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GemMed塾 2024年度版ぽんすけリリース

DPCの地域医療指数に、「高度・先進的な医療提供」の評価項目を追加―中医協総会

2016.1.28.(木)

 DPCの地域医療指数の中に、「高度・先進的な医療提供」を評価する項目を2015年度から追加する―。こういった方針が、27日に開かれた中央社会保険医療協議会の総会で了承されました。

 このほかに、▽II群の高度医療技術実施要件については6項目中5項目を満たせばよいこととする▽2016年度改定でも激変緩和措置(診療報酬の変動を2%以内に抑える)▽新設される重症度指数(機能評価係数II)には上下限を設ける▽精神病床のないI群・II群病院などでは保険診療指数を0.05点減点する―などの見直しも了承されました。

1月27日に開催された、「第325回 中央社会保険医療協議会 総会」

1月27日に開催された、「第325回 中央社会保険医療協議会 総会」

10例以上の医師主導治験などを行う病院を評価

 DPC制度改革について昨年(2015年)末の中医協総会で大枠が了承されたことを受け、厚生労働省が今般、詳細な見直し案を提示。委員からは反論が出されず、原案通り了承されています。

 厚労省は、この見直し案(出来高部分の改定内容も含めて)に沿って、診断群分類や包括点数の設定、各DPC病院の係数などを計算していきます。

 DPC改革の中で、1点だけ固まっていない部分がありました。それは「臨床研究中核病院の評価」です。この点について厚労省は、特に診療側から「拙速である」などの指摘が強かったことを受け(関連記事はこちらこちら)、次のような修正を行いました。「臨床研究中核病院」に限定することなく、「高度・先進的な医療提供を行う病院」を評価する内容ですが、かなり厳しい要件が設定されています。

◆次の要件を満たす病院について「高度・先進的な医療を提供している」点を地域医療指数の体制評価指数」の新項目とする

▽10例以上の医師主導治験の実施、10例以上の先進医療の実施、1例以上の患者申出療養に係る意見書の作成(すべて満たす場合に1ポイント)

▽20例以上の治験(協力施設としての実施も含む)、10例以上の先進医療の実施、10例以上の患者申出療養の実施(いずれかを満たす場合に0.25ポイント)

 前者の要件のうち「患者申出療養の意見書」は臨床研究中核病院のみが作成でき、また「10例以上の医師主導治験」は臨床研究中核病院に求められる要件よりも厳しい(承認要件では4件以上などに止まる)ものとなっています。

 一方、後者は臨床研究中核病院以外の病院でも基準を満たすこと自体は可能です。

 なお、今回の見直しは「地域医療指数の体制評価指数」の新項目を増やすものにすぎません。現在、I群病院とII群病院については、全12項目の体制評価指数のうち10項目を満たせば満点の評価を受けられます。これが13項目となったとして、既に10項目を満たしていれば、それ以上評価が上がることはありません。

 

 このほか機能評価係数について次のような見直しが決まりました。

▽「本院よりも機能が高い分院を持つI群病院」(実績要件9項目のうち5項目以上分院の方が高いケース)、「II群の実績要件決定の際に外れ値に該当したI群病院」、「『精神病床を持たない、または医療保護・措置入院実績のないI群・II群病院』について、保険診療指数を0.05点減点する(関連記事はこちら

CCPマトリックスの導入で、脳血管疾患・肺炎・糖尿病の分類が大幅に増えることを受け、カバー率指数の計算にあたって「CCPマトリックスの対象傷病では診断群分類でなく『支払分類』を用いる」こととする

▽新設される重症度指数(「包括範囲出来高実績点数と診断群分類点数表との比」に着目し、資源投入量の多い患者受け入れを評価する項目)について、上限値を90パーセンタイル、下限値を10パーセンタイルとする。例えばDPC病院が1000病院と仮定した場合、上位100病院は「最高点」(100位の病院の指数を用いる)、下位100病院は「最低点」(901位の病院の指数を用いる)、中間はそれぞれの病院で計算された指数、となるイメージ。

