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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

2019年11月、医科やDPC含めた全体の後発品割合は78.0%、現行ペース続けば80%達成は2020年8月の見込み―協会けんぽ

2020.3.18.(水)

協会けんぽにおけるジェネリック医薬品(後発品)の使用割合は、昨年(2019年)11月末時点で、調剤ベースでは80.9%となり、前月に続いて8割台を維持できている。一方、医科・DPC・歯科分を加味すると78.0%で、現行ペースが続けば、政府目標の「80%以上」達成は2020年8月末となり、「2020年9月」の期限内達成が見えてきた―。

こういった状況が、協会けんぽを運営する全国健康保険協会が3月17日に公表した医薬品使用状況から明らかになりました(協会のサイトはこちら)。

協会けんぽ全体、調剤分に限定すれば「後発品割合80%以上」を維持

「医療技術の高度化」(代表的なものとして超高額な白血病等治療薬「キムリア」の保険適用などがあげられる)や「高齢化の進展」などにより医療費は増加を続けています。そうした中で、2022年度から、いわゆる団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となりはじめ、2025年度には全員が75歳以上に到達することから、今後、さらに急速に医療費が増加していくことが確実です。その後、2040年度にかけては高齢者の増加ペースそのものは鈍化するものの、支え手となる現役世代人口が急速に減少していきます。

「少なくなる支え手」で「多くの高齢者」を支えなければならず、公的医療保険制度の財政基盤は非常に脆くなっていくのです。

こうした状況の下では、「医療費の伸びを我々国民の負担可能な水準に抑える」(医療費適正化)ことが必要不可欠です。このため政府は、例えば▼平均在院日数の短縮による入院医療費の適正化(現在、DPCでも出来高でも1日当たりの支払いとなっており、在院日数の短縮が入院医療費の縮減に効果的である)▼後発医薬品(ジェネリック医薬品、後発品)の使用促進による薬剤費の圧縮▼医療機能の分化と連携の強化▼地域差(ベッド数、受療率、平均在院日数など)の是正▼保健事業の充実による健康寿命の延伸―など、さまざまな角度から医療費適正化に向けて取り組んでいます。

後発品に関して政府は、▼2017年央に後発品の使用割合を数量ベースで70%以上とする(第1目標)▼2020年9月に80%以上とする(第2目標)―という2段階の目標を設定し、その使用を推進しています。

「協会けんぽ」には主に中小企業のサラリーマンとその家族が加入しますが、その運営者である全国健康保険協会でも、積極的に後発品使用促進に取り組んでいます。例えば医療機関を受診し、医薬品を処方された加入者個々人に宛てて「貴方の医薬品を先発品から後発品に切り替えれば、自己負担額が○○円軽減されます」といった通知を発出したり、毎月の後発品使用割合の公表などを行っています。

3月17日には、昨年(2019年)11月末の後発品使用割合を公表しました(前月の状況はこちら、前々月の状況はこちら、さらにその前月の状況はこちら)。

協会けんぽ全体(日本全国)の後発品使用割合(新指標、調剤分)を見ると、前月(2019年10月)末から0.6ポイント増加し、数量ベースで80.9%となりました。調剤に限定すれば、前月に続き政府の第2目標「80%以上」を達成できています。

協会けんぽの後発品割合(2019年11月)1 200317

医科・DPC・歯科を加味すると、80%クリアは2020年8月の見込み

ただし、調剤分に「医科・DPC・歯科」分を加えた全体の後発品割合は、昨年(2019年)11月末時点で78.0%にとどまっています(前月から0.6ポイント増)。

また都道府県別に見ると依然として大きなバラつきがあり、「調剤・医科・DPC・歯科」分の後発品割合が最も高いのは沖縄県の88.0%(前月末から0.6ポイント増)、逆に最も低いのは徳島県で68.9%(同1.1ポイント上昇)となりました。

沖縄県のほか、「調剤・医科・DPC・歯科」分の後発品割合が高いのは、▼鹿児島県の83.7%(同0.8ポイント上昇)▼岩手県の83.6%(同増減なし)▼宮城県の81.7%(同0.6ポイント上昇)▼山形県の81.7%(同0.4ポイント上昇)▼島根県の81.3%(同0.5ポイント上昇)▼宮崎県の81.2%(同0.8ポイント上昇)▼佐賀県の81.2%(同0.8ポイント上昇)▼青森県の80.7%(同0.3ポイント上昇)▼長崎県の80.4%(同1.0ポイント上昇)▼北海道の80.1%(同0.5ポイント上昇)▼福島県の80.1%(同0.7ポイント上昇)▼熊本県の80.1%(同0.6ポイント上昇)▼新潟県の80.1%(同0.8ポイント上昇)―などで、80%を超える自治体がさらに増加しました。新たに長崎県・北海道・福島県・熊本県・新潟県の5道県で8割の大台に乗り、「80%以上」達成は14自治体に増加しました。

協会けんぽの後発品割合(2019年11月)2 200317



前述のとおり「調剤」ベースでは「80%以上クリア」が実現しましたが、「医科・DPC・歯科」を合わせると、「80%クリア」までには2.0ポイントの開きがあります。一昨年(2018年)12月末(75.3%)から昨年(2019年)11月末(78.0%)まで、単純計算で「1か月当たり0.25ポイント」のペースで後発品割合が上昇している格好です。このペースがその後も続くとすれば、計算上「80%以上クリア」は2020年8月末(前月までよりも4か月早いペース)となり、「2020年9月に80%以上とする」との第2目標達成が見えてきたと言えます。協会けんぽでは▼軽減額通知(お薬代の軽減可能額のお知らせ)対象を15歳以上に拡大する▼厚生労働省が定めた重点地域を中心に医療機関・保険薬局への訪問を強化する―という緊急対策を打ち出しており、この効果がどこまで現れるのか、今後の状況に注目が集まります。



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