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新地域医療構想では「外来・在宅医療、医療・介護連携」も射程に、データに基づく外来・在宅医療体制等整備を—新地域医療構想検討会(2)

2024.11.11.(月)

新たな地域医療構想・病床機能報告では、従前からの「入院医療の機能分化・連携の強化」に加えて、外来医療、在宅医療、医療・介護連携なども射程にいれた「将来の医療提供体制ビジョン」を示すことになる—。

そこでは、データ(かかりつけ医機能報告、外来機能報告など)に基づいて地域ごとに外来医療、在宅医療、医療・介護連携の在り方などを検討していくことが重要である—。

11月8日に開催された「新たな地域医療構想等に関する検討会」(以下、新検討会)では、こうした議論も行われています(同日の「医療機関機能」に関する記事はこちら)。

11月8日に開催された「第11回 新たな地域医療構想等に関する検討会」

議題に応じて「協議を行う区域や参加者」を設定

2040年頃を念頭においた「新たな地域医療構想」策定論議が検討会で精力的に進められています。

現在の地域医療構想では「入院医療の機能分化、連携の強化」を主眼に置いていますが、新たな地域医療構想では、入院医療に加えて「外来医療」「在宅医療」「医療・介護連携」「医師確保対策」「医師偏在対策」なども網羅した総合的な「将来(2040年頃)を見据えた医療提供体制の中長期ビジョン」となることが決まっています(関連記事はこちらこちら)。

検討会では、すでに例えば「外来医療」については、例えば▼地域の実情を踏まえて「かかりつけ医機能を持つ医療機関」と「将来受診重点医療機関」との連携を進める▼外来医療だけでなく、在宅医療や介護保険サービスとの連携などを重視していく—などの点を確認していますが、「外来医療、在宅医療、介護保険との連携などに関する議論」をさらに深める必要があると厚生労働省は判断。11月8日の会合で、改めて「外来・在宅医療・介護との連携等」を議題としました。

厚労省大臣官房の高宮裕介参事官(救急・周産期・災害医療等、医療提供体制改革担当)は、▼多くの地域では外来医療ニーズはすでにピークを迎え、今後、減少局面に入る▼在宅医療・訪問看護については、多くの地域で今後もニーズが高まっていく▼一方、在宅医療のキャパシティには限界があり、しかも地域によっては「診療所の減少」が進んでいる▼在宅医療対応は病院も相当程度の役割を担っている▼療養病床と介護サービスをセットで考えると「医療・介護提供体制の地域差」は縮小する—などの点を確認。そのうえで、新たな地域医療構想では、次のような取り組みを進めてはどうかと改めて提案しました。

(1)新たな地域医療構想では、入院医療だけでなく「外来・在宅医療、介護連携等」も対象とする

(2)議題に応じて「協議を行う区域や参加者」を設定し、医療関係者、介護関係者、都道府県、市町村等の関係者の協議を実施する
→従来の構想区域だけでなく、「在宅医療等に関するより狭い区域」を設定する
→新たな地域医療構想の策定・推進に向けて、実効性のある議論に資するよう、区域ごとに議論すべき内容や議題に応じた主な参加者等についてガイドラインで明確化する

(3)かかりつけ医機能報告(医療機関からの実際の報告は2026年1月からスタート)外来機能報告などのデータを基に、地域の現在や将来の医療需要と資源の状況を踏まえつつ、地域の外来・在宅・介護連携等に関する状況や将来の見込みを整理して課題を共有する
→例えば、▼医師数▼診療領域ごとの診療体制▼時間外診療▼在宅医療・在宅介護の提供状況▼後方支援病床の確保状況▼慢性期・在宅需要と在宅医療提供量▼療養病床・介護施設・高齢者住まい等の状況▼医療機関と介護施設等との平時や緊急時の連携体制の構築状況—など

(4)地域の実情を踏まえ、課題への対応を検討・協議して「必要な外来・在宅医療の提供のための取り組み」を行う
→【不足する医療提供のための方策】在宅医療研修やリカレント教育の推進、医療機関や訪問看護の在宅対応力の強化、在宅患者の24時間対応の中小病院等による支援、診療所の承継支援、医師の派遣、巡回診療の整備など)
→D to P with N等のオンライン診療、医療DXによる在宅医療等の効率的な提供
→医療機関と介護施設等の具体的な連携、高齢者の集住等のまちづくりの取り組みとの連携



