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Gem Med塾 病院ダッシュボードχ ZERO

すべての開業医に地域で不足する医療機能(夜間対応など)への協力求める、外来機能報告データの利活用推進—第8次医療計画検討会(1)

2022.10.27.(木)

医療計画の一部である外来医療計画には、「都市部のクリニック開業集中」を是正し、地域で必要な機能の分担をクリニックにも積極的に求めていく機能もある。現在は「開業医の多い地域(都市部など)で新規開業する」場合に「地域で必要な機能分担を求める」こととしているが、今後は、「開業の多くない地域」、「既存の開業医」にも、つまり「すべてのクリニック開業医」に対し地域で不足する医療機能(夜間休日対応、学校医など)への協力を積極的に求めていく—。

CTやMRIなどの高額医療機器について、引き続き地域での「共同利用・効率的な利用」を求めていく—。

外来機能報告データを活用して、地域の外来医療提供体制改革論議を積極的に進めてもらう—。

10月26日に開催された「第8次医療計画に関する検討会」(以下、検討会)で、こういった方向が概ね固められました。同日には、5事業(救急医療、災害医療、へき地医療、周産期医療、小児医療)に関する見直し内容を概ね固めたほか、「改正感染症法案」(今後の6事業目となる「新興感染症対策」の基礎となる)の説明を受けており、これらは別稿で報じます。

10月26日に開催された「第16回 第8次医療計画等に関する検討会」

すべての開業医に「地域で不足する機能」(夜間対応、学校医など)への協力を求める

Gem Medで報じているとおり、2024年度から新たな「第8次医療計画」(2024-29年度の計画)がスタートします。検討会や下部組織のワーキンググループでは、都道府県が医療計画を作成する(2023年度中に作成)際の拠り所となる指針(基本指針、2022年度中に都道府県に提示)策定論議を進めています。

10月からは具体的な第2ラウンド論議に入り、徐々に見直し方向が固まりつつあります。検討会で年内(2022年内)に意見を整理し、それをもとに厚労省で年度末(2023年3月頃)に指針(基本方針)を示します。

【これまでの検討会論議に関する記事】
平均在院日数の地域格差、「地域性があり容認すべき」と考えるか、「医療の標準化に向け解消すべき」と考えるか—第8次医療計画検討会(2)
医療提供体制の基礎となる2次医療圏は適正な規模・エリア設定が重要、他計画にも影響するため優先検討を—第8次医療計画検討会(1)
かかりつけ医機能は医師個人・医療機関の双方に、「制度化や登録制」に疑問の声も—第8次医療計画検討会
「病院・クリニック間の医師偏在解消」「ベテラン医師ターゲットに据えた医師偏在解消」など進めよ—第8次医療計画検討会(2)
病院薬剤師や訪問看護師、特定行為研修修了看護師、医療計画に「ニーズ踏まえた確保策」規定へ—第8次医療計画検討会(1)
医療・介護サービスの一体提供可能とするため、在宅医療圏域は「市町村単位」が望ましいのでは—第8次医療計画検討会(2)
医療安全の向上に向け、例えば医療機関管理者(院長など)の「医療事故に関する研修」参加など促していくべき—第8次医療計画検討会(1)
2次救急と3次救急の機能分担、巡回医師等確保・オンライン診療によるへき地医療支援など進めよ—第8次医療計画検討会(2)
周産期医療・小児医療提供体制、医療の質確保や医師の負担軽減のため「集約化・重点化」を急ぎ進めよ—第8次医療計画検討会(1)
がん拠点病院が存在しない医療圏への対策、効果的な糖尿病対策、精神疾患対策の評価指標などが今後の重要論点—第8次医療計画検討会(2)
外来機能報告データ活用し、紹介受診重点医療機関の明確化だけでなく、幅広く「外来医療機能分化」論議を—第8次医療計画検討会(1)
高額医療機器の共同利用推進、「読影医・治療医配置なども勘案」した広範な議論求める声も—第8次医療計画検討会(2)
外来医師偏在の解消に加え、「かかりつけ医機能の明確化、機能を発揮できる方策」の検討も進める―第8次医療計画検討会(1)
人口減の中「2次医療圏」をどう設定すべきか、病床数上限である基準病床数をどう設定するか―第8次医療計画検討会
今後の医療提供体制改革では、「医療人材の確保」が最重要論点―第8次医療計画検討会
外来機能報告制度や紹介受診重点医療機関が「医師偏在」を助長しないよう留意を―第8次医療計画検討会
感染症対応では情報連携、看護師はじめ医療人材確保が最重要、課題検証し早急な改善を—第8次医療計画検討会
感染症対応医療体制を迅速確保できるよう、強制力持つ法令の整備を検討してはどうか—第8次医療計画検討会
集中治療認定医を専門医と別に養成し、有事の際に集中治療に駆け付ける「予備役」として活躍を—第8次医療計画検討会
2024年度からの医療計画に向けた議論スタート、地域医療構想と医師配置、外来医療など考えるワーキングも設置—第8次医療計画検討会



