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新たな地域医療構想論議、「現行の考え方を延長する部分」と「新たな考え方を組み込む部分」を区分けして進めよ—社保審・医療部会(2)

2024.9.6.(金)

新たな地域医療構想は、入院だけでなく、外来・在宅・医療介護連携等と範囲が大幅に広がる。「現行の考え方を延長する部分」と「新たな考え方を組み込む部分」を区分けして議論を進めるべき—。

各都道府県が「新たな地域医療構想」を策定する際の拠り所となるガイドラインを、今後、国で策定することになるが、都道府県の裁量を十分に確保すべきであり、「細部について厳格に定める」ことはすべきではないのではないか—。

9月5日に開催された社会保障審議会・医療部会では、こうした議論も行われました。今後の「新たな地域医療構想に関する検討会」論議にも活かされます(同日の医師偏在対策論議に関する記事はこちら)。

9月5日に開催された「第110回 社会保障審議会 医療部会」

「新たな地域医療構想」に向けて、医療部会でも状況確認

2040年頃を念頭においた「新たな地域医療構想」策定論議が「新たな地域医療構想等に関する検討会」(以下、新検討会)で進められています(関連記事はこちらこちらこちらこちらこちらこちらこちら)。

2025年度には団塊世代がすべて75歳以上の後期高齢者に達することから、急速な医療ニーズの増加・複雑化に対応できる効果的・効率的な医療提供体制を地域ごとに構築するため、【地域医療構想】の実現が求められています(関連記事はこちら)。

さらに2025年以降は、高齢者人口そのものは大きく増えない(高止まりしたまま)ものの、▼85歳以上の高齢者比率が大きくなる(重度の要介護高齢者、認知症高齢者の比率が高まる)▼支え手となる生産年齢人口が急激に減少していく(医療・介護人材の確保が極めて困難になる)—ことが分かっています。少なくなる一方の若年世代で、多くの高齢者を支えなければならず、「効果的かつ効率的な医療提供体制」の構築がますます重要になってきます。

また、こうした人口構造の変化は、地域によって大きく異なります。ある地域では「高齢者も、若者も減少していく」ものの、別の地域では「高齢者も、若者もますます増加していく」、さらに別の地域では「高齢者が増加する一方で、若者が減少していく」など区々です(関連記事はこちら)。

そこで、2025年以降、2040年頃までを見据えた「医療提供体制の新たな設計図」(ポスト地域医療構想、新地域医療構想)作成に向けた議論が進められているのです(関連記事はこちら)。



検討会では、今秋(2024年秋)に中間とりまとめを、年内(2024年内)に最終とりまとめを行う予定で議論が進められており、日病でもこのスケジュールに間に合うように考え方・提言をとりまとめるべく幹部での議論が進められています(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。



9月5日の医療部会では、検討会の状況報告を受けたうえで、新たな地域医療構想に向けたさまざまな意見が出されました。

例えば病院団体代表委員からは、▼市町村レベルで「市立病院の再編・統合」が概ね合意されても、選挙で新たな市長が「病院存続」を掲げて、ひっくり返ってしまうこともあるようだ。そうした場合には都道府県知事が新市長の決定(ひっくり返し)を凌駕できるような仕組みを考えるべき(泉並木委員:日本病院会副会長)▼病院経営は非常に厳しい状況にあり、「地域に必要な医療提供を行う病院」の支援を十分に考えていく必要があるのではないか。地域医療介護総合確保基金の拡充なども検討してほしい(神野正博委員:全日本病院協会副会長)—との提案がなされました。



他方、検討会の議論に関して▼検討テーマが多く、分科会やワーキンググループなどを設ける必要があるのではないか(城守国斗委員:日本医師会常任理事)▼土俵を広げすぎていないか。新地域医療構想は「白地に絵を描く」ものではなく、これまでの積み重ね(現行地域医療構想の論議・進捗)があるので、「この部分は従前の考え方を継続する」「この部分は新たな仕組みを考えてはどうか」といった具合に切り分けていく必要がある(島崎謙治委員:国際医療福祉大学大学院教授)—といった提案もなされました。



さらに、より具体的に▼現行の仕組みでは「病床の必要量」(患者数の将来推計がベース)と「病床機能報告による病床数」(各病院の「病棟の機能」報告がベース)との間に必ず乖離が出るため、両者を比較して「回復期病床が不足する」などの議論には意味がないと考える。この点を解消していくべき(島崎委員)▼地域医療構想調整会議では、病院関係者だけでなく、在宅医療・外来医療・介護などのすべての関係者が参画し、地域の医療・介護体制の在り方全体を議論すべき(佐保昌一委員:日本労働組合総連合会 総合政策推進局長)▼人口が大きく変化していく点を踏まえ、現行地域医療構想における「医療の効率化に向けた取り組み」を継続することが重要である(井上隆委員:日本経済団体連合会専務理事)—といった意見も出されました。



ところで、新たな地域医療構想に関しては、▼本年内(2024年内)に検討会で意見をまとめる→▼2025年度に国で「新たな地域医療構想に関するガイドライン」を検討し、発出する→▼2026年度に都道府県で「新たな地域医療構想」の検討・策定を行う→▼2027年度から「新たな地域医療構想の取り組み」を行う(第8次医療計画の中間見直し後の取り組み)—という大きなスケジュールが描かれています。

国で示す「ガイドライン」を拠り所にして、各都道府県で「新たな地域医療構想」を作成しますが、城守委員は「今後のガイドライン策定」に向けて、▼国が示す指針は、あまり厳格過ぎず、詳細過ぎないものとすべき。国が厳格・詳細なガイドラインを出せば、都道府県はそれに従ってしまい、地域によって医療提供体制・人口動態などが大きくことなる点が反映されない。現行地域医療構想が十分に進んでいない背景にはその点があるのではないか。あまり細部にわたる点をガイドラインで示すべきではなく、都道府県の裁量などを十分に確保すべき▼コンパクトシティ構想も勘案したガイドラインとすべき—との見解も示しました。一方、検討会では「都道府県、市町村が何をなすべきかを丁寧に示さなければ実行性が上がらない」(香取照幸構成員:未来研究所臥龍代表理事/兵庫県立大学大学院特任教授))との意見も出ており、今後、検討会でさらに議論を詰めていく必要がありそうです。



また現行地域医療構想は「一般病床・療養病床」がターゲットになっていますが、山崎學委員は「精神病床も地域医療構想に組み込んでほしい」と正式要望。厚生労働省大臣官房の高宮裕介参事官(救急・周産期・災害医療等、医療提供体制改革担当)は、この要望を踏まえて「精神科医療を所管する厚労省障害保健福祉部とも連携し、論点や課題の整理を行っていく」考えを明らかにしています。



なお、同日の医療部会では、2025年度からスタートする「かかりつけ医機能報告制度」の詳細についても確認を行い、「かかりつけ医機能は『医療機関の機能』であることが確認された。医師だけでなく看護師等の医療従事者に対する研修なども検討してほしい」(勝又浜子委員:日本看護協会副会長)などの意見が出されています(関連記事はこちら)。



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