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GemMed塾診療報酬改定セミナー2026

2028年度までに、全病院が「急性期拠点、高齢者救急等のどの機能を果たすか」を決定・明確化—地域医療構想・医療計画検討会

2026.2.24.(火)

2026年度から、これまでの病床機能報告に加えて、新たに医療機関機能報告を行うことが病院の義務となるが、次のように考えてはどうか―。
▽まず各医療機関が自ら検討を行った上で、▼現在担っている機能に近い医療機関機能▼2040年に向けて担う医療機関機能▼診療実績—などを報告する(2026年度から)

▽地域医療構想調整会議において、診療実績等の客観的なデータも踏まえながら協議を行い、遅くとも2028年度までに「各医療機関が2040年に向けて担う医療機関機能」を決定 する(2028年度までに「どの病院がどの機能を担うのか」をすべて決定する)

▽決定以降、各病院等は「その決定された医療機関機能と診療実績等」を都道府県へ報告する(2028年度以降)

また、地域医療構想の策定・実現スケジュールについては、次のように考えてはどうか―。
▽まず地域の現状を把握し、地域ごとの課題を共有しながら、構想区域の設定、必要病床数の推計、医療機関機能の確保などについて、具体的な目標を設定・共有し、取り組みや協議を行う

▽課題把握や対応案の設定等の各段階において、その内容を公表する

▽2026年度から27年度上半期を目途に、構想区域ごとに「現状の把握、必要病床数の設定、医療機関機能の確保、その他の中心的課題や都道府県単位で取り組むべき課題」を設定し、必要に応じて構想区域の見直しを行う

▽2028年度までに「取り組みの方向性」を決定する

▽「具体的な取り組み」について、「第9次医療計画の検討の過程」(第9次計画は国が28年度に基本方針を示し、各都道府県で29年度に作成する)等で検討する

▽2035年を目途に、各都道府県で「一定の成果」を確保する

2月20日に開催された「地域医療構想及び医療計画等に関する検討会」(以下、検討会)で、こういった「とりまとめ」案に基づく議論が行われました。検討会では3月上旬にも「とりまとめ」を行い、その後、「とりまとめ」内容を踏まえて厚生労働省で「新地域医療構想策定ガイドライン」を年度内に作成・公表する予定です。

2月20日に開催された「第11回 地域医療構想及び医療計画等に関する検討会」

急性期拠点病院の選定、診療実績データを基本に諸要素を考慮して「総合的」に考えよ

2040年頃を目指した医療提供体制の設計図である「新地域医療構想」を各都道府県で策定しますが、その際の拠り所となる「新地域医療構想策定ガイドライン」に関する議論が佳境を迎えています。

「地域医療構想の実現」とは、「地域の医療ニーズ」と「地域の医療資源」(病床、医療従事者、設備など)とを過不足なくマッチさせることを意味します。「将来の地域における医療ニーズ」を表現したものが【地域医療構想】、「現在の地域における医療資源」を表現したものが【病床機能報告】であり、地域の協議の場(地域医療構想調整会議など)で関係者が膝を突き合わせて、【地域医療構想】(医療ニーズ)と【病床機能報告】(医療資源)との調和をどう図っていくかを議論し、合意のうえで「病院・病床の機能転換」や「規模の最適化」などを進めていきます。

将来の医療ニーズを示す【地域医療構想】には、例えば2040年において▼「高度急性期病床は何床必要か、急性期病床は何床必要か、包括期病床は・・・」といった、機能別の必要病床数▼「急性期拠点病院はどこか、高齢者救急・地域急性期拠点病院はどこか・・・」といった、医療機関の機能—などを明示することになります。

また、現在の医療資源を示す【病床機能報告】では、現在・2040年において▼「自院には高度急性期病床は何床あるのか、急性期病床は何床あるのか」といった、病床機能▼「自院を急性期拠点病院と考えるのか、高齢者救急・地域急性期拠点病院と考えるのか」といった、医療機関機能—などを報告することが必要です(ほかに病院・病棟の機能を示す構造・設備、スタッフなども報告する)。

【地域医療構想】は各都道府県で、地域の実情を踏まえて策定しますが、その際の拠り所となる「新地域医療構想策定ガイドライン」作りに向けた議論が検討会で進められてきました。

2月20日の会合には、これまでの議論を整理した「とりまとめ案」が厚労省から提示されました。「とりまとめ」案は、検討会から国(厚労省)に対して「こうした点に留意してガイドラインを作成してほしい」という指示・要望となるものです。

