については、【案2】などとの組み合わせ(居住スペース)になる形態が多いのではないかと厚労省は見込んでいる

【案1-1】【案1-2】【案2】の機能を図示したもの。全く新たな施設類型である【案1-1】【案1-2】については、【案2】などとの組み合わせ(居住スペース)になる形態が多いのではないかと厚労省は見込んでいる

 この点について池端副会長は、「検討会で新類型の創設に賛成し、特別部会で制度化の議論に入っている中で、再延長を求めるのは『筋が違うのではないか』という意見が日慢協の理事会でも多数出ている」ことを紹介。その上で、「日慢協として再延長は求めない」との方針を明確にしました。

 また武久会長は、「現在、経過措置中の介護療養から医療療養へ移行できる。にも関わらず移行しないのでは、『介護療養にはおいしいところがあるのではないか』と疑われてしまう」と述べ、やはり再延長は好ましくないとの見解を明確にしています。

6月30日の通常総会で再任され、記者会見に臨んだ日本慢性期医療協会の武久洋三会長

6月30日の通常総会で再任され、記者会見に臨んだ日本慢性期医療協会の武久洋三会長

 もっとも、「3つの新類型」が仮に設置されたとして、即座にすべての介護療養などが移行することは現実的でないことから、池端副会長は「新制度が固まってから2年間程度の、移行に向けた経過措置」を置くべきとの見解も示しています。

「6.4平米、4人部屋」などを維持し、円滑な転換の促進を

 また池端副会長は、新類型に関する議論で次のような点に留意すべきとの見解も示しました。

(1)将来的には高齢者の住まいにふさわしい居住スペースの基準を設けるべきだが、円滑な転換を進めるために、建て替えまでは「6.4平米、4人部屋」を維持すべきである

(2)「6.4平米、4人部屋」をクリアできれば一般病床からの転換も認めるべきである

(3)新設の場合には、高齢者住まい法(高齢者の居住の安定確保に関する法律)も勘案して居住スペースのハードルは高く設定すべきである

 (2)と(3)は、検討会や特別部会で「医療・介護・住まいの機能を具備した新類型は魅力的であり、介護療養などからの転換に限定すべきではない」といった指摘が出ていることを受けたものと言えます。

 さらに、報酬水準や人員・構造設備に関する基準については、「円滑な移行」「患者負担」「医療・介護保険財政」を勘案して、「最低でも経営を維持できる程度」に設定すべきとも述べています。

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