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【2016年度診療報酬改定総点検4】DPCの中で「医療法上の臨床研究中核病院」は評価されるのか?

2016.1.2.(土)

 明けましておめでとうございます。2016年度の次期診療報酬改定に向けた議論が佳境を迎えます。メディ・ウォッチでは近く再開される中央社会保険医療協議会の論議に備えるために、これまでの改定論議をおさらいしています。今回は、DPCに焦点を合わせます。

臨床研究中核病院の評価、診療側は「拙速」と批判

 DPC改革については、中医協の下部組織である診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会で見直し案が作られ、これを中医協総会などで吟味する形で進められます。見直し内容は多岐にわたるため、ポイントを絞って見ていきましょう。

 まず現時点で、中医協が明確に反対している見直し内容が1点あります。それは「臨床研究中核病院を機能評価係数IIの中で評価すべきか否か」という点です。

 臨床研究中核病院は、▽医師主導治験が過去3年間に4件以上、または医師主導の臨床研究が過去3年間に80件以上▽臨床研究に関する論文数が過去3年間に45件以上▽診療科を10以上設置し、病床数が400床以上▽臨床研究支援・管理部門に医師や薬剤師、看護師、臨床研究コーディネーター、生物統計家などを一定数配置―などの要件を満たすことを最低条件に、厚生労働大臣が承認するものです(医療法第4条の3に規定されるもので、従前の予算上の臨床研究中核病院とは異なる)。

臨床研究中核病院の承認要件(その1)

臨床研究中核病院の承認要件(その1)

臨床研究中核病院の承認要件(その2)

臨床研究中核病院の承認要件(その2)

 こうした基準は非常に厳しく、現在、「国立がん研究センター中央病院」「同東病院」「大阪大学病院」「東北大学病院」の4病院のみが承認されているにすぎません。

 厚生労働省は、この臨床研究中核病院について次の4つの点から「保険診療を行う上で高度度な機能を備えている」として評価したい考えを強調しました。

(1)病院長を中心とした強力な管理体制が構築され、革新的な医薬品・医療機器を安全に使用できる体制が整備されている

(2)医薬品・医療機器の最新の知見を有した医療従事者が配置され、薬事承認審査機関経験者などの専門的人材が配置されており、革新的医薬品・医療機器を安全に導入できる

(3)診療ガイドラインの根拠となるような質の高い臨床研究論文が発表されており、日常診療においてもエビデンスに基づいた診療が行われる

(4)革新的な医薬品・医療機器の使用を伴う医療を患者が安心して受けられるような、患者相談窓口が設置されている

 ただし厚労省の提案は、機能評価係数IIに新たな指数を設けるわけではなく、「地域医療指数の体制評価指数」の新項目に位置付けるというものです。現在、I群病院とII群病院については、全12項目の体制評価指数のうち10項目を満たせば満点の評価を受けられます。ここに臨床研究中核病院の評価が入り13項目となったとして、既に10項目を満たしていれば、それ以上評価が上がることはありません。

臨床研究中核病院について、DPCの機能評価係数IIで評価する場合のイメージ

臨床研究中核病院について、DPCの機能評価係数IIで評価する場合のイメージ

 中医協では診療側の委員を中心に「厚労省案は拙速である」との意見が相次いでいます。厚労省保険局医療課の担当者は「診療側は反対しているが、支払側は特に反対していない(厚労省案を了承している)。1月からの論議に再度、提案するか否かも含めて省内で検討する」と述べていますが、診療側の中川俊男委員(日本医師会副会長)は「今回改定論議の中では再提案しないように」と強い調子で指摘しています。1月からの議論の行方が注目されます(関連記事はこちらこちら)。

II群の実績要件、内科系の診療実績も考慮

 このほかDPCについて、次のような見直し方向が固まっています。1月からは細部を詰める議論が行われます。

(1)II群の実績要件に内保連(内科系学会社会保険連合)の提唱する『特定内科診療』の診療実績」を加味する(関連記事はこちら

(2)機能評価係数IIについて、次のような見直しを行う

▽各指数(係数)の分散が均等になるように調整する(関連記事はこちら

機能評価係数IIの分散を均等化するための調整イメージ

機能評価係数IIの分散を均等化するための調整イメージ

▽I群・II群のうち「実績要件が分院よりも低いI群」「実績要件に外れ値のあるI群」「精神病床・医療保護入院・措置入院の実績がないI・II群」について保険診療指数を減算する(関連記事はこちら