新たなガイドラインは、既にある「2025年頃をゴールとした現行の地域医療構想策定ガイドライン」(関連記事はこちら)をベースに、新地域医療構想で新たに盛り込まれた「医療機関機能」や、考え方を大きく見直す「必要病床数」などの考え方を盛り込むことになります。このため、検討会でも「新たに盛り込まれる部分、従前から考え方を大きく変える部分」を中心に議論がなされています。逆に「従前から考え方が変わらない部分」については特段の議論はなされていません。

とりまとめ案の中で目立つ部分(新たに盛り込まれる部分、考え方が大きく変わる部分)を拾ってみましょう。

●とりまとめ案はこちら(修文、追加などが今後行われる)

(1)構想区域の設定
▽現在、2次医療圏の半数近くが「人口20万人以下」となっており、人口減少が進む 中、こうした地域で「入院医療等の完結」を目指すことは困難であるため、現在の患者動向を前提として、人口動態、医療資源、医療へのアクセス等を踏まえながら必要に応じて「構想区域の広域化」等を検討する必要がある

▽人口の少ない2地域で都道府県域を越えて流出入がある場合等について、「急性期拠点機能病院を両区域で1つ整備する」方向性を共有し、アクセス支援や病院運営等の連携を検討することも必要



(2)地域医療構想調整会議
▽「都道府県単位の調整会議」と「構想区域単位の調整会議」を設定することが考えられる

▽将来にわたる慢性期医療ニーズや人材確保等の見通しに関する現状把握・課題の整理等は構想区域単位や都道府県単位で行う

▽サービス提供者間の連携等のより実務的な連携を検討する場として「郡市区医師会単位や構想区域より狭い在宅医療圏域等の単位で検討する」こと、「議題等に応じた会議体を設置する」こと、「特に課題がある地域について会議体を設置する」ことなど、都道府県の 体制等に応じて調整会議を設定することが必要
→市町村が主体となる会議体等を活用して連携する場合でも、都道府県は地域医療構想の策定主体として主体的に関わる



(3)医療機関機能
【報告、スケジュールなど】

▽まず各医療機関が自ら検討を行った上で、▼現在担っている機能に近い医療機関機能▼2040年に向けて担う医療機関機能▼診療実績—などを報告する(2026年度から)

▽地域医療構想調整会議において、診療実績等の客観的なデータも踏まえながら協議を行い、遅くとも2028年度までに「各医療機関が2040年に向けて担う医療機関機能」を決定 する(2028年度までに「どの病院がどの機能を担うのか」をすべて決定する)

▽決定以降、各病院等は「その決定された医療機関機能と診療実績等」を都道府県へ報告する(2028年度以降)
※2028年度以降に、医療機関の取り組み状況や地域の医療需要の変化等を踏まえて、地域医療構想調整会議で協議し「医療機関機能の見直し」を行うことも想定される

▽複数の医療機関機能を報告する上での考え方を整理することが必要である



【高齢者救急・地域急性期機能】
▽高齢者をはじめとした救急搬送を受け入れ、必要に応じて専門病院や施設等と協力・連携して入院早期からのリハビリ・退院調整等を行い「早期の退院」につなげ、退院後のリハビリ等の提供を行う

▽年齢で一概に高齢者救急を定義づけることは困難であり、患者の救急搬送先を選定する際に「一律の基準をもって当該患者が高齢者救急であると判断して包括期病床を持つ医療機関に搬送する」といった対応は困難だが、救急隊と医療機関との間で、平時からの治療状況・方針等の情報連携の体制の構築や地域の医療提供体制の確保状況を踏まえながら、「高齢者救急について、傷病者の搬送・受け入れの実施に関する基準」(実施基準)に位置づけることが必要(地域ごとに実施基準を検討する)

▽手術等の医療資源を要する急性期医療を安定的に提供していくために、「地域全体の医師の数や働き方の状況等を踏まえ、急性期拠点機能を担う病院に集約」しつつ、「それ以外 の救急搬送について高齢者救急・地域急性期機能を担う医療機関が主に受け入れる」などの役割分担について協議することが重要



【急性期拠点機能】
▽地域での持続可能な医療従事者の働き方や医療の質の確保に資するよう、救急医療の提供や、手術等の医療資源を多く要する医療について、幅広く総合的に提供する

▽単に手術実施や救急医療提供を行うだけでなく、例えば▼災害医療への対応▼新興感染症対応▼医育(臨床研修・専門研修)▼地域の医療機関への人的協力(医師派遣等)▼地域における必要な病床の確保のための積極的な役割—など、各地域において政策的に必要な医療等も含め、地域において求められる医療を提供する必要がある

