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GemMed塾 病床ユニット

2024年度病床機能報告、地域包括医療病棟は急性期または回復期で報告、時間外加算取得状況の報告も—地域医療構想・医師確保計画WG(2)

2024.7.11.(木)

本年度(2024年度)の病床機能報告においては、新設された【地域包括医療病棟】については、各病院が「急性期または回復期」のいずれかを選択して報告することを基本とする—。

また、夜間の手術・処置や救急患者受け入れなどの状況を把握するために、「時間外、夜間、休日の手術・処置の件数」についても新たに報告を求めることとする—。

5月25日に開催された「地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ」(「第8次医療計画等に関する検討会」の下部組織、以下、地域医療構想・医師確保計画WG)で、こうした点が固められました。今秋(2024年秋)に各医療機関が行う病床機能報告では留意が必要です。

同日には、2023年度の病床機能報告結果の速報値も報告され、▼日本全体で見ると、病床の必要量(地域医療構想)と2025年の病床数見込み(病床機能報告)は、全ベッド数ベースでは同水準となる▼機能別・地域別に見ても乖離は縮小していきてる▼だし、機能別・地域別の乖離は依然、一定程度ある—ことが確認されました。「地域医療構想の実現に向けた取り組み」の加速化がさらに求められます(関連記事はこちら)。

なお、同日のワーキングでは「地域医療構想の進捗状況」について詳細な報告も行われており、別稿で見ていきます。

7月10日に開催された「第15回 地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ」

2024年度の病床機能報告、地域包括医療病棟への対応、夜間の医療提供状況把握を行う

2025年度には、いわゆる団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者に達することから、今後、急速に医療ニーズが増加・複雑化していくと予想されます。こうした増加・複雑化する医療ニーズに的確かつ効率的に応えるためには、各地域で「2025年度の医療ニーズを踏まえた地域医療構想の実現」が求められています。

地域医療構想は、地域(主に2次医療圏をベースとする地域医療構想調整区域)における将来(2025年)の医療需要をもとに、▼高度急性期▼急性期▼回復期▼慢性期等―の機能別必要病床数などを推計したもので、言わば「将来の医療提供体制の設計図」という位置づけです。

各地域で、実際の医療提供体制が、この設計図にできるだけマッチしていくよう(つまり「地域医療構想が実現する」よう)に、データ(各病院の診療実績や意向などの「病床機能報告」)をもとに、機能改革・連携強化に向けた論議を膝をつき合わせて行うことが求められています。

地域医療構想とは(地域医療構想・医師確保計画WG3 210729)

地域医療構想の実現に向けた取り組みの大枠(地域医療構想・医師確保計画WG4 210729)



病床機能報告は、一般病床・療養病床を持つすべての医療機関が、毎年度、「自院の病棟がそれぞれ、現在どの機能を持っていると考えるか、2025年にはどの機能を持つと考えるか」「診療実績はどのようなものか」などを都道府県知事に報告するものです。

2024年度の病床機能報告については、次の2点の見直しを行うことが7月10日のワーキングで固められました。
(1)【地域包括医療病棟】については、各医療機関が自病棟の機能を踏まえて「急性期」あるいは「回復期」として報告することを基本とする

(2)新たな報告項目として、時間外、夜間、休日の手術・処置の件数(=手術・処置の時間外加算・休日加算・深夜加算1および2の算定件数)を追加する



まず(1)の【地域包括医療病棟】は、2024年度診療報酬改定で新設されました(関連記事はこちら)。高齢患者が、介護力・リハビリ力などが相対的に弱い急性期病棟に入院した場合、「安静臥床に伴うADL低下や、栄養状態の低下、脱水などが生じてしまう」(結果、医原性の寝たきりに陥ってしまう)ケースもあることが問題視され、▼高齢の救急患者に包括対応する(急性期状態からの速やかな離脱に向けた十分な医療提供を行う)▼早期の退院に向けたリハビリ、栄養管理などを提供する▼退院に向けた支援を行う▼適切な意思決定支援を行う▼在宅復帰を支援する▼退院後の在宅医療を行う医療機関や介護事業所等との連携などを行う—ことを包括的に実施する新病棟【地域包括医療病棟】が設けられたものです。

高齢の救急搬送患者に包括的な対応を行う新病棟の創設が期待される(中医協総会(1)1 231215)



