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診療報酬改定セミナー2024 新制度シミュレーションリリース

新専門医制度、日本専門医機構の新体制下での諸課題解決に期待―日病・堺会長

2016.6.28.(火)

 7月頭に日本専門医機構の新執行部(理事長、副理事長)が固まる。そこでガバナンスの問題や意思決定プロセスの透明化、事務局の体制整備、養成プログラムのチェックなどといった諸課題を解決していくことで、新専門医制度の道筋が見えてくるのではない―。

 混迷している新専門医制度について、日本病院会の堺常雄会長は28日の定例記者会見でこのように見通しました。

6月28日に定例記者会見に臨んだ、日本病院会の堺常雄会長

6月28日に定例記者会見に臨んだ、日本病院会の堺常雄会長

事務局体制を強化し、日本専門医機構の意思決定プロセスの「見える化」が重要

 新専門医制度は、第三者機関(日本専門医機構)が「専門医養成プログラムの認証」と「専門医の認定」を統一的な基準で行うことで、より質の高い医療提供体制の構築を目指す仕組みです。

 来年(2017年)4月から新専門医の養成がスタートする予定ですが、「専門医の養成プログラムのハードルが厳しく、研修施設は大学病院などに偏っており、地域・診療科における医師偏在を助長してしまう」「専門医の認定や養成プログラムの認証を行う日本専門医機構には、ガバナンスなどさまざまな点で問題が多い」との強い指摘があり、混迷しています(関連記事はこちらこちら)。

 そうした中で、日本専門医機構は7月頭に新理事長・副理事長を選任し、新体制を整えます。この点について堺会長は、新体制の下で現在指摘されている日本専門医機構の課題(ガバナンスに問題がある、意思決定プロセスが見えにくい、事務局の体制が弱い、など)に優先順位をつけた上で対処することで、新専門医制度に「ある程度の道筋ができると思う」と見通しました。堺会長は、そのために「意思決定の見える化」「事務局体制の整備」を早急に行う必要があるとも強調しています。

 また、堺会長は新専門医をとりまくステークホルダーとして(1)日本専門医機構(2)学会(3)厚生労働省(4)専門医のあり方等に関する専門委員会(社会保障審議会医療部会の下部組織)(5)都道府県に設置されている協議会―の5者がいると指摘。その上で、「日本専門医機構がステークホルダーとのコンセンサスを得ながら、主導的役割を果たして、養成プログラムのチェックなどを進められれば、総合診療専門医を除く18の基本領域すべてで新専門医の養成をストップし、従来の専門医制度を継続する、ということにはならないのではないか」との見解も示しています。

専門医の定員、「厚労省が上から定める」のでは現場の納得が得られない可能性も

 ところで、日本病院会も加盟する四病院団体協議会と日本医師会は7日に、連名で▽地域医療、公衆衛生、地方自治、患者・国民の代表による幅広い視点も大幅に加えた『検討の場』を設けて、その検討結果を尊重する▽『検討の場』において医師偏在が深刻化しないか集中的に精査し、懸念が残るプログラムについては2017年度からの開始を延期し、現行の学会専門医の仕組みを維持する―ことなどを柱とする提言を日本専門医機構に行っています。

 この提言を重視すれば、検討の場の議論で(A)懸念が生じない領域は2017年度から新制度(B)懸念が残る領域は2017年度も現行制度―で専門医の養成を行うことになります。

 この点について堺会長は、「来年(2017年)4月から新制度での養成を開始するところから逆算すると、少なくとも7月いっぱいには『検討の場』を立ち上げる必要がある」と述べるにとどめています。

 『検討の場』では、各養成プログラムに「地域偏在が生じないか」「研修施設の偏りはないか」などを精査することになります。この点、「すでに養成プログラムの多くは日本専門医機構に提出されているため、精査にはそれほど時間はかからないのではないか」との見方もありますが、一方で「都道府県に設置される協議会での検証も必要であろうから、それを待つことになると一定の時間が必要になるのではないか」と見る向きもあります。日本専門医機構の新執行部の判断に注目が集まります。

 また、専門医のあり方等に関する専門委員会では、「地域別・診療領域別の専攻医定員」を設けてはどうかとの議論もなされています。この点について堺会長は、「定員枠の設定は、厚労省が上から決めるのでは、医療現場の納得が得られないであろう」と見通し、プロフェッショナル・オートノミーを重視(もちろん国の関与とのバランスもとって)することの重要性を指摘しています。

 またなお堺会長は、23日・24日の両日に盛岡市で開催された日本病院学会(関連記事はこちら)での新専門医制度をめぐるシンポジウンムの議論も総括し、「専攻医の身分保障」「指導医をはじめとする現場へのインセンティブ」「指導医側の準備(初期臨床研修では病院団体などが指導医研修を実施)」といった点も、今後の課題になると紹介しました。

 

 なお今泉暢登志副会長が、全国公私病院連盟の会長に就任することに伴い、日本病院会の副会長職を退任。新たに前橋赤十字病院の宮崎瑞穂名誉院長が、副会長職に就任しています。

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