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外来診療 経営改善のポイント 看護必要度シミュレーションリリース

新専門医制度、各学会がそろって同じ土俵に立ってスタートすることが望ましい―日本専門医機構・吉村新理事長

2016.7.5.(火)

 お伝えしているとおり、日本専門医機構(機構)は4日の理事会で吉村博邦新理事長(地域医療振興協会顧問、北里大学名誉教授)を選任。吉村新理事長は、理事会後に記者会見を開き、「7月中に一定の方向性を出す」「できれば各学会がそろって同じ土俵でスタートすることが望ましい」などの考えを述べています(関連記事はこちら)。

7月4日の理事会終了後、初の記者会見を行った日本専門医機構の吉村博邦新理事長(地域医療振興協会顧問、北里大学名誉教授)

7月4日の理事会終了後、初の記者会見を行った日本専門医機構の吉村博邦新理事長(地域医療振興協会顧問、北里大学名誉教授)

 また山下英俊副理事長(山形大学医学部長)は、「質の高い専門医の養成という点にブレはなく、養成の方法論について皆で工夫していく必要がある」との見解を強調しています。

専攻医の不安払拭に向け、7月中に一定の方向性を示す

 吉村理事長はまず、理事会には医療関係者だけでなく、患者・市民・自治体の首長も参画しており「オールジャパン体制となった」ことを強調。その上で、「機構のガバナンス確立」を新体制の下で行うことを強く宣言しています。

 ところで機構に対しては、日本医師会と四病院団体協議会が連名で「一度立ち止まり、検討の場で医師偏在が深刻化しないかを精査し、懸念の残るプラグラムについては2017年度からの開始延期を行う」ことなどを盛り込んだ要望を行っています(関連記事はこちら)。

 この点について吉村理事長は、「偏在を深刻化させないことが何よりのポイントであり、これから、理事・学会から偏在対策について具体的に理事会に提案してもらう。それをもとにを理事会で議論し、また学会とも連携しながら『案』をまとめ、7月中に社員総会に諮って、一定の方向性を出す」との考えを述べています。また9000人ほどいる初期研修2年目の医師の間には、「制度がどうなるのか」について大きな不安があります。吉村理事長は7月中にメッセージを示すことで、こうした不安を払拭したい考えです。

関係者が一度立ち止まって議論、「できれば同時スタートが望ましい」と吉村理事長

 また理事会でどのような結論が出るのかについては、▽各学会が独自で実施する▽18の基本診療領域の学会がそろって実施する―などさまざまなオプションがあると見通したものの、「バラバラではなく、できれば同じ土俵に立ってスタートすることが望ましい」との見解を述べています。

 この点について山下副理事長は、「そもそも機構からは『各学会でどうすべきかを考えてほしい』と伝えており、それを反故にして、機構が期限などを設定するわけではない。しかし、一度立ち止まって、来春どのようにスタートするのか、いろいろなオプションがある中で、皆で議論しましょうという考えである」と補足しています。

 なお日医・四病協の要望では「地域医療」「公衆衛生」「地方自治」「患者・国民」の代表による幅広い視点も大幅に加えた『検討の場』「検討の場」を早急に設置することとされています。この点について吉村理事長は、「新たな『検討の場』を設置する」のか、あるいは「新理事会を『検討の場』とするのか」、明確なコメントはしていません。ただし、理事会には、「公衆衛生」の代表が参画していないことから、これをどう捉えるのか、今後、早急に詰めることになります。

「質の高い専門医養成」の考えにブレはない、方法論では相当の工夫が必要

 ところで、山下副理事長は、新専門医制度の議論については「論点を整理する必要がある」と強調します。

 まず質の高い専門医を養成するという基本的な考えには「まったくブレがない」ことを山下副理事長は指摘。専門医は、「ある基本診療領域の疾病などについて、すべて理解し、きちんと患者に説明できる医師」とされており、専門医が何を理解しておかなければならないか(つまり、これが養成プログラムである)は、当該診療領域の学会しかわかりません。各学会は、質の高い専門医を養成するために「厳格な養成プログラム」を作成しており、これはそもそもの基本的な考え方に沿った本来の動きと言え、異論はないでしょう。

 一方で、山下副理事長は、「養成の方法論」に相当の工夫が必要であり、これを早急に議論していくことが重要であると説明します。専門医を目指す医師(主に初期研修2年目の医師)は実際に医療現場(病院など)に従事しており、医師が日本全国に十分に配置されていない状況の下では、そうした日本の医療を支えている医師が一斉に患者の目の前からいなくなっては困るのです。山下副理事長は、「教育(専門医研修)を受けながら、日本の医療にも貢献してもらう必要がある。これには工夫がものすごく必要であり、地域・診療科の偏在について議論できる場をつくろうということで新理事には有識者にも参画してもらった。さらに議論の内容がきちんと社会に伝わるようにしたい」と、今後の動きについて強調しました。

 「偏在を恐れて、養成プログラムのハードルを下げる」ことは本末転倒であり、それ以外に偏在を是正(少なくとも助長させない)するにはどのような方法があるのかを早急に検討していくことが必要と言えそうです。

 

 こうした点に関連し吉村理事長は、機構のガバナンスを確立するために、財務・広報・総務などの重要委員会を早急に立ち上げ、理事会の決定事項をPRしていく考えも述べています。

7月4日に日本専門医機構の理事長に選任された吉村博邦氏(地域医療振興協会顧問、北里大学名誉教授、中央)と、山下英俊副理事長(山形大学医学部長、向かって右)と松原謙二副理事長(日本医師会副会長、向かって左)

7月4日に日本専門医機構の理事長に選任された吉村博邦氏(地域医療振興協会顧問、北里大学名誉教授、中央)と、山下英俊副理事長(山形大学医学部長、向かって右)と松原謙二副理事長(日本医師会副会長、向かって左)

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