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【ポスト地域医療構想】論議スタート、医療介護連携、構想区域の在り方、医療人材確保、必要病床数設定等が重要論点—新地域医療構想検討会

2024.3.29.(金)

現在の地域医療構想の後継となる「新・地域医療構想」(名称は未定、本稿では「ポスト地域医療構想」と呼びます)の策定論議がついにスタートしました。

2040年頃までを見据えた【ポスト地域医療構想】作成論議を本年中(2024年中)に取りまとめるべく、3月29日に「新たな地域医療構想等に関する検討会」(以下、新検討会)が開催されました。

年内に取りまとめを行い、それを踏まえて2025年度に「ポスト地域医療構想作成に向けたガイドライン」を策定。このガイドラインに沿って、2026年度に各都道府県で「ポスト地域医療構想」を作成し、第8次医療計画(2024-29年度)の中間見直しにあたる2027年度から「ポスト地域医療構想に向けた医療提供体制改革」をスタートさせます。

3月29日に開催された「第1回 新たな地域医療構想等に関する検討会」

ポスト地域医療構想、入院だけでなく、外来、在宅、医療介護連携も視野に入れる

2025年度には団塊世代がすべて75歳以上の後期高齢者に達することから、急速な医療ニーズの増加・複雑化が生じます。こうした状況にマッチする効果的・効率的な医療提供体制を地域ごとに構築するため【地域医療構想】の実現が求められ、現在、様々な取り組みが進められています(関連記事はこちら)。

「2025年に必要となる病床数」を推計し(地域医療構想)、「病床数の実態・見込み」(毎年度の病床機能報告)との差を踏まえながら、地域(主に2次医療圏をベースとする地域医療構想区域)で「実態と必要病床数との乖離を埋めていく」(病床機能の転換、ベッド数の削減、病院の再編統合など)ものです。

ところで、2025年以降は「高齢者人口そのものは大きく増えない(高止まりしたまま)が、85歳以上の高齢者比率が大きくなる」とともに、「支え手となる生産年齢人口が急激に減少していく」ことが分かっています。少なくなる一方の若年世代で、多くの高齢者を支えなければならず、「効果的かつ効率的な医療提供体制」の構築がますます重要になってきます。さらに、こうした人口構造の変化は、地域によって区々となります(例えば、ある地域では「高齢者も、若者も減少していく」ものの、別の地域では「高齢者も、若者もますます増加していく」、さらに別の地域では「高齢者が増加する一方で、若者が減少していく」など)。

そこで、2025年以降、2040年頃までを見据えた「医療提供体制の新たな設計図」(ポスト地域医療構想)を作成する必要があり、今般、新検討会が開催されました。厚生労働省大臣官房の高宮裕介参事官(救急・周産期・災害医療等、医療提供体制改革担当)は、▼2040年頃を見据えた医療提供体制のモデル作成▼病床の機能分化・連携の更なる推進▼地域における入院・外来・在宅等を含めた医療提供体制議論—などを進め、本年末(2024年末)に取りまとめを行ってほしいと構成員に要請しています(関連記事はこちら)。

ポスト地域医療構想にかかる検討事項(社保審・医療部会1 240321)

ポスト地域医療構想にかかる論議のスケジュール(社保審・医療部会3 240321)



キックオフ会合となった3月29日の新検討会では、▼地域医療構想の実現に向けた取り組みが進み、「総病床数で見ると必要数と見込み数はほぼ一致する」「機能別に見ても必要数と見込み数が近づいてきている」ものの、地域別・機能別に状況にバラつきがある▼医療ニーズは入院・外来・在宅の別に、さらに地域別に大きな違いがある—ことなどを再確認したうえで、構成員間のフリートークとなりました。

注目すべき意見が多数だされましたが、Gem Meでは(1)医療・介護連携の推進(2)地域医療構想調整『区域』の設定(3)マンパワー(医療、介護人材)の確保(4)必要病床数等の設定—の4つのキーワードに注目しました。

まず(1)の医療・介護連携の推進は、現在の地域医療構想にはない「ポスト地域医療構想ならではの視点」と言えます。現在の地域医療構想は「主に入院医療の機能改革」を目指してきましたが、ポスト地域医療構想では「入院医療だけでなく、外来、在宅、かかりつけ医機能、さらに医療・介護連携も加味した、地域の医療・介護提供体制改革」を目指しています。

