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GemMed塾 看護モニタリング

【コンサルに聞く】リハビリ計画の診療・介護報酬、「情報連携加算」を予測

2017.6.26.(月)

 社会保障審議会の介護給付費分科会が21日開催され、通所介護、療養通所介護、通所リハビリテーション、短期入所生活介護、短期入所療養介護、福祉用具貸与などについて議論されました(資料はこちら、関連記事はこちら)。

 GHCマネジャーの湯原淳平は、通所リハビリテーションの論点で、厚生労働省が「別々に作成される医療保険と介護保険のリハビリ計画書などの文書の互換性を高め、円滑な情報の引き継ぎを検討すべきとの意見がある」と指摘していることに着目。リハビリ計画において、診療報酬と介護報酬の情報連携を評価する「情報連携加算」ができるのではないかと予測しています。

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病院が運営の通所リハ増加か

 リハビリの早期・多介入は、患者のADL向上に寄与します(関連記事『経営者の信念とデータが正しい医療を創造していく―相澤院長がGHCセミナーで講演』)。院内での取り組みはもちろん、退院後のリハビリも患者のADL向上に影響するため、厚労省は「リハビリ計画書などのあり方についてどう考えるか」と論点提示しています。また、計画書などのデータを収集、分析し、分析結果を事業所へフィードバックするシステムのあり方についても言及しています。

 早期の通所リハビリ導入に厚労省は注目しており、「入院でリハビリを受けている患者に対して、退院後に通所または訪問リハを行う予定の理学療法士などが訪問することは、早期リハビリ導入のための効果的な取り組みである」とも指摘。湯原は、「早期リハビリへの取り組み評価は加算で評価されそうだ。同一法人内でも評価されるのであれば、通所リハビリ事業所を作る病院が増えるだろう。今まで連携といえば地域連携室止まりであったものが、病棟カンファレンス、リハビリ室カンファレンスに入り込んでいくことが競合との差別化でも求められる」と見ています。

 また、医師の関与については、「リハビリの実施有無の指示のものと、そのほかの詳細が含まれる指示を比較した際、詳細な指示があるものの方がより大きい機能回復が見られる」との記述に注目。「リハビリマネジメント加算の要件が厳格化する可能性がある」(湯原)とみています。

 通所リハの利用時間区分別でADL向上の平均値に違いがない上、すべての要介護度区分で6~8時間の利用割合が最大である点にも着目。「通所リハの長時間利用はリハビリ目的というよりも風呂・預かり目的が主となっており、短時間・リハビリ集中型が評価されるのではないか」(湯原)として、見直される可能性が高いと考えています。

 通所リハは事業所のうち半数が病院または診療所ですが、保健医療機関は、その指定の時に通所リハの指定があったものとみなされることになっています。「病院は急性期、回復期、慢性期いずれにしても在院日数短縮により病床稼働率低下が大きな経営上の課題となっている。介護サービスを始めることに抵抗がある病院もあるが、患者のニーズ変化に対応し、経営的なメリットもあることから介護事業について、通所リハをきっかけにして拡大する病院も出てくるのではないか。その場合に既存の介護事業者は競争関係の激化で選ばれる事業所になるための戦略を今から検討する必要がある」(湯原)とみています。

老健などショートの目的は在宅復帰の橋渡し

 短期入所療養介護の論点では、入所先が確保できない場合の代替サービスの半数が「入院」となっていることなどから、厚労省は医療ニーズに対応できる居宅サービスを整備する観点から、介護老人保健施設や有床診療所が提供する短期入所療養介護をどう考えるべきか」と問題提起しています。これについて湯原は、「介護老人保健施設などのショートの目的は、あくまで在宅復帰の橋渡し。医療ニーズに対応できるかどうかが、加算などのポイントになるだろう」としています。

 今回は、介護給付費分科会で発表された資料に対する湯原のコメントをご紹介しました。介護給付費分科会で行われた議論の詳細については、改めてご報告します。

解説を担当したコンサルタント 湯原 淳平(ゆはら・じゅんぺい)

yuhara 株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンのコンサルティング部門マネジャー。看護師、保健師。
神戸市看護大学卒業。聖路加国際病院看護師、衆議院議員秘書を経て、入社。社会保障制度全般解説、看護必要度分析、病床戦略支援、地域包括ケア病棟・回リハ病棟運用支援などを得意とする。長崎原爆病院(事例紹介はこちら)、新潟県立新発田病院(事例紹介はこちら)など多数の医療機関のコンサルティングを行う。「週刊ダイヤモンド」(掲載報告はこちらこちら)、「日本経済新聞」(掲載報告はこちら)などへのコメント、取材協力多数。
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