有床診の減少止まらず、2015年11月には7905施設・10万6890床に―医療施設動態調査(15年11月)
2016.1.26.(火)
有床診療所の減少に歯止めがかかりません。2015年8月末に8000施設を割り込み、11月末には7905施設となったことが、厚生労働省が毎月公表している医療施設動態調査から明らかになりました。
厚生労働省は全国の病院・診療所の増減を毎月調べ、医療施設動態調査として公表しています。
15年11月末の医療施設総数は、全国で17万8443施設。前月に比べて87施設増加しました。主な原因は「無床の一般診療所の増加」で、無床診は前月に比べて89施設増加しています。有床診の無床化や病院勤務医の開業などが続いていると考えられます。
病院は8479施設で、前月から3施設減少しています。種類別に見ると、一般病院が7416施設で3施設減少、精神科病院は1063施設で前月から増減なし、都合、3施設の減少となっています。
一般病院の中で、療養病床を持つ病院は3842施設(前月から24設減少)、地域医療支援病院は500施設(前月から1施設増加)という状況です。
有床診療所は7905施設で、前月から22施設減少しました。8月末に8000施設を割り込み、その後も減少にまったく歯止めがかかっていません(関連記事はこちらとこちらとこちら)。
地域包括ケアシステムの中では、地域に密着する有床診の機能も重視されていますが、どう確保するのかも考えていく必要があるでしょう。中央社会保険医療協議会では2016年度の次期診療報酬改定に向けた議論が進んでおり、1月13日には、これまでの議論を整理した「現時点の骨子」が取りまとめられました。そこでは有床診療所に固有の項目こそないものの、▽主治医機能を評価する地域包括診療料・地域包括診療加算の対象患者拡大▽処置に関する評価の充実▽診療所型認知症疾患医療センターとかかりつけ医が連携した取組の評価―などが盛り込まれており、これがどのような効果をもたらすのか注目が集まります(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。
病床数に目を移すと、2015年10月末の全病床数は167万2635床で、前月から848床減少しました。
このうち病院の病床数は156万5671床で、前月に比べて528床減少しています。種類別に見ると、一般病床は前月から378床減少して89万3508床に、療養病床も127床減少して32万8732床となっています。平均在院日数の減少や外来シフトによって、病床の必要数は長期的には減少していくと考えられています。
また有床診療所の病床数は前月から320床減少し、10万6890床となりました。減少ペース(1か月に300-400床減少)が落ちておらず、このまま進めば、2017年初め頃には10万床を切ると予測されます。
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