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2次救急と3次救急の機能分担、巡回医師等確保・オンライン診療によるへき地医療支援など進めよ—第8次医療計画検討会(2)

2022.7.29.(金)

7月27日に「第8次医療計画に関する検討会」(以下、検討会)が開催されました。(1)救急(2)災害(3)へき地(4)周産期(5)小児—の「5事業」に関する議論が行われており、本稿では(1)救急(2)災害(3)へき地—の医療対策に焦点を合わせます((4)周産期(5)小児—医療については、すでに別稿で報じています)。

救急医療については「2次救急・3次救急の役割分担」などが重要論点となっていますが、「3次救急の集約化」を求める声もあります。また災害医療については「DMAT(災害医療派遣チーム)・DPAT(災害派遣精神医療チーム)の位置付け明確化」や「災害拠点病院等における豪雨対策」などが、へき地医療については「医師確保」「遠隔医療の推進」などが重要論点として浮上しています。

7月27に開催された「第11回 第8次医療計画等に関する検討会」

2次救急と3次救急の役割分担、かかりつけ医機能の強化による救急負担減などを推進

「2024年度からの新たな医療計画(第8次医療計画)」に向けた議論が鋭意進められており(都道府県が作成する医療計画のベースとなる厚生労働省の指針論議)、医療計画に記載する「6事業」(救急、災害、へき地、周産期、小児+感染症)ついても下部組織や専門家による検討が進んでいます(救急・災害医療については検討会の下部組織「救急・災害医療提供体制等に関するワーキンググループ」(以下、ワーキング)で、へき地対策については厚生労働科学研究(人口動態や地域の実情に対応するへき地医療の推進を図るための研究)で議論)。

このうち救急医療については、ワーキングで▼2次救急・3次救急の役割分担(軽症高齢搬送患者などを2次救急で対応し、3次救急は「重症」「多様化する複数疾患合併例」「診断困難事例」などに対応する▼かかりつけ医を中心とする外来・在宅医療の充実(急変患者にまず「かかりつけ医」が対応することで搬送事例を減らす)▼ACP対応(「救急搬送を望まない」「延命措置を望まない」などの患者意思を尊重する仕組みの普及)▼新型コロナウイルス感染症をはじめとする新興感染症対応と、その他疾病(脳卒中や心筋梗塞、熱中症など)への対応の両立—などが重要論点として浮上しています(関連記事はこちらこちら)。

今後、秋以降の第2ラウンド論議で詳細を詰めていくことになりますが、そこに向けて検討会では、▼3次救急と同様に、2次救急にも「充実段階評価」を行い、それを財政支援(診療報酬での評価ど)に結びつけてはどうか、周産期・小児医療にも同様の考えを広めるべき(尾形裕也構成員:九州大学名誉教授)▼3次救急の集約化・整理を行うとともに、2次救急への財政支援を考えていくべき(加納繁照構成員:日本医療法人協会会長)▼かかりつけ医などが地域患者を支える体制を充実することで「救急搬送を減らす」方向を強化すべきで、好事例の横展開や医療・介護連携の推進などにも力を入れてほしい(大屋祐輔構成員:全国医学部長病院長会議理事、野原勝構成員:全国衛生部長会)▼日常の健康管理強化」により救急搬送される傷病事例を減らす(口腔・栄養・リハビリの強化による「誤嚥性」の予防など)ことも真剣に考えるべきではないか(江澤和彦構成員:日本医師会常任理事)▼「救急外来の看護配置」の検討も急ぎ進めてほしい(吉川久美子構成員:日本看護協会常任理事)—などの意見が出ています。検討会のみに参画する構成員、検討会とワーキングの双方に参画する構成員とおり、前者の意見も重視しながら、秋以降に「具体的な救急医療の見直し内容」を探っていくことになります。

災害医療対策、「DMAT医師の育成支援」など求める声

災害医療に関してもワーキングで、▼災害時・感染症流行時などにDMATがより円滑に活動できるよう「法令上の位置付け」の明確化などを行うべきか▼毎年のように生じている「豪雨」災害の被害を軽減するため、災害拠点病院等に対して「電気設備などの高所移設」や「止水板等の設置」による浸水対策の実施などを求めてはどうか▼災害時等における「医療コンテナ」の活用方策をどう考えていくべきか—という議論が行われています。様々な意見が出ており、まだ方向性は定まっておらず、秋以降の第2ラウンドで「詰めの議論」を行っていくことになります。