例えば、効果的・効率的な入院医療を実現するためには「早期に入院医療を終え、在宅生活に戻る」ことが重要となります(患者のADL・QOL維持等にも資する)が、これを実現するためには「退院後の在宅医療、外来医療体制」「介護サービスが必要となった場合の介護提供体制」を同時に整備する必要があります。また、複雑な医療・介護ニーズを抱える高齢者が増える中では、各サービスを、いわば「統括管理」する「かかりつけ医機能」の充実も重要となります。こうした点を踏まえて、「入院」だけでなく、総合的な医療・介護提供体制を考えていくことがポスト地域医療構想では求められているのです。

この点を意識し、新検討会では▼地域の病院・診療所・介護サービスなどが連携して1つの共同体となる「地域医療連携推進法人」の推進に注目する必要がある(岡俊明構成員:日本病院会副会長)▼介護や医療介護連携を理解した在宅医療提供医の養成が重要ではないか。また医療・介護連携では市町村の役割が重要となり(在宅医療介護連携推進事業の実施主体は市町村である)、ポスト地域医療構想でも「市町村の役割」を明確化すべき(佐藤博文構成員:岐阜県飛騨市市民福祉部地域包括ケア課長)▼地域における医療・介護連携の重要性は述べるまでもなく、ポスト地域医療構想は名称を「地域医療介護構想」とすべき(江澤和彦構成員:日本医師会常任理事)▼認知症・看取りへの対応も十分に考慮した医療介護提供体制を構築すべき(東憲太郎構成員:全国老人保健施設協会会長)▼在宅医療ニーズはほとんどの地域で増大していく、そこを重視した構想とすべき(吉川久美子構成員:日本看護協会常任理事)▼現在の地域医療構想の進捗状況を眺めると「慢性期入院医療」について必要数と見込み数との乖離が最も小さく、この背景には「療養病棟から介護医療院への転換」があろう。その意味でも医療提供体制を考える際に、介護の視点は欠かせない(尾形裕也座長代理:九州大学名誉教授)▼入院・外来・在宅・介護の連携関係の全体が地域住民に見えるようにすべき(河本滋史構成員:健康保険組合連合会専務理事)—などといった意見が出されています。

構想区域、入院、在宅や医療介護連携などで「重層的に設定する」考えも

また(2)の「地域医療構想区域の設定」も(1)と関連するテーマと言えます。現在の地域医療構想は「入院医療の機能分化」を目指したため、「一定の入院医療が完結する地域・区域」として2次医療圏を地域医療構想区域のベースとしました。しかし、介護サービスの多くは「市町村」を単位に提供されており、外来医療や在宅医療では「より狭い、日常生活圏域」という区域も重視されます。櫻木章司構成員(日本精神科病院協会常務理事)や河本構成員は「構想区域の線引き、区分けをどう考えるかが、非常に重要な論点になる」と指摘しています。

この点について厚労省の高宮参事官は「入院、外来、在宅などの区分ごとに重層的な構想区域を設定することも検討課題になる」との考えを示しました。例えばある地域では、「入院医療については現行どおり2次医療圏を中心に、地域の医療提供体制の在り方を検討する」が、「在宅や医療・介護連携については、介護サービスの提供単位である市町村を中心に、その在り方を検討する」といったイメージが思い浮かびます。新検討会では、こうした「入院、外来、在宅などごとに、重層的な構想区域を認める」といった考え方を固め、それをもとに、2025年度からのガイドライン作成論議の中で、より具体的に「重層的な構想区域の設定方法」などを詰めることなどが考えられそうです。

将来の「医療計画」にも関係する論点であり、今後の検討内容に注目が集まります。

ポスト地域医療構想が画餅に帰さないよう、「医療人材の確保」も最重要論点の1つに

さらに(3)は、少子化が進む中で「医療、介護人材をどう確保していくか」という深刻な問題です。「制度は作ったが、働く人がいない」のではポスト地域医療構想は画餅に帰してしまいます。

この点について画期的な解決策はありませんが、構成員からは▼少なくなる一方の現役世代で、増加する高齢者をどう支えるのか。病院や介護施設の運営方法、ICT利活用など、さまざまな方策を真剣に考えなければいけない。今の仕組みのままでは医療、介護提供体制は崩壊してしまう(猪口雄二構成員:全日本病院協会会長)▼現在の地域医療構想策定時には、医療人材は逼迫していなかったが、現在は少子化の加速、医師働き方改革など、状況が大きく変わっている。そうした点もポスト地域医療構想には盛り込むべき(土居丈朗構成員:慶応義塾大学経済学部教授)—との指摘がなされました。最重要論点の1つとなります。

