新専門医制度、「現在の制度のままでは懸念は払しょくできない」との見解で一致―日病協
2016.4.25.(月)
現在のままの新専門医制度には懸念をいだく―。
22日に開かれた日本病院団体協議会の代表者会議では、こうした見解で一致したことが、同日の定例記者会見で神野正博議長から報告されました。
来年(2017年)4月からの新専門医の養成が開始される予定ですが、円滑な施行に向けてさらなる調整が必要なようです。
都道府県の協議会による偏在是正に向けた調整、物理的に無理であるとの声も
新専門医制度は、専門医の認定と養成プログラムの評価・認定を第三者機関(日本専門医機構)で統一して行うもので、来年(2017年)4月から養成(研修)がスタートする予定となっています。
これに対し、日本医師会や病院団体からは「地域や診療科間での医師偏在を助長するおそれがある」との指摘が強く、現在、厚生労働省の社会保障審議会・医療部会の下に設置された「専門医養成の在り方に関する専門委員会」を中心に、偏在是正に向けた取り組みの検討が進められています(関連記事はこちらとこちら)。
しかし、22日の日病協代表者会議(日本病院会や全日本病院協会、日本医療法人協会、全国自治体病院協議会など13の病院団体で構成される)では、「日本専門医機構のガバナンスに問題がある。今のままの制度には懸念を抱く」という意見が数多く出され、これに反対する見解は出なかったことが神野議長から報告されました。
ところで、地域の医師偏在を助長させないように、日本専門医機構、都道府県(協議会)、国の3層構造でプログラムのチェックや調整を行うことになっていますが(関連記事はこちらとこちら、神野議長は「物理的(時間的)に調整することはできないのではないか。また現在の初期臨床研修2年目の医師が初めての専攻医になる予定だが、彼らも迷っており、機構からのメッセージも出ていない。今の形で来年(2017年)4月から実施することは問題である」との考えを強調しています。
専門委員会や医療部会、さらに医師需給分科会(医療従事者の需給に関する検討会)などさまざまな場で新専門医制度を巡る議論が行われており、今後もさらなる調整が必要と言えそうです。
DPCの重症度指数を中心に「ブラックボックスである」との声相次ぐ
22日の定例記者会見では、原澤茂副議長から「DPC制度の不透明性」についても指摘がなされました。
2016年度診療報酬改定において、DPC制度にもさまざまな見直しが行われました(関連記事はこちらとこちらとこちら)。原澤副議長はその中でも、新設された「重症度指数・係数」(機能評価係数IIの1項目)について「ゼロ点」の病院が相当数ある点を指摘。4月20日には厚生労働省保険局医療課の眞鍋馨企画官から説明を受けて疑問の一部は氷解したものの、「DPCにおいては各種係数の設定ステップなどでブラックボックスの部分が多い」と述べ、2018年度の次期改定に向けて改善を求めていく考えを強調しています。
DPC制度では、同じ診断群分類(DPCコード)が選択されれば、1日当たりの包括範囲の報酬額は一律に設定されます。しかし、同じコードの患者でも、重症度には一定の幅があり、医療資源投入量(つまり投下コスト)に差が出てきます。従前は調整係数の中でこの差を調整していましたが、段階的に廃止される中で、この調整機能が弱まっていると指摘されます。
そこで2016年度改定では「重症度指数・係数」を導入し、この調整を行うこととしていますが、「包括範囲点数」と「実際の医療資源投入量」との比率で重症度指数を決定するため、効率化が進んでいる病院ほど指数は小さく、ゼロになることも稀ではありません。この点について病院側の納得感が不十分であることが、原澤副議長の説明で改めて浮き彫りになっています。
2018年度改定に向けて、中央社会保険医療協議会やDPC評価分科会でどのような議論が行われるのか、早くも注目が集まっています。
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