ワーキングでは「地域包括医療病棟は、どのような機能として病床機能報告を行うべきか」という疑問も出ていました(関連記事はこちら)。地域包括医療病棟には、「急性期一般1(7対1)からダウングレードする」「急性期一般2―6からスライドする」「地域包括ケア病棟からアップグレードする」などのルートが考えられますが、例えば「回復期機能をとして報告していた地域包括ケア病棟が、地域包括医療病棟にアップグレードし、救急患者を受け入れるので急性期機能であると報告する」となれば、「急性期→回復期への機能転換」を進める方針に逆行するのではないか、と心配する関係者もおられるのです。

この点について、ワーキングでは「病棟が主に回復期機能を提供している場合は回復期機能を選択し、主に急性期機能を提供している場合は急性期機能を選択するなど、個々の病棟の役割や入院患者の状態に照らして、医療機能を適切に選択する」という方針を固めました。「急性期または回復期のいずれかの機能として報告することを基本とする」と言えます(もちろん、他の機能で報告することも妨げられないが、高度急性期・慢性期として報告するケースは想定しにくい)。

地域包括医療病棟の病床機能報告について(地域医療構想・医師確保WG(2)1 240710)



関連してワーキングでは、▼総合的な診療能力を持つ医師の育成が重要課題になっている。総合診療専門医の養成には時間がかかるため、医師のリカレント教育などが重要になる。その観点では、救急医療・急性期医療・リハビリ・栄養管理・在宅復帰支援などを行う地域包括医療病棟はリカレント教育の場として適切と考えられる。そうした点からも地域包括医療病棟の整備を進めるべき(大屋祐輔構成員:全国医学部長病院長会議「地域の医療及び医師養成の在り方に関する委員会」委員長)▼回復期機能の定義見直しを新たな地域医療構想の中で考えることが重要であろう(江澤和彦構成員:日本医師会常任理事)—などの意見が出されています。



また(2)は「夜間における医療提供の実態」を、医療機関の回答負担にも配慮しながら調査・把握するものです。

厚労省の調査では「すべての構想区域で医療提供体制の課題を抱えており、その中では『救急医療体制の確保』や『医師確保』などが上位にあがっている」ことが分かっています。ひるがえって救急医療体制の現状をみると「準夜、深夜には、救急搬送先病院の選定がとりわけ困難である」、「とりわけ、準夜帯よりも深夜帯には搬送までの時間が長い」ことも分かっています。

すべての構想区域で、救急医療体制などの医療提供上の課題が認識されている(地域医療構想・医師確保WG(2)2 240710)

夜間の救急搬送には大きな課題がある(地域医療構想・医師確保WG(2)3 240710)



このため「準夜帯、深夜帯の医療提供体制の実態」(例えば夜間に手術等を行える体制の整備)を明らかにすることが、「地域における夜間の救急医療体制整備」論議にとって非常に重要です。

しかし、個別医療機関に「夜間のどのような手術を行える体制を整備しているか」「夜間にどのような態様の患者を受け入れることが可能で、その実績はどうか」などを細かく報告してもらうことは、回答負担が非常に大きくなってしまいます。

そこで、回答医療機関の負担にも配慮しながら、「準夜帯、深夜帯の医療提供体制の実態」を一定程度把握するために、新たに「時間外、夜間、休日の手術・処置の件数(=手術・処 置の時間外加算・休日加算・深夜加算1および2の算定件数)」報告を求めるものです。もちろん「国がNDBをもとに加算算定件数を集計して医療機関にデータを提示し、医療機関でそのデータに誤りがないことを都道府県に報告する」という従来の報告形態に変更はありません(各医療機関で新たに集計・報告することを求めるものではない)。

夜間の医療体制を把握するために、時間外加算等の報告を新たに求める(地域医療構想・医師確保WG(2)4 240710)



この点について江澤構成員は「報告結果が、調整会議での議論に活用できるような工夫を十分に行ってほしい」と厚労省に要望しています。

また、今村知明構成員(奈良県立医科大学教授)は「病棟のデータが少ない場合には、個人特定を回避するために、データとして挙がってこない。そのため病棟のデータを積み上げても『病院全体のデータ』との間に乖離が出てしまう。何らかの工夫をして『病院全体の実態』が明らかになるようにすべき」と提案していますが、これは新たな地域医療構想の中で「医療機関の機能」を考えることと関連した検討が行われる見込みです。

