HPVワクチンを受けていない「1997-2007年度生まれの女性」、「2008年度生まれの女性」は早めにワクチン接種検討を—小児科学会
2024.7.25.(木)
ヒトパピローマウイルスワクチン(HPVワクチン)接種を受けていない「1997年度生まれから2007年度生まれの女性」、および「2008年度生まれの女性」は、なるべく早めにHPVワクチン接種を検討してほしい—。
上記の者が「公費」(つまり無料)でHPVワクチンを受けられる機会は「来年(2025年)3月まで」となること、ワクチン3回接種には約6か月程度かかることなどを考慮し、余裕を持ったワクチン接種スケジュールを組んでほしい—。
日本小児科学会が7月23日に、こうしたメッセージを公表しました(学会サイトはこちら)。
●厚生労働省の「HPVワクチンに関するQ&A」サイトはこちら
HPVワクチンを公費接種(無料接種)可能な機会を逃すと、4-10万円の自費接種となる
ヒトパピローマウイルス(HPV)は子宮頸がんなど多くの疾病の原因であり、国は小学校6年から高等学校1年相当の女子を対象にHPV感染症を防ぐワクチン(HPVワクチン)の定期接種を行っています。
HPVワクチンについては、「接種後に、体の複数部分に慢性的な痛みが生じる」との報告があり、2013年6月から積極的な勧奨が一時的に差し控えられていました
しかし、専門家会議(2021年11月の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会と薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の合同開催)において「HPVワクチンの積極的勧奨を差し控えている状態を終了させることが妥当」との評価がなされたことを受け、2022年4月から他の定期接種と同様の個別勧奨を再開しています。
このように接種勧奨の一時的な差し控えがあったことから、HPVワクチン接種を逃した「1997年度生まれ-2007年度生まれ(1997年4月2日-2008年4月1日生まれ)の女性」に対しては、公費による「キャッチアップ接種」の機会が提供されています(つまり無料接種の機会提供)。ただし、このキャッチアップ接種として受けられる「来年(2025年)3月末まで」となっています。
こうした状況を踏まえて小児科学会では、次のようなメッセージを示しました。
▽計3回の接種が完了するまでに約6か月間かかることから、接種希望者はなるべく早めに接種をはじめてほしい(遅くとも本年(2024年)9月頃までには接種開始が必要)
→過去にHPVワクチンを1回または2回接種した場合にも、残りの回数をキャッチアップ接種として公費で受けることができる
また、HPVワクチン定期接種対象者は「小学校6年から高校1年相当の女子」であり、現在高校1年相当である「2008年度生まれの女性」も、定期接種(無料接種)として受けられる期間は「2025年3月末まで」となります。
このため、小児科学会は「2008年度生まれの女性で接種を希望される者も、なるべく早めに接種をはじめてほしい」とコメントしています。
なお、公費によるキャッチアップ接種・定期接種の機会を逃しても、任意接種としてHPVワクチン接種を受けることができますが、その場合には4-10万円程度の自己負担(患者負担)が生じてしまいます(2価ワクチン(サーバリックス)・4価ワクチン(ガーダシル)では3回接種で4-5万円、9価ワクチン(シルガード9)では3回接種で8-10万円・2回接種で5-7万円程度)。
さらに小児科学会では、次のような点にも留意を求めています。
▽上記の者は本年(2024)年9月末までに開始すれば計3回の接種が可能だが、「体調がすぐれない中、無理をして接種する」ことにならないよう、ワクチン接種希望の場合には、早めに医療機関に相談し、余裕をもった接種スケジュールを組んでほしい
▽ワクチン接種後に「体調がすぐれない」などの変化が認められた場合には、接種を行った医師やかかりつけの医師に相談してほしい
(参考)
【HPVワクチンの接種回数】
▽サーバリックス(グラクソ・スミスクライン社)
→1か月以上の間隔をあけて2回接種し、1回目接種から5か月以上かつ2回目接種から2か月半以上の間隔をあけて3回目を接種する
▽ガーダシル(MSD社)
→1か月以上の間隔をあけて2回接種し、2回目接種から3か月以上の間隔をあけて3回目を接種する
▽シルガード9(MSD社)
→1回目接種を15歳になる前に受ける場合、少なくとも5か月以上あけて2回接種する(合計2回で完了)
→1回目接種を15歳になってから受ける場合、1か月以上の間隔をあけて2回接種し、2回目接種から3か月以上の間隔をあけて3回目を接種する(合計3回で完了)
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