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医療計画に「新興感染症対策」を位置付け、「医療機関間連携」や「感染症以外の傷病対策」なども明確化―医療計画見直し検討会(2)

2020.11.24.(火)

医療計画の中に新興感染症対策を位置付け、現行は「5疾病・5事業および在宅医療」だが、2024年度からの第8次計画では「5疾病・6事業および在宅医療」へと見直す―。

当該感染症に対応するための医療提供体制確保はもちろん、「他の傷病」に対する医療提供体制を地域でどう確保すべきか、なども医療計画に記載する―。

11月19日に開催された「医療計画の見直し等に関する検討会」(以下、検討会)では、こういった方向も概ね固められました。

11月19日に開催された「第23回 医療計画の見直し等に関する検討会」

2024年度からの第8次医療計画の中で「新興感染症対策」を位置付ける

猛威を振るう新型コロナウイルス感染症に対処する中で、▼医療機関間の役割分担・連携体制の構築が不十分である▼感染防護具や医療用物資の確保・備蓄▼局所的な病床数不足(感染症病床を超えて、一般病床での対応も必要となった)がある▼特定の診療科における医師不足、看護師等の不足がある―などの医療提供体制上の課題・問題点が浮き彫りとなりました。今後も新たな感染症(新興・再興感染症)が生じる可能性があり、これらの課題解消を急ぐ必要があります。

この点について、厚生科学審議会・感染症部会では、「医療計画の中に新興感染症対策を明確に位置付けるべき」との意見が固められ、詳細(記載内容など)を「医療計画の見直し等に関する検討会」で議論することとなっています(関連記事はこちらこちらこちら)。

厚生労働省は11月19日の検討会に、医療計画への進行感染症対策の位置づけに関して、次のような考え方を提案しました。

(1)新興感染症対策を医療計画の中に明確に位置付け、「5事業」を「6事業」とする

(2)医療計画には、例えば次のような事項を記載する
【平時からの取組】
▽感染症指定医療機関(感染症病床)や、感染拡大時に活用しやすい病床・病床以外の部屋(スペース)等の整備
▽医療機関における感染防護具等の備蓄
▽感染管理の専門人材の育成(ICN:感染管理看護師、など)
▽院内感染対策の徹底
▽医療機関におけるPCR検査等病原体検査の体制の整備

【感染拡大時の取組】
▽個々の医療機関における取組の基本的考え方(▼感染拡大時の受入候補医療機関(重症例、疑い症例等を含む)▼患者が入院する場所の確保に向けた取組(病床・病床以外の部屋(スペース)等の活用など)▼感染症患者に対応するマンパワー(医師、看護師等)の確保に向けた取組(病院内の重点配置など)▼感染防護具や医療資機材等の確保―など)
▽医療機関間の連携・役割分担の基本的考え方(▼救急医療など一般の医療連携体制への影響にも配慮した受入体制に係る協議の実施▼感染症患者受入医療機関への医師・看護師等の人材支援―など)
▽臨時の医療施設や宿泊療養施設の開設
▽外来体制の基本的考え方

(3)「新興感染症等の感染拡大時における医療」(上記(2)参照)について、他の5疾病・5事業及び在宅医療と同様に、各都道府県に対し「感染症対応に係る医療資源の状況など、地域の実情に応じた計画の策定と具体的な取り組みを促す」こととする


まず(1)は、いわゆる「5疾病・5事業および在宅医療」のいずれに新興感染症対策を位置付けるべきかという論点です。

厚労省は「災害医療との類似性」などに鑑みて、5事業に新興感染症対策を追加し、「6事業」としてはどうかとの考えを提示。構成員もこの考えに賛同しています。



また(2)は、厚科審・感染症部会の意見も踏まえて、具体的な記載事項をどう考えていくかという論点です。

構成員から反論等は出ておらず、今後、詳細を詰めていくことになりますが、「感染症以外の疾病に関する医療提供体制もしっかり記載しておく必要がある」(城守国斗構成員:日本医師会常任理事)、「感染拡大時に、いかに迅速に『一般病床』を『感染患者受け入れ病床』に転換していくか、さらに医療機関間の連携をどう確保するかが重要であり、その点を明確化すべき」(幸野庄司構成員:健康保険組合連合会理事)―などの注文が付いています。

例えば、地域において、予め▼A病院は新興感染症(新型コロナウイルス感染症など)の疑い患者を専ら受け入れる▼B病院は新興感染症の疑い患者は受け入れず、その他の救急患者を受け入れる—などの機能分担・連携体制が構築されていれば、より円滑な「患者の受け入れ」が可能になったと指摘されています。事が起きてから連携を確保することは非常に難しく、平時から、こうした点を医療計画の中で明確化し、また「顔の見える関係」を継続していくことが非常に重要となります。

また、今村知明構成員(奈良県立医科大学教授)は「宿泊療養の医療計画への位置づけ」について、「宿泊施設(ホテル等)は医療施設ではない。特別措置法などでカバーすべき事項か、医療法(医療計画も医療法の中に位置付けられている)でカバーすべき事項なのか、整理する必要がある」と提案しています。

この点、「いざというときに医療提供体制がどのように動くのか、そこに宿泊施設がどのように関係してくるのか」を地域の医療関係者で事前に共有しておくための位置づけであることを厚労省は説明しています。

例えば、今般の新型コロナウイルス感染症であれば、当初は「毒性も感染力も分からない」ことから、「軽症者、無症候感染者も含めて入院医療で対応する」こととなりました(いわゆる「2類相当」との扱い)。このため感染症病床だけでは対応できず、「一般病床でも感染症患者を受け入れる」こととなり、さらには「重症化リスクの低い軽症患者(基礎疾患のない若者など)や、無症候感染症については、宿泊療養・自宅療養を可能とする」とい措置がとられています。

このように「感染拡大のフェイズに応じて、『感染症病床で対応する』 → 『一般病床でも対応を行う』 → 『宿泊施設等も活用する』という形で受け入れていく」ことを医療計画に明示し、地域の医療関係者で共有しておけば、医療関係者の不安を大幅に軽減できると期待されます。例えば「今後に備えて、軽症患者等の移送先を早期に確保しておこう」などの準備を進め、「医療崩壊」を回避することが可能になると考えられます。



また(3)は、他事業等(5疾病・5事業および在宅医療)と同じく、▼都道府県医療審議会の意見を踏まえて計画を作成する▼医療審議会の下に設ける「作業部会」や地域医療構想調整会議などで情報を共有し、円滑な連携推進体制を構築する▼圏域については、従来の2次医療圏域にこだわらず、患者の移動状況や地域の医療資源などの実情に応じて弾力的に設定する―との考えを示したものです。こちらにも反対意見は出ていません。



検討会では、近く意見取りまとめを行い、親組織である社会保障審議会・医療部会に報告。そこでの意見を踏まえて厚労省で医療法改正案を作成し、国会での審議を待つことになります。

医療計画は現在、第7次計画(2018-2023年度)が動いており、次の「第8次計画」に新興感染症対策が盛り込まれることになります。第8次計画は、▼厚労省が2022年度中に基本指針などを示す▼都道府県が2023年度中に基本指針などを踏まえて計画を作成する▼2024年度から稼働する―というスケジュールで動きます。

通常であれば、「2022年度に検討会で基本指針(医療計画作成の拠り所となる)作成に向けた議論を行う」ことになりますが、新興感染症対策は「初の試み」であることから、できるだけ早期から、厚科審・感染症部会とも連携した議論が開始されると予想されます。



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