10月26日には「外来医療計画」の見直し方向を概ね固めました。

2024年度からスタートする第8次医療計画においては「外来医師の偏在解消」も重要なテーマとなります(医療計画の一部である「外来医療計画」の充実・強化など)。

「医療従事者の受給に関する検討会」や「医師需給分科会」における医師偏在対策論議の中で「外来診療を担う医師の偏在も大きな問題である」との問題意識の下、都道府県において次のような「外来医療計画」を作成し、「外来診療を担う医師の偏在」解消に向けて取り組むこととされました(2018年の医療法改正、関連記事はこちら)。「都市部での過剰なクリニック開設」を避け、「クリニックにも地域医療の中で必要な役割を十分に担ってもらう」ことを目指すものと言えます。

(1)新たな「外来医師偏在指標」(人口10万人あたりの医師数をベースに「診療所による外来対応割合」などを勘案)をもとに、「外来診療を担う診療所医師」が相対的に多い地域(上位3分の1)を「外来医師多数区域」とする

(2)外来医師多数区域に「新規の診療所開業」がなされる場合には、地域の外来医療情報提供などを行う(「当該地域ではすでに外来医師が多く、競争が激しいです」などの情報を提供することで、開業を最高することなどを期待する)

(3)外来医師多数区域に「新規の診療所開業」がなされる場合には、▼在宅医療▼初期救急(夜間・休日の診療)▼公衆衛生(学校医、産業医、予防接種等)—など「地域に必要とされる医療機能を担う」よう求める

外来医療計画の概要(第8次医療計画検討会(1)1 220615)



外来医療計画は2020年度からスタートしており、2024年度から「新たなフェイズ」に入ります。これまでの検討会論議を踏まえ、厚労省は次のような見直し方向案を提示しました。

▽「地域でクリニック医師が多いか否か」を判断するための外来医師偏在指標の計算式は従前どおりとし、用いるデータは最新のもの(2020年の新型コロナウイルス感染症の影響が含まれるデータ)ではなく、コロナ禍前の2017年のものとする(関連記事はこちら

▽「医師が1人のクリニック」が多いことを踏まえて、外来医師偏在指標について「主たる勤務先を0.8人」「従たる勤務先を0.2人」との按分カウントは行わない(関連記事はこちら

▽外来ニーズの動向が地域によって異なる(都市部では外来ニーズが増加するが、山村などでは減少していく)ことを踏まえ、▼2次医療圏毎の人口推計▼外来患者数推計—などを踏まえた協議を行うことを求める

▽外来医師多数区域「以外」や新規開業者「以外」においても、地域の実情に応じて「地域で不足する医療機能」(夜間休日の対応や学校医など)を担うことを求める(関連記事はこちら)。とりわけ外来医師多数区域「以外」については、医師確保計画とも整合性をとりながら進める

▽都道府県に対し、地域で不足する医療機能(夜間・休日の診療、在宅医療、公衆衛生など)について具体的な目標(例えば夜間・休日輪番制に参加する医療機関数などの定量的な目標)を定め、達成に向けた取り組みの進捗評価を行う努力義務を課す

▽外来医師多数区域における新規開業者に対しては「地域で不足する医療機能を担うことに合意が得られた事項」に関て、地域医師会や市町村と情報共有するなどフォローアップを行うことを義務付ける(現在、フォローアップはほとんど行われていない)



後者3点の見直しにより「地域で不足する機能」(例えば夜間休日対応や学校医等)に対し、都道府県がすべてのクリニックに協力を求める下地ができることになります(現在は「外来医師多数区域(主に都市部)の新規開業医」のみに協力を求めている)。「病院の医師不足を解消するためにクリニック開業を制限すべき」との声もありますが、日本国憲法第22条第1項から導かれる「営業の自由」に抵触しかねません。そこで、クリニックにも「地域医療の一員として、地域で不足している機能を担ってもらう」ことで病院の負担を軽減し、医師不足状況を異なる側面から軽減・緩和することも可能となります。また「地域住民への保健医療サービスの充実」につながること、さらに、現在議論中である「かかりつけ医機能の強化」にもつながっていくことは述べるまでもありません(関連記事はこちら)。

地域で不足する医療機能の状況(第8次医療計画検討会(1)1 221026)



こうした方向に反対意見はありませんが、▼学校医確保に向け都道府県の医療政策担当部局と教育委員会などが連携をとるべき(今村知明構成員:奈良県立医科大学教授)▼「地域で不足する医療機能」実施に関する合意が得られていない医療機関にも、一定の役割を果たしてもらうような工夫を検討すべき(河本滋史構成員:健康保険組合連合会専務理事)—などの提案が出ています。ただし「眼科の開業医に、救急医療や小児診療を担ってほしい」と求めることも難しく、河本構成員の提案に対する回答は引き続きの検討事項となりそうです(関連記事はこちら)。

