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GemMed塾診療報酬改定セミナー2026

医療人材の離職防止・地域医療確保のため、高機能病院で「院内病児・病後児保育」整備進めよ―日本放射線科専門医会・医会(JCR)

2026.2.20.(金)

多くの医療従事者においては、「子どもが傷病の際に、病院とは離れた場所の病児保育施設等を利用する」ことが考えられるが、現実的には難しい―。

医療人材の離職防止・地域医療確保のためには、まず特定機能病院や地域医療支援病院といった高機能病院で「敷地内(院内)病児・病後児保育」を設置することが重要であり、病院の評価における重要指標に位置付けるべきである―。

日本放射線科専門医会・医会(JCR)が2月17日に、厚生労働省医政局の森光敬子局長に宛ててこうした提言を行いました。

日本放射線科専門医会・医会が厚労省医政局の森光敬子局長を訪問し「院内病児・病後児保育の必須化および可視化」に関する提言書を手交(2026年2月17日)。向かって左より松林(名本)路花理事(国立病院機構九州医療センター)、森光医政局長、山田惠理事長(京都府立医科大学)

限られた医療従事者の欠勤・離職を放置すれば、「地域医療提供体制の崩壊」にもつながる

少子高齢化が進み医療人材の確保が難しくなってきています。また、医師働き方改革を着実に進めることが「医師の健康・生命確保」と「地域医療提供体制の確保」とを両立するために極めて重要な課題となっています。

そうした中で日本放射線科専門医会・医会では「高機能病院における院内病児・病後児保育の必須化・可視化」が必要であると訴えます。

その背景として次のような点が指摘されています。
▽多くの医療従事者が電車・バスなどの公共交通機関で通勤している現状では、「勤務地と異なる場所にある、地域の病児保育施設」を利用することは極めて困難である(▼「自宅→施設→病院」という移動のため始業時間に間に合わない、あるいは午前勤務を放棄せざるを得ない▼体調不良の児童を連れての公共交通機関利用は、患児の身体的負担が大きく、感染拡大防止の観点からも避けるべき)

▽「地域の病児保育施設」の多くでは、予約開始直後に満員となり、キャンセル待ちが常態化しているため、「預け先が見つからない」ケースが頻発している

▽子どもの急病は、医療従事者、とりわけ子育て期の医師・看護師にとって「突発的な欠勤および就業継続の断念につながる主要因である」ことが複数の公的調査および学術研究で示されている(例えば、北海道大学病院と日本医師会との共同研究厚労省の病児保育事業運営状況調査

▽家族構成および就業形態の違いによって「病児保育に対するニーズ」が大きく異なることも先行研究で示されており、例えば「単独世帯・共働き核家族においては、子どもの急病時に「代替的な養育者」を確保できない割合が高く、病児保育への依存度が顕著に高い」などが報告されている



これらを踏まえると「病児保育施設が自宅や就業場所から物理的に離れている場合、利用意向があっても実際には利用できない」ケースが少なくなく、「就業場所と同一敷地内で完結する病児・病後児保育体制の整備が、子育て期医療人材の定着に資する合理的施策である」と言えます。

また、これらは個々の医療従事者における問題にとどまらず、「地域の医療提供体制の持続性」に直結する問題であることは述べるまでもないでしょう。限られた医療スタッフの欠勤・離職問題が放置されれば、病院における医療法、診療報酬上の人員配置基準クリアを困難にし、結果、「病院経営の逼迫→地域医療提供体制の崩壊」につながってしまいます。

こうした状況を踏まえて日本放射線科専門医会・医会は、森光医政局長に次のような提言を行いました。なお、本提言については「医療法の施行に関する通知で一律の義務化を直ちに求めるものではなく、医療機関ごとの勤務実態および地域特性を踏まえた評価および可視化を通じて、実効性のある取組を段階的に促進することを目的とするもの」と付言しています。

(1)医療法の施行に関する通知への記載(評価・認定の要件化)
▽「医療法第25条に基づく立入検査」(2023年の改正要綱はこちら)、「特定機能病院・地域医療支援病院等の承認要件」(関連記事はこちら)に関する通知において、勤務環境改善の取り組み評価として以下の記述を追加すべき
▼「院内保育所」の有無に加え、「敷地内における病児・病後児保育(体調不良児対応型を含む)の整備状況」を独立した確認事項とする

▼医療勤務環境改善支援センターによる認定や評価において、「敷地内への院内病児保育の整備」を高度医療機関における必須、あるいは重点加点項目とする
→物理的に敷地内整備が困難な場合は、近隣医療機関または地域の保育施設等との広域的な共同設置・共同運営、あるいは専用の送迎体制を確保した上での連携を代替措置として認め、これを評価の対象とする
→地域の医療資源の状況を踏まえ、「特定機能病院や地域医療支援病院が連携して1つの病児保育施設を共同で設置・運営する」体制も、単独設置と同等に評価する柔軟な基準を設ける



(2)医療機能情報提供制度(医療情報ネット「ナビイ」)における報告・公表項目の追加(可視化)
▽患者および求職者である医療従事者が施設の体制を容易に把握できるよう、「医療機能情報提供制度」の報告・公表項目を次のように改正・拡充する。その際、当該項目は省令・告示で定める報告・公表項目として位置付ける

▼「病児・病後児保育の実施の有無」および「当該施設が敷地内にあるか否か」を明確に区別し、都道府県の公表システムおよび各医療機関のウェブサイト上の目立つ位置への掲載・明示を義務付ける



(3)地域医療構想および自治体施策への継続事項としての位置づけ
▽各都道府県が策定する「地域医療構想」の実現に向けた地域医療構想調整会議において、医療人材確保の具体的方策として「院内病児保育の広域連携または重点整備」を継続的な検討事項とする
▽自治体においては、院内病児保育施設を「地域の子育て資源」としてもカウントし、院内設置であっても運営費補助等の行政支援が永続的に受けられる仕組みを整備する



(4)院内病児保育施設に対する財源措置の抜本的強化
▽高度医療機関における医療人材の安定確保と、24時間・重症対応という医療現場特有のニーズに対応するため、病児保育施設の整備・運営に対する財政支援を次のように抜本的に強化する
▼設置費用への支援:病院内での病児保育所開設にかかる初期設置費用(目安として500 万円程度)に対する補助金制度を新設する
▼運営費補助の拡充:既存の院内保育所向け補助金(病児等保育加算)や、内閣府の病児保育事業補助では、高度医療機関が求める24時間体制や看護師の手厚い配置に対応するための費用を十分に賄えないため、高度機能を持つ敷地内病児保育を対象とした「独立した運営費補助事業の新設」、あるいは「既存の補助金の大幅な増額」を行う



日本放射線科専門医会・医会では「高度医療を担う人員を確保し、地域医療を守るためには、職員が『子どもを連れて病院に連れてきて、そのまま働ける』環境の整備が不可欠である。職場環境評価における『敷地内病児保育』の重要性を再定義してほしい」と強く訴えています。

提言の背景等



今後の厚労省の動きに注目が集まります。



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