▽重症患者受け入れに積極的な病院を評価するために、新たに重症度指数(包括範囲出来高実績と点数表との比を表現)を導入する(関連記事はこちら

包括範囲出来高実績と点数表との比率は、DPC病院の収益変化率と逆相関の関係がある。つまり、包括範囲出来高実績の高い重症患者を多く診る病院では収益が低くなる傾向にある

包括範囲出来高実績と点数表との比率は、DPC病院の収益変化率と逆相関の関係がある。つまり、包括範囲出来高実績の高い重症患者を多く診る病院では収益が低くなる傾向にある

▽病院情報の公開に着目した指数(係数)を2017年度(平成29年度)から導入する(関連記事はこちら

▽カバー率指数について、専門病院に配慮し下限値(30パーセンタイル)を設ける(関連記事はこちら

▽後発品指数の上限値を70%に引き上げる(関連記事はこちら

(3)期間III(平均在院日数を超えた入院期間)を延長し、点数を引き下げる(関連記事はこちら

入院期間IIIの見直しと同時に、包括点数も見直す(事実上の引き下げ)

入院期間IIIの見直しと同時に、包括点数も見直す(事実上の引き下げ)

入院期間IIIを30日、60日、90日・・・と設定することで、不都合の減少が期待できる

入院期間IIIを30日、60日、90日・・・と設定することで、不都合の減少が期待できる

(4)再入院7日ルールについて、再入院の入院契機傷病名に「詳細不明コード」を用いた場合には、常に一連の入院とみなす(関連記事はこちら

(5)持参薬の取り扱いは、これまで通り「入院契機傷病の治療に用いる」ことを禁止し、「病院・医師の方針」は特別の理由には含まれないことを明確化する(関連記事はこちら

(6)患者の重症度を勘案するCCPマトリックスを、MDC01脳血管疾患、04肺炎、10糖尿病に導入する(関連記事はこちら

DPC図表3 151026

糖尿病のCCPマトリックス分類案、ここでは包括支払いを5つの区分に整理することができている

糖尿病のCCPマトリックス分類案、ここでは包括支払いを5つの区分に整理することができている

(7)提出データについて次のような見直しを行う

▽重症度、医療・看護必要度の状況をEF統合ファイルに記載する(関連記事はこちら

▽持参薬の使用についてEF統合ファイルに記載する(関連記事はこちら

▽患者が「指定難病」に罹患しているか否かを様式1に記載する(関連記事はこちら

  

 (1)は、II群の実績要件である「診療密度」「医師臨床研修の実施」「高度な医療技術の実施」「重症患者に対する診療の実施」のうち「高度な医療技術の実施」の考え方を一部見直すものです。

 「高度な医療技術の実施」は、現在、(3a)手術実施症例1件当たりの外保連手術指数(3b)DPC算定病床当たりの外保連手術指数(3c)手術実施症例件数―の3項目(高難度の手術実績)について、それぞれ一定の基準を満たすことが必要です。

 厚労省は、ここに内保連の提唱する特定内科診療(重症脳卒中や髄膜炎など25疾患)の▽3A 症例割合(対象症例数を総入院症例数で除した割合)▽3B DPC算定病床当たりの症例件数(対象症例数をDPC算定病床数で除した値)▽3C 対象症例件数―という診療実績3項目を加えることを提案しています。ちなみに、特定内科診療の構築にあたりGHCも研究協力をしています(関連記事はこちら)。

いわばDPC版の特定内科診療、赤字部分が修正されている

いわばDPC版の特定内科診療、赤字部分が修正されている

 すると、外科系の診療実績3項目と内科系の診療実績3項目の都合6項目となりますが、このうち何項目をクリア(I群の最低値を上回る)すればよいかが、1月からの重要論点となります。

【連載】16年度診療報酬改定総点検
(1)7対1の施設基準は厳格化の方向、重症患者割合は25%に引き上げられるのか?
(2)地域包括ケア病棟、手術・麻酔の出来高評価について診療側の意見はまとまるのか?
(3)在宅医療の報酬体系を大幅に見直し、課題は是正されるのか?
(4)DPCの中で「医療法上の臨床研究中核病院」は評価されるのか?
(5)療養病棟の医療区分、「きめ細かい状況」をどのように考慮するのか?
(6)主治医機能の評価、紹介状なし大病院患者の特別負担によって外来医療の機能分化

【関連記事】
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