2023年度病床機能報告、急性期から回復期への転換がさらに進んでいることを確認

また7月10日のワーキングには、「2023年度の病床機能報告」結果の速報値も報告されました。

【2023年度における機能別の病床数】
▽合計:119万3000万床[2015年度に比べて5万8000床減](前年度(2022年度)報告に比べて6000床減)
▼高度急性期:16万床(全体の13%)[同9000床・1ポイント減](同3000床増)
▼急性期:52万5000床(同44%)[同7万1000床・4ポイント減](同9000床減)
▼回復期:20万4000床(同17%)[同7万4000床・7ポイント増](同5000床増)
▼慢性期:30万3000床(同25%)[同5万2000床・3ポイント減](同5000床減)

【2025年度における機能別病床数の予定・見込み】
▽合計:119万床[前年度(2022年度)報告に比べて増減なし]
▼高度急性期:16万2000床(全体の14%)[同3000床・1ポイント増]
▼急性期:51万8000床(同44%)[同7000床・0ポイント減]
▼回復期:21万1000床(同18%)[同1000床・0ポイント増]
▼慢性期:29万7000床(同25%)[同1000床・0ポイント増]

2023年度の病床機能報告結果速報1(地域医療構想・医師確保WG(2)5 240710)

2023年度の病床機能報告結果速報2(地域医療構想・医師確保WG(2)6 240710)

2023年度の病床機能報告結果速報3(地域医療構想・医師確保WG(2)7 240710)



前年度(2022年度)報告から、さらに急性期病床が減少し、回復期病床が増加している状況が伺えますが、「地域医療構想(いわば設計図・目標値)に比べると急性期病床がまだ多く、回復期病床が不足している」状況です。

また、地域別・機能別に「地域医療構想(病床の必要量)と、病床機能報告(2025年の見込み)との乖離」については、徐々に縮小傾向があるものの、「まだまだ一定の乖離がある」ことも確認できます。

病床の必要量(地域医療構想)と2025年病床数見込み(病床機能報告)との乖離は縮小しているが、解消には至っていない1(地域医療構想・医師確保WG(2)8 240710)

病床の必要量(地域医療構想)と2025年病床数見込み(病床機能報告)との乖離は縮小しているが、解消には至っていない2(地域医療構想・医師確保WG(2)9 240710)

病床の必要量(地域医療構想)と2025年病床数見込み(病床機能報告)との乖離は縮小しているが、解消には至っていない3(地域医療構想・医師確保WG(2)10 240710)

病床の必要量(地域医療構想)と2025年病床数見込み(病床機能報告)との乖離は縮小しているが、解消には至っていない4(地域医療構想・医師確保WG(2)11 240710)



この点について幸野庄司構成員(健康保険組合連合会参与)は「地域医療構想のゴール(2025年末)までに1年半と差し迫っているが、急性期が過剰で、回復期が不足している傾向に変わりはない。乖離の原因などを更にしっかり検証する必要がある」と指摘しましたが、「地域医療構想の最大のポイントは『入院医療(とりわけ慢性期機能)で受け入れていた患者うち、30万人は在宅や介護施設で対応する』というところにあり、その点はクリアできているとみることができる」(今村構成員)、「地域医療構想と病床機能報告との比較は厳密には行えない(ベッドの定義・計算方法などが来なる)。そろそろ比較論議は終了すべきではないか。回復期機能が不足して困っている地域は現実にあるのだろうか」(織田正道構成員:全日本病院協会副会長)などの声も出ています。

他方、高度急性期病床が2022年度報告から増加している点について、厚労省は「定量的基準の導入、看護配置の充実などが背景にある」と分析。また、新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえて「高度急性期医療提供機能の充実」が図られている可能性もありそうです。一方で「いわゆるなんちゃってICUが増えている可能性がある」と指摘する識者もおり、今後、詳しい分析が必要になってきそうです。

なお、同日のワーキングでは「地域医療構想の進捗状況」調査結果も詳しく報告されており、別稿で見ていきます。地域医療構想の実現に向けて、厚労省は「状況を継続把握し、必要な取り組みの推進を求めていく」考えを強調しています。



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