CTやMRI等の共同利用・効率的利用を引き続き推進

外来医療計画では、上記の「外来診療を担う医師偏在の解消」のほかに、「地域ごとの医療機器の配置状況を可視化し、共同利用を推進」する方策の記載なども求められます。我が国では先進諸外国に比べて「CTやMRIなどの配置数が多いが、1施設当たりの稼働数は小さく、非効率な運用が行われているのではないか」と指摘されます。このため、▼CT▼MRI▼PET▼放射線治療機器(リニアック、ガンマナイフ)▼マンモグラフィ—について、新規導入医療機関では「共同利用計画」を作成するとともに、地域ごとの共同利用状況を公表することなどが求められているのです。「共同利用の推進」→「効率的な運用」を目指す考えです。

「高額医療機器の共同利用」計画の概要(第8次医療計画検討会(2)4 220615)

外来医療計画の一部に「高額医療機器の共同利用」推進策を盛り込む必要がある(第8次医療計画検討会(2)3 220615)



この点、これまでの議論を踏まえて次のような見直し方向案が厚労省から示されました。

▽都道府県においては、地域の医療機関が「その地域で活用可能な医療機器」を把握できるよう、▼医療機器の配置・稼働状況▼医療機器の共同利用の有無▼画像診断情報の提供の有無(医療機関が作成する共同利用計画から入手可能)―などの方針についても可視化を進め、共同利用を促進する

▽新たに医療機器を購入する医療機関に対し「購入後の当該医療機器の稼働状況」について都道府県へ報告義務を課す



この点、「CT、MRIはもはや汎用機器であり、そこに特化した議論は生産的ではない」との指摘もありますが(関連記事はこちら)、▼我が国では諸外国に比べてCT・MRIの配置が多い▼CT・MRIの配置状況には大きな地域差があり、配置台数と稼働との間には逆相関の関係がある(多く配置されているところでは、1台当たりの稼働が悪い)—ことから、「共同利用などの効率的利用をさらに推進していく」ことの必要性・重要性は依然として高いと判断されました。

CT・MRI設置の国際比較(第8次医療計画検討会(1)2 221026)

都道府県別のCT設置・稼働状況(第8次医療計画検討会(1)3 221026)

都道府県別のMRI設置・稼働状況(第8次医療計画検討会(1)4 221026)



また、「放射線機器の導入は進むが、放射線治療医は不足しているなどのアンバランスを解消しなければいけない」との指摘もあります(関連記事はこちら)。この点、厚労省の提示データによれば「放射線治療施設の多い地域では、放射線科医も多い」ことが分かりました。上記指摘へのダイレクトな回答とは言いにくく、さらに詳細な分析なども必要と思われますが、「継続した検討課題」となりそうです。

放射線施設数と放射線認定医の関係(第8次医療計画検討会(1)5 221026)



上記の見直し方針に対しては、「稼働状況のデータをどう評価するのかも大事である」との指摘が今村構成員らから出されています。例えば「稼働状況が低い=非効率な運用をしている」と判断されれば、「稼働を高めるために不必要なCT・MRI撮影が増加してしまう」恐れがあるためです。今後の取りまとめに向けた検討テーマの1つになりそうです。

外来機能報告データ用いて、外来医療改革を積極的に進めよ

さらに厚労省は、都道府県において「外来機能報告から入手可能な『医療資源を重点的に活用する外来』や『紹介・逆紹介』などのデータを活用し、地域の外来医療提供状況を把握するとともに、紹介受診重点医療機関の機能・役割も踏まえた地域における外来医療提供体制の在り方について検討を行う」方向も示しました。

来年(2023年)3月頃に、各地域において「紹介受診重点医療機関」が明確化されます。地域において、「まず、かかりつけ医機能を持つ医療機関を受診する」→「紹介を受けて、高機能な病院(紹介受診重点医療機関、地域医療支援病院、特定機能病院など)を受診する」という流れを強化する狙いがあります。

この「紹介受診重点医療機関」明確化の一環として、病院・有床診療所には「外来機能報告」(外来診療のデータを都道府県に毎年度報告する)が義務付けられました。初年度となる今年度(2022年度)には「紹介受診重点医療機関の明確化」で手一杯になってしまうと思われますが、来年度(2023年度)以降は「外来機能の分化」に向けた本格的な検討に向けてデータの利活用が進むと期待され、その旨を医療計画(外来医療医療計画)の中にも明示するものと言えます(関連記事はこちら)。

外来機能報告データの活用(第8次医療計画検討会(1)6 221026)



なお、紹介受診重点医療機関については「医療資源を重点的に活用する外来」(手術前後の外来など)や「紹介率・逆紹介率」についての「目安」が設定されていますが、これは「あくまで目安」であり、数値をクリアせずとも地域の協議で紹介受診重点医療機関となることが可能です(関連記事はこちら)。

この点、「今後の紹介受診重点医療機関の指定状況を踏まえて、目安の在り方(目安ではなく、要件化すべきかなど)を議論していく可能性も考えられる」旨が厚労省担当者から示されました。来春(2023年3月頃)の指定状況に注目が集まります。



厚労省は、年内(2022年内)の意見取りまとめに向けて、構成員の意見も踏まえて最終調整を進めていきます。



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