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260226ミニセミナー診療報酬改定セミナー2026

「人口20-30万人に1か所の急性期拠点機能病院」はあくまで目安とせよ、地域密着型病院の機能論議を進めよ—日病・相澤会長

2026.2.19.(木)

新地域医療構想策定ガイドライン論議が進んでいるが、例えば「人口20-30万人に1か所の急性期拠点機能病院」との考え方は、あくまで目安とし、地域で柔軟に議論・設定できるようにすべき―。

今後、重要性が更に増していく「地域密着型病院」がどういった役割・機能を地域で発揮すべきか、という議論をさらにすすめるべき―。

地域医療構想の実現に向けては、財政支援、人的再配置、診療報酬上の配慮等を含め「国・自治体が一体となって病院の機能転換・撤退を支える仕組み」の構築が重要である―。

日本病院会がこうした提言をとりまとめ、相澤孝夫会長が2月18日に上野賢一郎厚生労働大臣に宛てて提出しました(厚労省医政局の森光敬子局長が代理受領)(日病サイトはこちら)。

地域医療構想に関する提言を手渡す日本病院会の相澤孝夫会長(写真向かって左)と、受領する厚生労働省医政局の森光敬子局長(写真向かって右)

地域医療構想調整会議、データに基づく議論を進め、リーダーシップの発揮にも期待

2040年頃を目指した「地域医療構想の実現」が、医療提供体制における最重要課題の1つとなっています。

「地域医療構想の実現」とは、「地域の医療ニーズ」と「地域の医療資源」(病床、医療従事者、設備など)とを過不足なくマッチさせることを意味します。両者にミスマッチがあれば、地域住民は必要な医療を受けることができず、また医療機関が効果的・効率的な医療を提供できません。

その際、「将来における地域の医療ニーズ」を表現したものが【地域医療構想】、「地域の医療資源」を表現したものが【病床機能報告】となります。地域の協議の場(地域医療構想調整会議など)で関係者が膝を突き合わせて、【地域医療構想】(医療ニーズ)と【病床機能報告】(医療資源)との調和をどう図っていくかを議論し、合意のうえで「病院・病床の機能転換」や「規模の最適化」などを進めていくことが求められます。

現在、「2040年をゴールとする新たな地域医療構想の策定ガイドラン」論議が進められています(関連記事はこちら)。

2040年頃にかけて、高齢者人口そのものは大きく増えない(高止まりしたまま)ものの、▼医療・介護双方のニーズを抱える85歳以上高齢者の比率が高まる▼支え手となる生産年齢人口が急激に減少していく(医療・介護人材の確保が極めて困難になる)—ことが分かっています。少なくなる一方の若年世代で、多くの高齢者を支えなければならず、「効果的かつ効率的な医療提供体制」の構築がますます重要になってきます。また、こうした人口構造の変化は、地域によって大きく異なります。ある地域では「高齢者も、若者も減少していく」ものの、別の地域では「高齢者も、若者もますます増加していく」、さらに別の地域では「高齢者が増加する一方で、若者が減少していく」など区々です。

このため2040年頃をゴールとする「新たな地域医療構想の実現」に向けた議論が精力的に進められ、近く「地域医療構想策定ガイドライン」がとりまとめられます。このガイドリアンに沿って各都道府県が地域医療構想を2026年度中に策定し、2027年度から地域医療構想の実現に向けた取り組みを順次進めていくことになります(関連記事はこちら)。

この点について日病幹部の間では、▼本来検討すべき「地域の日常医療の在り方」や「地域に密着した病院(高齢者救急・地域急性期・在宅医療機能やかかりつけ医機能を担う病院)」の整理が十分ではない▼医療需要は構造的に減少局面にあり、特に、医療人材は慢性的に不足しており、これらは今後急速に加速し地域差がますます拡大するが、その点を踏まえた検討が十分ではない▼現在の延長線上での医療提供体制の持続は困難であり、大きな転換期にある―との問題意識を持っています(関連記事はこちら)。

そこで次のような提言を行い、今後の「地域医療構想策定ガイドライン」論議に活かすよう求めています。

1.次のような現状認識をガイドラインの前提として明記すべき
・手術件数減少、在院日数短縮、人口構造の変化に伴う医療の質変化により急性期入院医療の需要縮小が見込まれる
・高齢者を中心とする身近な地域で提供すべき医療需要は増加が見込まれる
・病院は基準病床や医療計画等により様々な制約を受けてきたが、調剤薬局や訪問看護ステーションは規制されずに増加し、無床診療所も大都市を中心に増加している
・CT、MRI、手術支援ロボット等の医療機器を含めた医療供給はすでに過剰供給にあ
・医師・看護師等の病院に必要とされる人材は慢性的に不足し、医療の過剰供給と人材不足が同時に進む「ミスマッチ状態」が存在している



2.基準病床数と必要病床数の整理
▽「基準病床数」(法的上限管理)と「必要病床数」(将来需要)の性格は異なるが、地域の病床数を考えるうえで混乱を招いている。ガイドラインでは両指標の関係性・運用方法・将来の整合性の取り方を明確にすべき
▽必要病床数の計算は、様々な要因による変動幅が大きく現場が混乱することから、算定方法の再考が必要



3.構想区域・二次医療圏
▽医療現場の混乱を防ぐためにも「構想区域」と「二次医療圏」という二重の圏域の在り方、考え方を是正すべき
▽都市部では患者や医療従事者のフローが複雑化・多様化している一方で、地方では人口減少等により一つの圏域と考えることすら難しい地域もあり、「圏域設定の考え方」について原則と例外を明確にすべき
▽「都道府県をまたぐ圏域」が実態に即している場合の具体的な圏域方法等も明確に示すべき