機能評価係数IIの具体的な設定方法、保険診療指数(減算規定を追加)、カバー率指数(下限値を設定)、地域医療係数(新たな体制評価指数の項目を追加)、重症度指数の新設などの見直しが行われている

機能評価係数IIの具体的な設定方法、保険診療指数(減算規定を追加)、カバー率指数(下限値を設定)、地域医療係数(新たな体制評価指数の項目を追加)、重症度指数の新設などの見直しが行われている

機能評価係数II、見直しの大枠

機能評価係数II、見直しの大枠

II群の「高度な医療実績」、6項目中5項目以上満たすことが必要

 2016年度改定から、II群の実績要件が見直されます。現在、II群になるためには▽診療密度▽医師臨床研修の実施▽高度な医療技術の実施▽重症患者に対する診療の実施―という実績要件を満たす(I群の最低値、あるいは外れ値を除外したI群の最低値をクリアする)ことが必要です。

 このうち「高度な医療技術の実施」について、これまでの外科系の診療実績3項目に加えて、新たに特定内科診療(重症脳卒中や髄膜炎など、内科系で高度な技術が必要な25疾患)の診療実績3項目が設定され、都合6項目となります(関連記事はこちら)。

いわばDPC版の特定内科診療、赤字部分が修正されている

いわばDPC版の特定内科診療、赤字部分が修正されている

 厚労省は27日に中医協総会に、「6項目中5項目以上を満たす」ことで、高度な医療技術の実施有と考えることを提案し、了承されました。GHCが協力した内科系学会社会保険連合のグリーンブック(特定内科診療について詳述した冊子、関連記事はこちら)では「6項目中5項目以上を満たす病院をII群としてはどうか」と提案されており、これも踏まえた格好です。

 また、高度な医療技術6項目については、すべて「外れ値を除外したI群の最低値」が基準値とされます。これまで手術実施症例件数は「全国平均値」が基準値でしたが、見直されているのでご注意ください。

 なお、II群の実績を判断するにあたり、2016年度から新規にI群となる東北薬科大学病院のデータは除外されます。

II群の実績要件の考え方、「高度な医療技術の実施」について項目を追加(特定内科診療の診療実績)し、基準値を変更する(すべて「外れ値を除外した最低値」にそろえる)

II群の実績要件の考え方、「高度な医療技術の実施」について項目を追加(特定内科診療の診療実績)し、基準値を変更する(すべて「外れ値を除外した最低値」にそろえる)

高額な抗がん剤用いる治療など6分類をD方式に追加

 このほか、次のような見直しも行われます。

▽点数設定方式Dに次の6分類を追加する(高額な抗がん剤を用いたものが多い。診断群分類の最終見直しにより変更となる場合もある)

(1)060020xx99x7xx 「胃の悪性腫瘍 ラムシルマブ」

(2)080005xx99x2xx 「黒色腫 ニボルマブ」

(3)010070xx9910xx 「脳血管障害 E003 造影剤注入手技」

(4)100020xx99x2xx 「甲状腺の悪性腫瘍 I131 内用療法」

(5)010030xx9910xx 「未破裂脳動脈瘤 E003 造影剤注入手技 動脈造影カテーテル法 主要血管の分枝血管を選択的に造影撮影した場合」

(6)050050xx9920xx 「狭心症、慢性虚血性心疾患 D206 心臓カテーテル法による諸検査+血管内超音波検査等」

点数設定方式D(入院初日に高額な薬剤の費用などを支払ってしまう)に6つの診断群分類が追加される(暫定)

点数設定方式D(入院初日に高額な薬剤の費用などを支払ってしまう)に6つの診断群分類が追加される(暫定)

▽激変緩和措置を継続する(出来高部分も含めた推計診療報酬が2%を超えて変動しないよう、暫定調整係数を調整する)

▽コーディング委員会の開催頻度を「年4回」に増やす

▽入院患者の超過が1.05倍以上(月平均入院患者数/許可病床数)となった場合、当該月の翌月から出来高算定とする

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