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外来診療 経営改善のポイント 2024年度版ぽんすけリリース

2022年4月分医療費、入院外来ともに女性の「乳がん」が大きなシェア!早期発見・早期治療が重要―健保連

2022.11.21.(月)

今年(2022年)4月分医療費の上位疾患を見ると、依然として男女ともに「新型コロナウイルス感染症」や「鼻アレルギー」「高血圧症」などが名を連ねている。また女性では「乳がん」医療費が依然として大きなシェアを占めている―。

健康保険組合連合会(健保連)が11月16日に公表した「健保組合医療費上位30疾病に関する動向調査」(2022年4月診療分)結果から、こうした状況が明らかになりました(健保連のサイトはこちら)。

新型コロナウイルス感染症が医療費面でも「猛威」を振るっていることを確認できるとともに、女性において「乳がん」医療費が極めて大きなシェアを占めていることに改めて驚かされます。感染防止策に十分留意したうえで「早期発見」のための検診を適切に受診し、早期治療に結び付けることが医療費の適正化にとっても、女性自身のQOL向上にとっても、社会にとっても非常に重要です。

医療費全体のトップ疾患、男女ともコロナ感染症に

健康保険組合(健保組合)は、主に大企業に勤める会社員とその家族が加入する公的医療保険です。健保組合の連合組織である健康保険組合連合会(健保連)は、さまざまな角度からレセプトを分析し各種提言を行うなど、従前より「データヘルス」に積極的に取り組んでいます。

今般、今年(2022年)4月診療分のレセプトをもとに、「健保組合加入者はどのような疾患に多くかかり、医療費はどの程度なのか」を分析しました。調査対象は1246組合の加入者2586万9453人のデータです。

まず医科全体で見ると、医療費シェアトップ3は、(1)covid-19:医科医療費全体の5.65%(2)血管運動性鼻炎およびアレルギー性鼻炎(鼻アレルギー):同3.98%((3)本態性(原発性<一次性>)高血圧(症):同3.09%—となりました。上位3疾患で医療費の12.72%を消費しています。コロナ感染症の影響の大きさをこうしたデータからも確認できます。

医科計・男女(健保連上位30疾患22.4.1 221116)



男女別のトップ3疾患は次のようになっています。

【男性】
▽covid-19:男性医科医療費全体の5.62%
▽本態性(原発性〈一次性〉)高血圧(症):同3.96%
▽血管運動性鼻炎およびアレルギー性鼻炎(鼻アレルギー):同3.94%
→上位3疾患で、男性医科医療費の13.52%を占める

医科計・男性(健保連上位30疾患22.4.2 221116)



【女性】
▽covid-19:女性医科医療費全体の5.69%
▽血管運動性鼻炎およびアレルギー性鼻炎(鼻アレルギー):同4.01%
▽乳房の悪性新生物〈腫瘍〉:同3.61%
→上位3疾患で、女性医科医療費の13.31%を占める

医科計・女性(健保連上位30疾患22.4.3 221116)

医科入院、男女ともコロナ感染症が医療費第2位、女性トップは乳がん

次に医科の「入院」に限定して医療費シェアを見てみましょう。

トップ3は、(1)covid-19:医科入院医療費全体の3.68%(2)心房細動および粗動:同2.85%(3)脳梗塞:同2.07%—となり、上位3疾患で医科入院医療費の8.60%を占めています。

なお、ほぼ女性のみの疾患である「乳房の悪性新生物」は第4位となりました。「乳がん患者が依然として多い」状況が伺えます。早期の治療が生存率向上にとって重要なことから、検診の適正受診、自己点検などをさらに啓発していく必要があります。

医科入院・男女(健保連上位30疾患22.4.4 221116)



また男女別にみるとトップ3疾患は次のようになっています。

【男性】
▽心房細動および粗動:男性医科入院医療費全体の4.53%
▽covid-19:同3.48%
▽脳梗塞:同2.65%
→上位3疾患で、男性医科入院医療費の10.66%を占める

医科入院・男性(健保連上位30疾患22.4.5 221116)



【女性】
▽乳房の悪性新生物〈腫瘍〉:女性医科入院医療費全体の4.19%
▽covid-19:同3.91%
▽子宮平滑筋腫:同3.41%
→上位3疾患で、女性医科入院医療費の11.51%を占める

コロナ禍であっても、女性の入院医療費トップ疾患は「乳がん」です。前述のとおり「乳がん」の早期発見に向けた取り組みを国・保険者・医療機関・患者自身が進める必要が重要なことが、本調査結果で改めて確認できます。

医科入院・女性(健保連上位30疾患22.4.6 221116)

男女とも外来医療費トップはコロナ感染症、女性では「乳がん」が第2位に

医科の「入院外」に目を移すと、医療費シェアトップ3は、(1)covid-19:医科入院外医療費全体の6.23%(2)血管運動性鼻炎およびアレルギー性鼻炎(鼻アレルギー):同5.06%(3)本態性(原発性〈一次性〉)高血圧(症):同3.80%―となりました。上位3疾患で医科入院医療費の15.09%を占めています。

医科入院外・男女(健保連上位30疾患22.4.7 221116)



男女別にみるとトップ3疾患は次のようになっています。

【男性】
▽covid-19:男性医科入院外医療費全体の6.27%
▽血管運動性鼻炎およびアレルギー性鼻炎(鼻アレルギー):同5.03%
▽本態性(原発性〈一次性〉)高血圧(症):同4.90%
→上位3疾患で、男性医科入院外医療費の16.20%を占める

医科入院外・男性(健保連上位30疾患22.4.8 221116)



【女性】
▽covid-19:女性医科入院外医療費全体の6.19%
▽血管運動性鼻炎およびアレルギー性鼻炎(鼻アレルギー):同5.08%
▽乳房の悪性新生物〈腫瘍〉:同3.45%
→上位3疾患で、女性医科入院外医療費の14.72%を占める

医科入院外・女性(健保連上位30疾患22.4.9 221116)



外来において「コロナ感染症の増加」が目立つとともに、「乳がん」が上位疾患に入っていることに改めて驚かされます。医療保険者も、こうした点を重く受け止めた対策(検診受診勧奨の強化など)を検討・実施する必要があるでしょう。



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