▽診療実績データを基本としつつも、「政策医療の実施状況」「経営状況」「建物の状況(老朽化など)」も含め、どの病院を急性期拠点機能に位置付けるか「総合的」に地域で協議することが重要である

▽人口の少ない地域にでは「1か所」を確保・維持し、地方都市型地域や大都市型地域では「人口20-30万人」の単位で1か所確保することを基本的な考え方とする
→人口が少ないが、手術件数等や他区域からの流入が多い地域では「2か所」確保することも考えられる
→人口30万人超でも、他区域への流出が多く手術件数等の症例数が少ない場合には「1か所」とすることも考えられる

▽急性期拠点機能病院が増加し医師等の医療資源や急性期症例が分散すると、医療従事者の働き方に不均等や非効率が生じ、結果として「必要な24時間の救急医療提供や緊急手術等への対応体制の維持が地域全体として困難になる」「医育や医療の質の確保に必要な症 例数が集積されなくなり、医師の偏在傾向が悪化する」など、医療提供体制の持続可能性が懸念される点に最大限留意する



【在宅医療等連携機能】
▽地域での在宅医療の実施、他療機関や介護施設、訪問看護、訪問介護等と連携した24時間対応や入院対応を行う

▽在宅医療を提供する場合には、生産性向上を通じて効率的な在宅医療提供体制を構築できるよう▼往診▼D to P with Nを含むオンライン診療▼在宅療養患者のバイタル等の遠隔モニタリング―などを積極的に活用することが求められる



【専門等機能】
▽上記機能にあてはまらない集中的なリハビリ、中長期にわたる入院医療(慢性期入院医療)、一部の診療科に特化し地域ニーズに応じた診療を行う

▽麻酔科医や外科医等の確保が更に困難となることが見込まれる中で、地域でそれら医師等を確保し、効率的な医療提供を行うためには「地域内での手術等の集約化」が必要となることも想定される

▽がん診療連携拠点病院等のうち「専門等機能を担う」医療機関については、地域全体の医療機関機能の連携・再編・集約化の観点を踏まえつつ、第9次医療計画(2030-35年度)等に向けた「医療計画における5疾病6事業等の検討」に当たって、医療機関の類型などの考え方についても確認し、必要に応じて整理することが必要である



【医療機関の連携・再編・集約化】
▽急性期医療については、構想区域ごとに「緊急性の高い疾患や頻度の高い疾患等に対応できる体制」の確保が必要となる。高度な手術等については、地域の医療資源に応じて「構想区域よりも広域な単位で集約して実施する」ことを検討する必要がある

▽胆嚢炎手術などの頻度が高い全身麻酔を要する手術については均てん化され、構想区域ごとに確保されることが求められるが、小規模で全身麻酔手術を実施する医療機関が多く存在している地域では「外科医師の確保や育成、麻酔科医等の周術期に関係するその他の職種を確保する」観点を踏まえながら、体制を検討する必要がある

▽救急医療の役割分担について、地域によって▼救命救急センター等の基幹的な病院が多くの救急車を受け入れてから下り搬送を行う▼多くの医療機関で救急車を受け入れ、重症例を上り搬送する―などの多様性があるが、増加する高齢者救急への対応等のため「急性期拠点機能を担う医療機関『以外』でも救急対応を確保する」必要がある

▽例えば急性期拠点機能や急性期病床の集約化だけではなく、「救急車の受け入れや、手術の実施を行う医療機関の集約化や役割分担、夜間に緊急手術を行う医療機関の集約化」なども検討する必要がある



【医育および広域診療機能】
▽都道府県単位で、特に「大学病院本院から急性期拠点機能を中心とした、地域医療構想全体を踏まえた人的協力(医師派遣等)のあり方」を協議することが重要である。その際、大学病院本院から急性期拠点機能病院に外科医や麻酔科医等を派遣する場合には、地域ごとの医療機関の連携・再編・集約化の取り組みに沿ったものとする必要がある

▽広域な観点での診療については、小児がんや移植医療など「症例数が少ない医療提供」のため、都道府県単位またはより広域な単位で連携して医療提供を将来にわたり維持すること、医育については、これらの地域で多様な症例に対応する人材を育成する体制が構築できるようにすることなどが求められる

▽大学病院本院は「医育および広域診療機能のみ」を報告する



(4)地域医療構想の策定・実現に向けたプロセス等
▽地域医療構想の策定は「2028年度まで」に行う
▼まず地域の現状を把握し、地域ごとの課題を共有しながら、構想区域の設定、必要病床数の推計、医療機関機能の確保などについて、具体的な目標を設定・共有し、取り組みや協議を行う