必要病床数の設定では「稼働率の低下」「入院ニーズの減少」などもデータ踏まえて勘案を

他方、(4)の必要病床数等は、医療現場にとって「最大の関心事」と言えるのではないでしょうか(ベッド数は医療費とも深く関係するため、医療保険者等にとっても最大の関心事と言えそうである)。この点については、▼コロナ感染症が落ち着いているが、病院の病床稼働率はコロナ禍前の水準に戻らない。また高齢者像も変わってきている(元気高齢者が増えている)。必要病床数の推計にあたっては、こうした点も考慮しなければ「ベッド、施設の過剰」を招いてしまう点に留意すべき(高橋泰構成員:国際医療福祉大学大学院教授)▼高齢者が増加する中で、病床稼働率は低下している(入院ニーズの低下)が、一方、在宅ニーズは増加している。必要病床数などを考える際には、現状投影でなく、こうした点を十分に勘案する必要がある(江澤構成員)▼現在の地域医療構想では「データを活用して医療ニーズの推計」を行ったが、ポスト地域医療構想では、さらに医療機関連携や医療機関の機能などのきめ細かなデータも織り込んで必要病床数などを推計すべき。需要と供給を均衡させるには「価格による調整」と「数量による調整」との2つの方法がある。前者は診療報酬(中央社会保険医療協議会で議論)であり、後者がポスト地域医療構想になり、非常に重要な点である(土居構成員)▼病床の必要数と見込み数とでは「急性期が過剰で、回復期が過少」と指摘されるが、この乖離は「見かけ上のもの」ともいえる。例えば「奈良方式」に倣えば、「重症急性期の見込み数」は急性期の必要数と、「軽症急性期+回復期の見込み数」は回復期の必要数と概ね整合する。こうした点をポスト地域医療構想ではしっかり考えるべきであろう(尾形座長代理)

奈良県では、急性期と報告した病棟について、一定の基準を設けて「重症急性期病棟」と「軽症急性期病棟」に細分化した報告を求めている



このほか、尾形座長代理からは「ポスト地域医療構想の実現に向けた「財政的裏付け」が曖昧である」、「スケジュールがあまりにタイトで、取りこぼしが出る可能性がある」との懸念が示されました。後者について高宮参事官は「新検討会で2024年中に大枠(例えば制度改正関連事項)を固め、2025年度にガイドライン作成論議の中で詳細を詰める。さらに、ポスト地域医療構想のスタート後にも、調整・見直し論議を行うことも検討したい」との考えを示しました。

ポスト地域医療構想は、現在の地域医療構想を定めたときのような「ゼロからのスタート」ではありません(この点からは議論を進めやすい)。一方、現在の地域医療構想では勘案していない「外来、在宅、医療・介護連携」などを議論する必要があります(この点からは議論に時間がかかると見込まれる)。今後は「4、5月に関係団体等からヒアリングを実施」→「論点を絞り、議論を詰める」→「今夏・今秋(2024年)に中間とりまとめを行う」→「秋以降、第2ラウンド論議を行い、年内(2024年内)に最終とりまとめを行う」というスケジュール案が描かれていますが、どのように議論が進められるのか、注目が集まります。



なお、Gem Medを運営するグローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)では、機能再編や経営強化プランを策定する公立病院を支援するサービスメニューも準備しています。

GHCが「先行して新公立病院改革プラン改訂を行った病院」(市立輪島病院:石川県輪島市)を支援したところ、「入院単価の向上」「戦略的な病床機能強化の推進」などが実現されています。「経営強化」「機能強化」を先取りして実現している格好です。

ガイドラインでは「外部アドバイザーの活用も有効である」と明示していますが、コンサルティング会社も玉石混交で「紋切り型の一律の改革プランしかつくれない」ところも少なくありません。この点、GHCでは「膨大なデータとノウハウ」「医療政策に関する正確かつ最新の知識」をベースに「真に地域で求められる公立病院となるための経営強化プラン」策定が可能です。

●GHCのサービス詳細はこちら

従前より「地域単位での医療提供体制見直し」に着目してコンサルティングを行っているGHCアソシエイトマネジャーの岩瀬英一郎は「従来通りの考えにとどまらず、より緻密な分析を行い、戦略をもった検討をベースとして『地域に必要とされる公立病院の姿』を個々の病院の実情に合わせて検討する必要がある」と強調しています。



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