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新専門医制度、学会が責任もって養成プログラムを作成、機構が各学会をサポート―日本専門医機構

2016.7.12.(火)

 お伝えしているとおり、日本専門医機構(以下、機構)は11日に理事会を開き、「検討の場」(精査の場)などの開催スケジュールを固めました(関連記事はこちら)。

 また機構と学会とが連携・協力して新制度を構築していく方針も確認。将来的には法令改正を行い、「機構で認定された専門医のみが、『専門医の広告を行える』ようにすべき」との要望も行っていく考えです。

7月11日の理事会終了後に、記者会見に臨んだ日本専門医機構の吉村博邦理事長

7月11日の理事会終了後に、記者会見に臨んだ日本専門医機構の吉村博邦理事長

将来的に「機構認定の専門医以外は、専門医の広告不可」とすべき

 吉村博邦理事長(地域医療振興協会顧問、北里大学名誉教授)は、まず「機構の決定に学会が従う」という上意下達の関係でなく、「機構と学会が協同で専門医制度を構築する」という基本姿勢を確認。その上で、機構と学会の役割について次のように明確に分担する考えを示しています。

【学会】学術的な内容について責任をもって専門医養成プログラムを作成する

【機構】▽専門医制度の学術的な観点からの標準化を図るため、学会をサポートする(チェック、調整)▽「公の資格」として専門医を認定する(学会と連名)▽学会と共同で各領域のデータベースを作成し、地域の医療提供体制に配慮する

 この点について山下英俊副理事長(山形大学医学部長)は、「専門医は、その領域(19の基本領域)の疾病について標準的な診断・治療を満遍なく学ぶ。どういった内容を学べばよいかは当該学会にしか分からないので、養成プログラムについては学会に責任を持って作成してもらう」ことを強調。その上で学会が共同歩調をとるために、「機構による調整」が重要になってくると説明しています。

 また「公の資格」について松原謙二副理事長(日本医師会常任理事)は、「将来的には法令改正を行い、機構が認定した専門医のみが『専門医の広告ができる』ようにすることが国民にとって重要である」と指摘。吉村理事長も「機構の新体制について社会保障審議会・医療部会で信頼が得られるようになれば、改めて要望していきたい」との考えを述べています。

「検討の場」を機構に設置、7月中にも一定の方向性が示される見込み

 また注目される「養成プログラムが地域偏在を助長しないかをチェックする場」(いわゆる検討の場・精査の場)については、7月22日に開催することが決定しています。

 新専門医制度については、各学会が作成している(19の全基本領域で一次審査済)養成プログラムについて「地方の病院が病院群に入っておらず、地方の基幹病院が連携施設になれないケースもある。これでは地方の病院から若手医師がいなくなってしまい、医師偏在が助長されてしまう」という強い批判があります。そこで、日本医師会と四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)が「養成プログラムが医師偏在を助長するものになっていないか検討する場を設けよ」との要望を行っていました(関連記事はこちら)。

 機構では、この要望を踏まえ7月20日に「検討の場」(精査の場)を開催し、19領域の養成プログラムをチェックすることにしています。「検討の場」(精査の場)には、機構の理事が出席しますが、公正・中立性を担保する(審査者と被審査者が同一になることを避ける)ために学会推薦の理事6名は除かれることになります。また学識経験者として参加している理事でも、実質的に学会代表となっている場合には辞退を求めることになりそうです。もっとも、除外された理事も「検討の場」(精査の場)には陪席することができ、「蚊帳の外」という状況になりません。

 また機構の理事に加えて公衆衛生の専門家として、JCHO(地域医療機能推進機構)の尾身茂理事長が参画します。

 吉村理事長は、「検討の場」(精査の場)を開く前に、基本領域の連絡協議会を開催し、「地域・診療科間での医師偏在是正に向けた取り組みや考え」を持ち寄って、検討する考えも示しています。吉村理事長は、「1年目に関東地方で専攻医が多ければ、2年目は関東地方での定員を少なくする」といった年単位で考える方法や、「地方でのローテーションを強化する」方法など、さまざまな考えがあると説明しています。

 こうした過程を経て7月25日に社員総会を開催し、2017年度の専門医養成について一定の方向が見いだされる見込みです。しかし、それほど簡単な問題ではないため吉村理事長は「来年度(2017年度)からどうするかはまだ決定していない」と慎重姿勢です。

専門医養成にあたって重要なのは、「質の高い専門医は何か」というコンセプト

 ところで、「質の高い専門医を目指せば、研修対象施設が絞りこまれ、地域の医師偏在が進む」とも考えられます。

 この点について吉村理事長は、「都市部でなければ質の高い専門医が育てられないということはない。領域によっては十分な患者数が確保できないなどの課題もあるが、そこも含めて都市部と地方とを含めた施設群を活用していく必要がある」と説明。

 また山下副理事長は、専門医について「その領域の標準治療を満遍なく学び、少なくともトリアージを行える医師である」として、質の高い専門医を養成するにあたっては「コンセプトが重要である」と指摘。時代が変わり、疾病構造や患者の年齢構成が変われば、それに対応するために養成プログラムを変更する必要がありますが、コンセプトがきちんとしていれば「今の養成プログラムではこの部分が不足なので、これを追加しよう」と対応できます。山下副理事長は、こうした基本的な概念を説明した上で「地方の病院でも十分に学ぶことができる」と強調しています。

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