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骨粗鬆症治療、外来での注射薬情報なども「お薬手帳」への一元化・集約化を―医療機能評価機構

2020.2.25.(火)

薬剤師が、患者と十分にコミュニケーションをとって、お薬手帳に記載されていない「外来での注射薬情報」を把握することで、成分の重複する医薬品処方を適正化できた。こうした情報も「お薬手帳」に一元化・集約化し、患者・医師・薬剤師で情報共有することが重要である―。

日本医療機能評価機構は2月21日に、保険薬局(調剤薬局)からこのようなヒヤリ・ハット事例が報告されたことを公表しました(機構のサイトはこちら)。

一般用薬販売においても、患者の病歴や服用歴を把握する手順の構築を

かねてより医療機能評価機構では、医療安全の確保に向けて、患者の健康被害等につながる恐れのあったヒヤリ・ハット事例(「ヒヤリとした、ハッとした」事例)を薬局から収集する「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業」を実施しています。さらに収集事例の中から医療安全確保に向けてとりわけ有益な情報を「共有すべき事例」として公表しており(最近の事例に関する記事はこちらこちらこちら)、2月21日には新たに3つのヒヤリ・ハット事例が紹介されました。



1つ目は、薬局薬剤師がお薬手帳以外の情報を把握し、成分の重複する薬剤投与を防いだ事例です。

定期的に骨粗鬆症治療剤の「アレンドロン酸錠35㎎「テバ」」を処方されている患者が、同じ成分の「ボナロン点滴静注バッグ900μg」に係る指導手帳(帝人ファーマ社の「「コツコツ丈夫にいいほね手帳 ボナロン点滴静注バッグ900μgの点滴を受けた患者さんへ」)を携帯していることがわかりました(お薬手帳にはその旨の記載なし)。薬剤師が内容を確認したところ、2か月前から他医療機関(整形外科)においてボナロン点滴静注を4週に1回投与されていることが判明。処方医に疑義照会した結果、アレンドロン酸錠が削除となりました。

機構では、▼骨粗鬆症の治療は複数診療科で行われることなどから、成分や薬効が重複する薬剤が処方される可能性が高まっている●外来で投与される注射薬は、お薬手帳に記録されないことが多く、製薬メーカーによる患者指導箋などを薬局で提示する患者も少ないことから、「注射薬を薬局の薬剤師が把握する」ことは難しい―とし、「処方される内服薬だけでなく、外来で投与される注射薬についてもお薬手帳に集約し、▼患者▼医療機関▼薬局―で情報共有することが重要」と強調しています。

骨粗鬆症治療薬で言えば、事例のほかにも▼ボンビバ静注患者様手帳(大正製薬社)▼プラリアサポート手帳 骨粗しょう症(第一三共社)―といった患者指導箋があり、これらを薬局で把握することはなかなか困難です。「お薬手帳への情報の一元化・集約化」を行うために、医療機関の協力も不可欠です。



2つ目は、薬剤処方に当たり必要な研修を処方医が受けていないことに薬剤師が気づき、処方削除になった事例です。

患者にスギ花粉症の減感作療法(アレルゲン免疫療法)薬である「シダキュアスギ花粉舌下錠5000JAU」が処方されました。同薬剤は「舌下免疫療法薬の受講修了医師でなければ処方できない」ことから、薬局薬剤師が医療機関に確認。その結果、処方医は受講修了医師ではないことが判明し、処方が削除になりました。

減感作療法薬(アレルゲン免疫療法薬)である「シダキュアスギ花粉舌下錠」や「シダトレンスギ花粉舌下液」「アシテアダニ舌下錠」「ミティキュアダニ舌下錠」は、アナフィラキシーショックなどの副作用が知られており、添付文書の【警告】の項で「緊急時に十分に対応できる医療機関に所属し、本剤に関する十分な知識と減感作療法に関する十分な知識・経験を持ち、本剤のリスク等について十分に管理・説明できる医師のもとで処方・使用すること。薬剤師においては、調剤前に当該医師を確認した上で調剤を行うこと」と明記されています。事例のケースでは、「前回までは受講修了者であるかかりつけ医から同剤を処方されていたが、今回は患者の依頼で、別の医師が同剤を処方した」ということです。

機構では、「医療用医薬品には限られた医師しか処方できない薬剤がある」ことを踏まえ、薬剤師に対し「該当する薬剤をあらかじめ把握しておくことが望ましい」とアドバイス。さらに、これら薬剤を調剤する際は、▼添付文書▼インタビューフォーム―を熟読し「薬剤師に求められている確認を怠らない」よう強調しています。



3つ目は、薬剤師の専門的な役割を考えるうえで極めて重要な事例です。

▼粘液水腫▼クレチン病▼甲状腺機能低下症(原発性および下垂体性)▼甲状腺腫―の治療に用いる「チラーヂンS錠」を服用している患者が、一般用医薬品「ザ・ガードコーワ整腸錠α3+」を購入する際、販売スタッフに「チラーヂンS錠と一緒に飲んでよいか」を尋ねました。販売スタッフが調剤室にいるアルバイト薬剤師に確認したところ、アルバイト薬剤師は添付文書等を確認せずに「整腸剤であるから飲んでもよい」と判断してしまいました。翌日、購入者がザ・ガードコーワ整腸錠の注意書きに「甲状腺機能障害の診断を受けた人は薬剤師に相談すること」と書かれているのを見て心配になり、来局。別の常勤薬剤師が「ザ・ガード コーワ整腸錠には沈降炭酸カルシウムが配合され、チラーヂンS錠の吸収が悪くなる可能性があることから同時に服用しない」よう患者に説明しました。

本事例では、アルバイト薬剤師が▼薬剤の鑑査中で、患者の薬剤服用歴や一般用薬の添付文書を確認せずに返答を行った▼日頃勤務している薬局では、一般用薬の販売をほとんど行っていない―ことが背景にありました。機構では、▼要指導医薬品▼一般用医薬品―を販売する際は、その薬剤に含まれている成分を把握したうえで、購入者の病歴や併用薬等を確認し、適切な販売を行うことが基本であり、手順書に定め、遵守することが重要であると強調しています。



2015年10月にまとめられた「患者のための薬局ビジョン」は、かかりつけ薬局・薬剤師が、(1)服薬情報の一元的・継続的な把握と、それに基づく薬学的管理・指導(2)24時間対応・在宅対応(3)かかりつけ医を始めとした医療機関などとの連携強化—を持つべきと提言。また2018年度の前回調剤報酬改定では、▼薬剤師から処方医に減薬を提案し、実際に減薬が行われた場合に算定できる【服用薬剤調整支援料】(125点)の新設▼【重複投薬・相互作用等防止加算】について、残薬調整以外の場合を40点に引き上げる(残薬調整は従前どおり30点)—など、「患者のための薬局ビジョン」や「高齢者の医薬品適正使用の指針」を経済的にサポートする基盤の整備も行っています(関連記事はこちらこちらこちら)。

「疑義照会=点数算定」という単純構図ではありませんが(要件・基準をクリアする必要がある)、事例1・事例2のような薬剤師の取り組みが積み重ねられることで、「かかりつけ薬局・薬剤師」の評価(評判)がさらに高まり、それが報酬引き上げに結びついていきます。「薬剤の専門家」という立場をいかんなく発揮し、積極的な疑義照会・処方変更提案が行われることが期待されます。


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