検討会では、▼遠隔医療がますます重要になる。これは救急の「出口問題」(救急搬送され、重篤な状況を脱したが、退院や後方病院への転院などが適わず、救急病床が回転しない)解決にもつながるのではないか(織田正道構成員:全日本病院協会副会長)▼DMAT医師の育成などは「社会的事業」でもあり、国や都道府県が協力に支援していくべき(大屋構成員)▼「看護職員の被災地派遣」を医療計画に明確に位置づけるべき(吉川構成員)▼昨今の豪雨被害の甚大さに鑑み、浸水対策を早急かつ強力に進めるべき(山口育子構成員:ささえあい医療人権センターCOML理事長)—といった意見が示されました。

こうした意見も参考に、第2ラウンドで議論を詰めていきます。

「派遣医師・巡回医師の確保」「オンライン診療」の2面でへき地医療を支援

へき地医療に関しては、▼行政▼へき地医療支援病院等▼へき地診療所等—が、それぞれ協力・連携しながら「医療提供体制の確保」に尽力しています。

へき地医療を支える体制(1)(第8次医療計画検討会(2)1 220727)

へき地医療を支える体制(2)(第8次医療計画検討会(2)2 220727)



へき地医療支援病院は、2021年4月時点で341施設が指定され、▼巡回診療等によるへき地住民の医療確保▼へき地診療所等への代診医等の派遣(継続的な医師派遣も含む)。技術指導、援助▼遠隔医療等の各種診療支援—が必須事業とされています。へき地医療支援機能の更なる強化・推進を目指し、現在の医療計画(第7次計画)では「必須事業の年間実績や実施状況」などを医療計画の指標に盛り込み、PDCAサイクルを回すことが求められています(指標・計画の設定→実施→チェック→改善のサイクルを回す)。

へき地医療支援病院の実績指標など(第8次医療計画検討会(2)3 220727)



ただし、すべての拠点病院が「へき地医療支援機能」を十分に果たしているとは言えず(例えば上記「必須事業」の年1回以上の実施は拠点病院の1割程度で満たされてない)、「さらなる強化」が第8次医療計画の中で求められていると言えます。

へき地医療支援病院の実績状況(第8次医療計画検討会(2)4 220727)



研究班代表者の小谷和彦参考人(自治医科大学地域医療学センター教授)は、こうした「へき地医療支援病院などの機能強化」(=人(派遣医師や巡回医師)の確保)のほか「遠隔診療」の推進にも力を入れていくべきではないか、との考えが示されています。例えば「へき地の診療所」と「都市部の大病院・専門病院」とをオンラインで結ぶことにより、「専門医などを派遣せずに、へき地居住患者の診断・指導を行うとともに、同席する診療所医師に適切なアドバイスを行う」ことが可能となります。いわゆる「D to P with D」形態であり、大病院等が目指すべきオンライン診療の姿と言えそうです。「D to P with D」により日本全国の「医師偏在解消」につなげることも可能であり、へき地医療での実践強化に注目が集まります(関連記事はこちらこちら)。

医師偏在解消に向け、D to P with Dに期待が集まる(第8次医療計画検討会(2)5 220727)



検討会では、「医師確保」「遠隔医療(D to P with D)」の双方向推進に賛同する声が出たほか、▼難しいテーマだが、へき地医療対策の成果を評価するアウトカム指標なども将来的に研究していくべき(今村知明構成員:奈良県立医科大学教授)▼「へき地クリニックの医師が高齢で閉院してしまう」などの問題もあると思う、そうした点の実態把握なども進めてほしい(山口構成員)▼都道府県独自のへき地医療支援システム(和歌山県、高知県、島根県など)が稼働しているが、互換性を持たせるために全国の標準的なシステム構築も考えるべきではないか(加納構成員)—といった意見が出ています。

これらの意見も参考に、さらなる研究・検討が研究班で深められていきます。



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