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新たな片頭痛発症抑制薬「エムガルティ」、既存治療薬で効果ない・使用できない患者のみに使用可―厚労省

2021.4.23.(金)

片頭痛発作の発症抑制に用いる新薬「エムガルティ皮下注120mgオートインジェクター」、「エムガルティ皮下注120mgシリンジ」(一般名:ガルカネズマブ(遺伝子組換え))が4月21日に保険適用されました。

市場規模が大きく(ピーク時(2028年度)に173億円)、医療保険財政への影響が大きなことから「最適使用推進ガイドライン」が策定され、これに沿った使用が求められます(厚労省のサイトはこちら)。



片頭痛患者では血中CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド、Calcitonin-gene related peptide)濃度が上昇します。本剤は、CGRPに結合する遺伝子組換えヒト化IgG4モノクローナル抗体であり、偏頭痛発生の抑制効果が期待されます。このように画期的な医薬品ですが、投与にあたって▼片頭痛とそれ以外の頭痛疾患を鑑別することが必要であること▼重篤な副作用が発現した際にも適切な対応をする必要があること―などから、例えば次のような厳格な要件を満たした施設でのみ使用が許されます。

▽▼医師免許取得・初期研修修了後に、頭痛を呈する疾患の診療に5年以上の臨床経験を有す▼本剤の効果判定を定期的に行い、投与継続の是非について適切に判断できる▼頭痛を呈する疾患の診療に関連する日本神経学会・日本頭痛学会・日本内科学会(総合内科専門医)・日本脳神経外科学会の専門医認定を受けている―医師が治療責任者と配置されている

▽二次性頭痛との鑑別のためにMRI等による検査が必要と判断した場合、自施設または近隣医療機関の専門性を有する医師と連携し、必要時に適切な対応ができる体制が整っている

▽▼医薬品リスク管理計画(RMP)の安全性検討事項に記載された副作用▼使用上の注意に記載された副作用—に対し、自施設または近隣医療機関の専門性を有する医師と連携し、副作用の診断や対応に関して指導・支援を受け、直ちに適切な処置ができる体制が整っている



また、投与対象となる患者は、次の(1)―(4)のすべてを満たす患者に限定されます。

(1)国際頭痛分類(ICHD第3版)を参考に十分な診療を実施し、「前兆のある」または「前兆のない」片頭痛の発作が月に複数回以上発現している、または慢性片頭痛であることが確認されている
(2)投与開始前3 か月以上、1か月あたりのMHD(頭痛日数、migraine headache days)が平均4日以上である
(3)▼睡眠・食生活の指導▼適正体重の維持▼ストレスマネジメント―などの非薬物療法、および片頭痛発作の急性期治療等を既に実施している患者で、それらの治療を適切に行っても日常生活に支障を来している
(4)我が国で既承認の片頭痛発作の発症抑制薬(プロプラノロール塩酸塩(インデラル錠ほか)、バルプロ酸ナトリウム(セレニカ錠、デパケン錠ほか)、ロメリジン塩酸塩(ミグシス錠)など)のいずれかが、▼効果が十分に得られない▼忍容性が低い▼禁忌または副作用等の観点から安全性への強い懸念がある―ために使用または継続できない

本剤の投与中は症状の経過を十分に観察し、「本剤投与開始後3か月(3回投与後)」を目安に治療上の有益性を評価して症状改善が認められない場合には、「投与中止」を考慮することが必要です。さらに、その後も定期的に投与継続の要否を検討し、「頭痛発作発現の消失・軽減等により日常生活に支障を来さなくなった」場合にも、投与中止の考慮が必要です。ガイドラインでは「日本人を対象とした臨床試験において、本剤の18か月を超える使用経験がない」点を指摘しており、長期投与は好ましくありません。



さらに有害事象発生の可能性もあるため、投与に当たっては次のような点に留意が必要です。
▽本剤成分に対し重篤な過敏症の既往歴を有する患者は、投与禁忌であり投与しない

▽アナフィラキシー、血管浮腫、蕁麻疹などの重篤な過敏症が報告されている。重篤な過敏症反応は本剤投与数日後に現れること、反応が長引くことがある

▽添付文書に加え、製造販売業者が提供する資料等に基づき本剤の特性・適正使用のために必要な情報を十分理解してから使用する

▽本剤のRMP(医薬品リスク管理計画)を熟読し、安全性検討事項を確認する

▽本剤は「片頭痛発作の発症抑制」のための薬剤であり、治療中に頭痛発作が生じた場合には、必要に応じて急性期治療薬を用いるよう患者に指導する



また、厚労省は4月20日に通知「抗CGRP抗体製剤に係る最適使用推進ガイドラインの策定に伴う留意事 項について」を示し、本剤を保険診療の中で投与する場合には、上述したガイドラインを遵守するとともに、投与開始に当たり次の事項をレセプトの摘要欄に記載することを求めています。

(1)治療責任者として配置されている医師が、以下の「ア」-「オ」のいずれに該当するか
ア 医師免許取得・初期研修修了後に、頭痛を呈する疾患の診療に5年以上の臨床経験を有している
イ 日本神経学会認定の専門医
ウ 日本頭痛学会認定の専門医
エ 日本内科学会(総合内科専門医)認定の専門医
オ 日本脳神経外科学会認定の専門医

(2)本剤の投与開始前3か月以上における「1か月あたりのMHD平均」

(3)患者が、次の「ア」-「エ」のいずれに該当するか
ア 非薬物療法および片頭痛発作の急性期治療等を既に実施している患者で、それらの治療を適切に行っても日常生活に支障を来している
イ 我が国で既承認の片頭痛発作の発症抑制薬のいずれかが、効果が十分に得られず使用・継続ができない
ウ 我が国で既承認の片頭痛発作の発症抑制薬のいずれかが、忍容性が低く使用・継続できない
エ 我が国で既承認の片頭痛発作の発症抑制薬のいずれかが、禁忌・副作用等の観点から安全性への強い懸念があり使用・継続できない



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