▼課題把握や対応案の設定等の各段階において、その内容を公表する

▼2026年度から27年度上半期を目途に、構想区域ごとに「現状の把握、必要病床数の設定、医療機関機能の確保、その他の中心的課題や都道府県単位で取り組むべき課題」を設定し、必要に応じて構想区域の見直しを行う

▼2028年度までに「取り組みの方向性」を決定する

▼「具体的な取り組み」について、「第9次医療計画の検討の過程」(第9次計画は国が28年度に基本方針を示し、各都道府県で29年度に作成する)等で検討する

▼2035年を目途に、各都道府県で「一定の成果」を確保する



これまでに検討会で議論を重ねてきた内容を整理したものであり、特段の「新たな考え方」は示されていませんが、例えば、次のように【医療機関機能報告、スケジュール】などがクリアカットに示されている点に注目できます。2028年度までに全国のすべての病院について「どの機能を果たすのか」が決定されることから、地域住民が「A病院は急性期拠点機能を持ち手術等はここで受けるのだな」などを明確に把握することが可能となります。

▽まず各医療機関が自ら検討を行った上で、▼現在担っている機能に近い医療機関機能▼2040年に向けて担う医療機関機能▼診療実績—などを報告する(2026年度から)

▽地域医療構想調整会議において、診療実績等の客観的なデータも踏まえながら協議を行い、遅くとも2028年度までに「各医療機関が2040年に向けて担う医療機関機能」を決定 する(2028年度までに「どの病院がどの機能を担うのか」をすべて決定する)

▽決定以降、各病院等は「その決定された医療機関機能と診療実績等」を都道府県へ報告する(2028年度以降)



なお、急性期拠点機能病院については「人口20-30万人に1か所」に集約化する必要があるため、診療データや機能などを踏まえて、地域医療構想調整会議で「どの病院を急性期拠点病院として指定し、外科医や高難度症例を集約するに相応しいか」を議論していく必要があります。しかし、高齢者救急・地域急性期機能や在宅医療等連携などについては「増大するニーズに応える」ために、多くの病院がその機能を担うことが期待され、その指定については、よほどの事情がない限り、「病院の申請」を受け入れるケースがほとんどになると思われます(具体的な基準を定め、「基準をクリアしなければ高齢者救急・地域急性期機能として認めない」といった運用はなされない見込み、関連記事はこちら)。



また、必要病床数設定の考え方については「さらに議論を深める」ことになっています(現時点ではペンディング)。



構成員からは、例えば▼急性期拠点機能病院となるために「軽症の救急患者」などを大病院が奪い合うような事態が生じてはいけない(坂本泰三構成員:日本医師会常任理事、伊藤伸一構成員:日本医療法人協会会長)▼必要病床数の推計にあたっては「改革モデル」を強く意識すべき(土居丈朗構成員:慶應義塾大学経済学部教授)▼高齢者救急に関する実施基準については地域のメディカルコントロール協議会などで柔軟に検討していくことになろうが、その協議会の関係者に「新地域医療構想」の考え方を十分に理解してもらう必要がある(望月泉構成員:全国自治体病院協議会会長、今村英仁構成員:日本医師会生涯教育・専門医の仕組み運営委員会センター長)▼急性期拠点機能は「人口20-30万人に1か所」が基本となり、それ以上の指定は「極めて例外」である点を確認すべき。症例、医療資源の散財の弊害をすべての関係者が共有すべき(伊藤悦郎構成員:健康保険組合連合会常務理事)—などの意見・注文が出ています。

なお、ガイドライン等に盛り込むべき事項ではないと思われますが「機能転換、再編・統合などに向けた財政的支援」の重要性を指摘する声が菅原琢磨座長代理(法政大学経済学部教授)や岡俊明構成員(日本病院会副会長)らから出されました。従前より「地域医療介護総合確保基金」による支援が行われ、また2026年度診療報酬改定では「急性期入院医療の集約化」を促す診療報酬設定が随所に盛り込まれています。こうした声を踏まえた「さらなる財政支援」についても厚労省で検討していくことになるでしょう。

検討会では、必要病床数に関する最終調整等も含めて、3月上旬にも「とりまとめ」を実施。その後、「とりまとめ」内容を踏まえて厚労省で「新地域医療構想策定ガイドライン」を年度内に作成・公表する予定です。



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新たな地域医療構想論議、「現行の考え方を延長する部分」と「新たな考え方を組み込む部分」を区分けして進めよ—社保審・医療部会(2)

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