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2016年度薬価制度改革の大枠固まる、後発品の価格は更なる引き下げ―薬価専門部会

2015.12.17.(木)

 2016年度の次期薬価制度改革に向けて、「新規の後発医薬品の価格を、原則として先発品の5割に設定する(現在は6割)」、「年間販売額が1000億超かつ予想販売額の1.5倍以上などの医薬品について、特例的に価格の引き下げを行う(特例再算定)」などの見直し案(叩き台)が、16日に開かれた中央社会保険医療協議会の薬価専門部会で固まりました。

 ただし製薬メーカーサイドは、「特例再算定の対象などは限定的にすべき」と改めて要望しています。

12月16日に開催された、「第114回 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」

12月16日に開催された、「第114回 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」

新規の後発品価格、先発品価格の5割に設定

 医薬品の保険償還価格(薬価)は、新規収載時には「類似薬があればそれと同じ価格」(類似薬効比較方式)、「類似薬がない場合には原価を積み上げた価格」(原価計算方式)という基本ルールをベースに、「優れた点に対する評価」(各種の補正加算)や、外国の価格との乖離があった場合の調整(外国平均価格調整)などを経て設定されます。

 2016年度には、新規収載時のルールについて次のような大きな見直しが行われます。

(1)先駆導入加算の「先駆け審査指定制度加算」への見直し

(2)新規後発医薬品価格の見直し

 (1)の「先駆導入加算」は2014年度の前回改定で導入された「世界に先駆けてわが国で薬事承認を取得した革新的な医薬品」を経済的に評価するものです。製薬メーカーの開発意欲を促進することで、わが国の「創薬力」を高めることが狙いです。

 厚生労働省は2014年度改定後に、「世界に先駆けて、革新的な医薬品・医療機器・再生医療等製品を日本で早期に実用化する」ための仕組みとして、「先駆け審査指定制度」を創設しました。医薬品医療機器総合機構(PMDA)による事前相談を優先的に受けられるほか、優先的な審査が行われます。

 次期改定では、先駆導入加算の要件を「先駆け審査指定制度」に合わせるほか、加算率を最大20%にまで引き上げ、名称を「先駆け審査指定制度加算」に改めます。

 なお、既に治験段階以降に進んでいる医薬品は先駆け審査制度の対象になりませんが、厚労省保険局医療課の中井清人薬剤管理官は「柔軟な対応をとる」など、不都合が生じないように配慮する考えを明確にしています。

先駆け審査指定制度の対象となる医薬品は、4つの要件を満たさなければならない

先駆け審査指定制度の対象となる医薬品は、4つの要件を満たさなければならない

 (2)の新規後発品については、現在「先発品の60%(ただし、銘柄数が10を超える内用薬は50%)」というルールがあります。厚労省は、さらなる後発品の使用促進に向けて価格引き下げを行うべきと考え、「先発品の50%(ただし、銘柄数が10を超える内用薬は40%)」にすることを決めています。

 この点、製薬メーカーサイドは「注射薬などでは薬価と実勢価格との乖離が小さい」と指摘し、注射薬・外用薬については現行ルールを維持するよう求めていました。注射薬などは原価が高く、メーカーに値引きをする体力がないと考えられるためです。

 しかし、先般の薬価調査の結果、注射薬についても内用薬と同程度の乖離率があることが判明し、メーカーの要望は退けられています。

後発品の薬価と市場実勢価格との乖離率(2015年調査)を見ると、注射薬では前回調査(2013年)時点で13.8%に止まったが、今回は28.0%に拡大している

後発品の薬価と市場実勢価格との乖離率(2015年調査)を見ると、注射薬では前回調査(2013年)時点で13.8%に止まったが、今回は28.0%に拡大している

基礎的医薬品の価格を下支えする新ルールを創設

 新薬として薬価基準に収載された後、その医薬品(既収載品)の価格は2年に1度、市場実勢価格との乖離率をベースに引き下げられていきます。ただし、政策的な「価格の維持」や、逆に政策的な「価格の更なる引き下げ」などを行うルールも定められています。

 政策的な「価格の維持」ルールとしては、新薬創出・適応外薬海象等促進加算の試行が代表的です。これは「価格維持によって製薬メーカーの体力を高め、未承認薬や適応外薬の解消に向けた開発を進め、結果としてドラッグラグを解消する」ことを目的としています。改定前薬価の80%が維持されます。