4.病床機能と医療機関機能
▽「病床機能」と「医療機関機」について、違いと活用方法をガイドラインで明確に整理すべき



5.急性期拠点機能に関する考え方
(1)設定基準

「人口20-30万人に1拠点」はあくまでも目安とし、患者の流入・流出、地勢、交通条件、人口密度、高齢化、病院の医療分野別機能分化等の地域特性を踏まえ柔軟に運用すべき
▽急性期拠点機能を「一定の基準」で縛るのではなく、圏域内の病院が役割分担と連携により「圏域内に必要な医療を継続的に提供する」ために必要となる拠点機能とは何か?を救急医療機能も含めて圏域ごとに検討することを優先すべき

(2)急性期拠点病院の救急医療機能
▽「圏域内の救急医療」を、圏域内の様々な病院間の役割分担と連携で確保するという視点で救急医療を捉え、圏域ごとに適切な救急医療体制整備を検討することが重要

(3)圏域の見直し
▽急性期医療提供体制を構築する地域範囲を二次医療圏にこだわらず、社会情勢の変化に見合うように再設定することが望まれる



6.手術機能の集約化と均てん化
▽手術機能について、▼人口や疾病構造の変化による減少▼医療技術進展による手技の大きな変化—などを踏まえ、従来と異なる新たな体制を構築することが必要
▽「集約することが望ましい手術」「85歳以上の頻度の高い傷病に対する手術など最低限均てん化すべき手術」を、地域の医療事情や患者搬送に要する時間と距離、術者や麻酔科医の数、術者の育成等を考慮して体制を構築することが重要。



7.医師、看護師等の医療人材確保
▽養成校の定員充足率低下、病院看護師数や医療専門職の減少など、「医療人材の逼迫」を構造的課題として認識すべき
▽国の責任で、看護師等の医療人材を計画的に養成・確保する制度的枠組みの構築が必要
▽地域に密着した病院で多様な疾患・患者を総合的に診療する「病院総合医」が、今後の地域医療に不可欠であり、「病院総合医」の育成・定着を国の重要課題として制度設計を図り、専門医偏重ではない医師のキャリア像を国が示すことが重要
▽医師確保について「大学医局からの派遣に依存しない多様な手法」を国が検討・支援する制度的枠組みが必要



8.ガイドライン設計、地域医療構想調整会議の機能強化
▽ガイドラインは、地域の創意工夫を阻害しない「柔軟(穏やか)な設計」とすべき
▽救急車受け入れ台数、地域のシェア率等の数値はあくまでも参考として位置づけ、定性的な機能評価や地域での合意形成を重視する設計が不可欠
▽地域医療構想は「地方行政、医療関係者、地域住民がその必要性と方向性に理解納得するプロセス」があって初めて実効性を持つため、この「納得形成」を重視する姿勢をガイドラインに明確に位置づけるべきである。
▽現在の地域医療構想調整会議は、リーダーシップ不足、データの不十分さによって機能不全に陥っている
▽圏域(地域医療構想区域)全体を1つのメディカルエリアと捉え、圏域内の医療機関が役割分担と連携を前提として、人の柔軟な活用、医療機能補完等を可能とする体制構築をガイドラインで位置付けるべき
▽地域差を踏まえたいくつかの類型・パターンをガイドラインで示し、地域が主体的に構想を描けるようにすべき
▽ガイドラインは、「地域が自ら考え、選択し、責任を持つための指針」として設計されるべき
▽圏域を一体として機能させる観点から、診療情報、患者ID、業務プロセス、電子カルテ等の医療情報システムやCT、MRI等の医療機器、医療材料、さらには医師、看護師等の医療職員の働き方等について圏域内で標準化・共有化を進めることを国が後押しする制度的枠組みを整備すべき
▽地域医療構想調整会議においては、データに基づく実質的な協議を活性化させるとともに、適切な圏域設定と圏域全体を見渡した判断が可能となる強力なリーダーシップが発揮できる体制の構築が急務



9.地域に密着した病院、日常医療、在宅医療連携の議論・検討
▽地方における開業医の減少や高齢化、診療所機能の変化等により、今後は「地域に密着した中小規模病院」が果たす役割が増す
▽こうした病院が担うべき日常医療をどう維持するかを出発点とし、その医療を補完する機能をどう位置づけるかという整理を行う必要がある
▽新たな地域医療構想では、病院機能について「介護・在宅医療を含めた地域包括ケアシステム全体の中」に位置づける必要がある(とりわけ高齢者救急)



10.国による財政的支援
▽地域医療提供体制の再構築では、病院が機能転換や縮小、場合によっては撤退を選択せざるを得ない
▽その際、経営的・人的・制度的な支援なくして方向転換を求めることは現実的でなく、財政支援、人的再配置、診療報酬上の配慮等を含め、国・自治体が一体となって病院の機能転換・撤退を支える仕組みを構築すべき



今後の「地域医療構想及び医療計画等に関する検討会」論議の行方に注目が集まります。

【更新履歴】タイトル等に「人口10-20万人」とありましたが、皆さまご承知のとおり「人口20-30万人」の誤りです。謹んでお詫び申し上げます。記事は訂正済です。



病院ダッシュボードχ ZEROMW_GHC_logo

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新たな地域医療構想論議、「現行の考え方を延長する部分」と「新たな考え方を組み込む部分」を区分けして進めよ—社保審・医療部会(2)

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