すでにこれまでの議論で指摘・確認された事項を整理したものといえ、構成員から異論・反論は出ていません。

今後の詳細を詰める議論に向けて、例えば(2)では「在宅医療を協議する区域」等について、▼テーマ(入院、外来、在宅など)によってエリアや参加メンバーが変わってくるので、丁寧に進める必要がある(望月泉構成員:全国自治体病院協議会会長)▼小規模の町村では在宅医療提供体制が十分に整っていないこともあり、そうした場合には「群市区医師会」を在宅医療提供体制の協議の場に据えることが期待される(今村知明構成員:奈良県立医科大学教授)—などの指摘が出ています。

この点、2024年度からの第8次医療計画においても「在宅医療圏域を2次医療圏とは別に設定することが可能である」点が明らかにされていますが(関連記事はこちらこちら)、厚労省の調べでは47都道府県のうち、▼2次医療圏と在宅医療圏域が同じところ:23▼2次医療圏域と在宅医療圏域を変えているところ:20▼在宅医療圏域の設定なし:4—という状況です。

第8次医療計画における2次医療圏と在宅医療圏域との関係(新地域医療構想検討会(2)1 241108)



2次医療圏には「複数の市区町村が含まれている」広範なエリアであるため「在宅医療提供の在り方を考えることが難しい」との指摘もあります。一方、今村構成員の指摘するとおり「小規模な町村では在宅医療提供体制が十分ではなく、地域で完結できないとこもある」という実態もあります。今後、「2次医療圏と在宅医療圏域を同じくして問題が生じていないのか」「2次医療圏と別の在宅医療圏を設定したところでは、どういった考えに基づいて在宅医療圏域を設定したのか」などを詳しく見ていくことも必要になってきそうです。



このほか、「外来・在宅医療、医療・介護連携」に関して、▼「地域医療介護構想」の視点を持って、地域で医療・介護連携を進めることが重要である。また在宅医療と在宅介護の連携においては、市町村と地域医師会との連携が極めて重要となる点を自治体サイドもしっかりと抑えてほしい(江澤和彦構成員:日本医師会常任理事)▼同じ在宅医療でも「自宅療養患者」への対応と、「施設入所者」への対応では、医師のアプローチの仕方も変わる。また両者の状況は地域で大きく異なる。地域ごとに考えていく必要があろう(猪口雄二構成員:全日本病院協会会長)▼今後「外来医療ニーズが減少し、在宅医療ニーズが高まる」が、それは地域において医療資源の配分の仕方がかわっていくことを意味する。そうした点を地域ごとに可視化していく取り組みを検討すべき(尾形裕也構成員:九州大学名誉教授)▼「地域医療構想とかかりつけ医機能報告」「地域医療構想と介護保険事業(支援)計画」とは、それぞれ車の両輪として考えるべき(土居丈朗構成員:慶応義塾大学経済学部教授)▼医師の高齢化、偏在を踏まえれば「一般クリニックが、地域の拠点的医療機関と連携して緊急対応する」仕組みを考える必要がある。また都市部における「在宅専門クリニック」の役割、クリニックの連携(異なる領域を専門とする医師の連携)・機能強化(自身の専門領域の拡大)などをどう考えるのかなども検討していくべき(松本真人参考人:健康保険組合連合会理事(河本滋史構成員(同連合会専務理事)の代理出席))—などの意見も出されています。

こうした意見も参考にしながら、さらに議論を進め「年内(2024年内)の意見とりまとめ」を行い、新たな地域医療構想の制度整備(医療法改正など)につなげていきます。





なお、Gem Medを運営するグローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)では、機能再編や経営強化プランを策定する公立病院を支援するサービスメニューも準備しています。

GHCが「先行して新公立病院改革プラン改訂を行った病院」(市立輪島病院:石川県輪島市)を支援したところ、「入院単価の向上」「戦略的な病床機能強化の推進」などが実現されています。「経営強化」「機能強化」を先取りして実現している格好です。

ガイドラインでは「外部アドバイザーの活用も有効である」と明示していますが、コンサルティング会社も玉石混交で「紋切り型の一律の改革プランしかつくれない」ところも少なくありません。この点、GHCでは「膨大なデータとノウハウ」「医療政策に関する正確かつ最新の知識」をベースに「真に地域で求められる公立病院となるための経営強化プラン」策定が可能です。

●GHCのサービス詳細はこちら

従前より「地域単位での医療提供体制見直し」に着目してコンサルティングを行っているGHCマネジャーの岩瀬英一郎は「従来通りの考えにとどまらず、より緻密な分析を行い、戦略をもった検討をベースとして『地域に必要とされる公立病院の姿』を個々の病院の実情に合わせて検討する必要がある」と強調しています。



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