 中医協では、本加算に一定の成果があると判断し「試行を継続する」ことが決まりました。

新薬創出等加算は、特許期間中の薬価を行って程度下支えするもの。これによって得た収益をベースに優れた新薬(未承認薬や適応外薬を含む)を開発することがメーカーに期待されている

新薬創出等加算は、特許期間中の薬価を行って程度下支えするもの。これによって得た収益をベースに優れた新薬(未承認薬や適応外薬を含む)を開発することがメーカーに期待されている

 

 ところで、薬価は累次の改定で下がっていくため、長年を経ると非常に低くなり、製薬メーカーが生産を控えるという事態が起きかねません。このため現在「最低薬価(剤形ごとに最低価格を決める)」「不採算品再算定(一定の基準を満たした場合、薬価を引き上げる)」という下支えルールが定められています。

 この点について製薬メーカーは「生産を安定させるために、更なる下支えを行ってほしい」と強く要望。中医協もこれを受け入れ、次のような要件を満たす基礎的医薬品について「最も販売額の大きな銘柄に価格を集約し、その薬価を維持する」という新ルールが創設されることになりました。

▽薬価基準への収載から25年以上経過し、かつ成分全体および銘柄の乖離率が全既収載品の平均乖離率以下である

▽一般的なガイドラインに記載され、広く医療機関で使用されているなど、汎用性がある

▽過去の不採算品再算定品目、ならびに古くから医療の基盤となっている病原生物に対する医薬品、および医療麻薬である

後発品への置き換え進めるZ2ルール、先発品メーカーに厳しい内容に

 政策的な「価格引き下げ」ルールの1つに、後発品への置き換えを進めるための長期収載品(先発品)の価格引き下げルール(いわゆるZ2)があります。

 具体的には、後発品が出現してから5年以上経過した長期収載品について、後発品への置き換え率が低い場合には価格を引き下げるというものですが、中医協では更なる「後発品への置き換えを進める」との観点から、次のようにより先発品メーカーに厳しい内容に改めることとしました。

▽後発品への置き換え率が70%以上(現在は60%以上)であれば、更なる引き下げは行わない(通常の、市場実勢価格に応じた薬価引き下げのみ)

▽置き換え率が50%以上70%未満(現在は40%以上60%未満)の場合には、更に1.5%引き下げる

▽置き換え率が30%以上50%未満(現在は20%以上40%未満)の場合には、更に1.75%引き下げる

▽置き換え率が30%未満(現在は20%未満)の場合には、更に2.0%引き下げる

2014年度の前回薬価制度改革で導入されたZ2、後発品への置き換え率を指標にして、長期収載品の薬価を更に引き下げる仕組み

2014年度の前回薬価制度改革で導入されたZ2、後発品への置き換え率を指標にして、長期収載品の薬価を更に引き下げる仕組み

年間販売額1000億円超える医薬品、皆保険維持のために価格引き下げ

 また政策的な「価格引き下げ」ルールの1つとして、市場拡大再算定があります。効能効果の追加などによって、薬価収載時よりも大幅に売り上げが伸びた場合には、価格を引き下げるものですが、中医協は「売上額が巨額な場合には、その理由によらず、国民皆保険を維持するために価格を引き下げるべき」とし、次のような新ルールを創設する方針を固めています。

▽年間の販売額が1000億円超1500億円以下で、予想販売額の1.5倍以上の場合には、最大で25%の価格引き下げを行う

▽年間の販売額が1500億円超で、予想販売額の1.3倍以上の場合には、最大で50%の価格引き下げを行う

 この新ルールについて加茂谷佳明専門委員(塩野義製薬株式会社常務執行役員)は「イノベーションを阻害する」と述べ、「薬価収載から相当の年数が経過した医薬品」「過去に市場拡大再算定の対象になった医薬品」は除外してほしいと要望しています。

 また厚労省医政局経済課の大西友弘課長も、「イノベーションを阻害しないよう、導入時期や対象範囲、引き下げ率などを慎重に検討すべき」と指摘しています。

 

 厚労省は、16日の意見を踏まえて近く薬価制度改革の骨子案をまとめ、中医協での議論に供する予定です。

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