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一部有識者が提唱する「新型多機能」、小多機の理念に反すると猛反発—介護給付費分科会(1)

2017.5.12.(金)

 一部の介護事業所や有識者で構成される地域包括ケア推進研究会が提唱する「新型多機能」サービスは、小規模多機能型居宅介護(小多機)の一類型として説明されるが、小多機の理念に反するもので認めることはできない。既存の各種サービスの組み合わせなどを認める方向で議論すべきである—。

 12日に開催された社会保障審議会・介護給付費分科会では、委員からこういった議論が多数出されました。この日の分科会では、定期巡回随時対応サービスや小多機や看護小規模多機能型居宅介護(看多機)に関する課題なども議論されており、別途、詳しくお伝えします。

5月12日に開催された、「第138回 社会保障審議会 介護給付費分科会」

5月12日に開催された、「第138回 社会保障審議会 介護給付費分科会」

「小規模でアットホームな環境が認知症ケアに有効」という小多機の理念に反する

 新型多機能とは、一部の介護事業所や有識者で構成される地域包括ケア推進研究会(以下、研究会)が提唱するもので、▼通い▼訪問▼泊まり—の3機能を持つ点は小多機と同様ですが、訪問サービスの利用者増に対応するために、より大規模(小多機は登録定員29名なのに対し、新型多機能は登録定員50名)に事業を展開することを想定しています。

 研究会は「新型多機能を小多機の一類型として追加する」ことを求めていますが、これに対し分科会委員からは反論・異論が相次ぎました。なお厚労省は現時点で、新型多機能に関する是非や賛否などに関するコメントはしていません。

 鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は、4月26日の前回会合に引き続き、「小多機は、小規模でアットホームな環境が認知症ケアに有効であるという宅老所などの経験を踏まえ、我が国独自に発達した地域密着型サービスである。新型多機能は『小多機の一類型』というが、登録定員50名であり『小規模』でないなど、小多機の理念を否定するものである。一部のサービス付き高齢者向け住宅などに新型多機能を併設し、入居者を全員登録させ、不適切な訪問サービスなどが提供される恐れもある。中重度者対応を強化するというなら、小多機と他のサービスとの組み合わせをより柔軟に認めるなどして対応すればよい」と述べ、新型多機能創設の動きを強く牽制しました。

 瀬戸雅嗣委員(全国老人福祉施設協議会副会長)も、鈴木委員と同じく「小多機の理念に反する」として反対。さらに「小多機も比較的、中重度な要介護者を対象に考えていたが、現実には比較的軽度である。大規模化して重度化に対応できるとの論理が分からない」と批判しました。

 また東憲太郎委員(全国老人保健施設協会会長)も、「利用者から見て、介護保険制度がさらに複雑になってしまい好ましくない。既に介護サービスはさまざまある。規制を緩和して、これらのサービスの組み合わせなどを考えるべきである。新型多機能などを認めることはできない」と指摘。

 さらに武久洋三委員(日本慢性期医療協会)の代理として出席した清水紘参考人(日本慢性期医療協会副会長)も、「鈴木委員や東委員の見解に賛成である」とし、新型多機能への反対姿勢を明確にしました。

 
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