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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

「看護業務基準」10年ぶりに改訂、超高齢社会など踏まえ全看護職の責務など見直し―日看協

2016.7.20.(水)

 全ての看護職に共通の看護実践の要求レベルと看護職の責務を示す「看護業務基準」について、「人間の尊厳確保」や「生活の質」の観点を踏まえた見直しなどを行う―。

 日本看護協会は15日に、このような方針のもとに「看護業務基準」を10年ぶりに改訂しました(日看協のサイトはこちらこちら)。

看護業務基準改訂 160715の図表

「看護を必要とする人の理解度や意向」を十分尊重し、合意を得られるような説明を

 保健師助産師看護師法では、看護師の業務について「厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者もしくは褥婦に対する療養上の世話または診療の補助を行うこと」と規定(第5条)。具体的な業務内容は、日本看護協会が定めた「看護業務基準」にまとめられています。

 「看護業務基準」は、すべての看護職に共通の看護実践の要求レベルと看護職の責務を示すものとして、1995年に日看協によって策定されました。

 今般、日看協は▽少子超高齢化の進行▽医療・介護ニーズの多様化、複雑化―といった社会情勢の変化を踏まえ、看護職には「より多様な役割」が求められるとして、10年ぶりに看護業務基準を改訂することを決定しました(前回の改訂は2006年)。

 具体的な改訂ポイントは、(1)看護職が活躍する領域や場の広がりが進んでいることを踏まえ、施設看護に限定されない表現に見直す(2)「看護実践の責務」について、時代を踏まえた見直しを行う(3)人間の尊厳確保や生活の質という視点で全体を見直す(4)看護を取り巻く環境の変化に応じて「看護を必要とする人の意思決定支援」や「看護実践の目的と方法の説明と合意」などの要素を追加する―の4点です。

 

 見直し後の「看護業務基準」を眺めてみましょう。

 看護業務基準は、「看護実践の基準」と「看護実践の組織化の基準」の大きく2つの柱で構成されます。

 前者では、まず看護実践の責務として、「人の生命・尊厳を尊重する立場に立って行動する」ことや、「安全で、安心・信頼される看護を提供する」ことを指示しています。

 また看護実践の内容としては、▽看護を必要とする人を、身体的、精神的、社会的、スピリチュアルな側面から支援する▽看護を必要とする人の意思決定を支援する▽看護を必要とする人が変化によりよく適応できるように支援する▽主治医の指示のもとに医療行為を行い、反応を観察し、適切に対応する▽緊急事態に対する効果的な対応を行う―ことを求めています。

 このうち、「主治医の指示のもとに医療行為を行う」にあたっては、(1)医療行為の理論的根拠と倫理性(2)対象者にとっての適切な手順(3)医療行為に対する反応の観察と対応―の3点について、適切な判断を行うことが必要です。なお、「人の生命、人としての尊厳及び権利に反する」場合は、医師らに対して疑義を申し立てることも求められます。

 さらに、看護実践を方法する際には、▽看護実践の目的と方法について説明し、合意に基づいて実施する▽看護実践に必要な判断を専門知識に基づいて行う▽看護を必要とする人を継続的に観察し、状態を査定し、適切に対処する▽チーム医療において自らとメンバーの役割や能力を理解し、協働する▽看護実践の一連の過程を記録する―ことが求められます。

 特に、説明と合意に関しては、「看護を必要とする人の理解度や意向」を十分尊重し、合意を得るように努めることが極めて重要となります。

 

 一方、後者の「看護実践の組織化の基準」に関しては、看護実践の組織化・運営は、看護職の管理者によって行われることを明確にするとともに、看護管理者に対して▽良質な看護を提供するための環境を整える▽看護実践に必要な資源管理を行う▽看護実践を評価し、質の保証に努める▽看護実践の向上のために教育的環境を提供する―ことを求めています。

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