「スマホマイナ保険証」を2025年9月頃からスタート、対応医療機関への補助を8月下旬より実施—厚労省
2025.8.21.(木)
スマートフォンへ「マイナ保険証機能」を搭載し、「スマホでの保険診療受診」を可能とする仕組みを本年(2025年)9月頃から始める。この「スマホ保険証」への対応には汎用カードリーダー等の設置が必要となり、国で一定の補助を行う(8月下旬より補助開始予定)—。
厚生労働省は8月7日に事務連絡「スマートフォンに搭載されたマイナ保険証への対応に係る費用補助等について(周知)」を示し、こうした点を明らかにしました。
「スマートフォンへのマイナ保険証機能搭載」、2025年9月頃よりスタート
医療DXの推進を目指し、マイナ保険証(マイナンバーカードの保険証利用)での医療機関受診を基本とする仕組み(マイナンバーカードと保険証の一体化)が進められています(もっとも、▼既に発行されている保険証▼保険者の発行する資格確認書—による受診も可能、関連記事はこちら)。
マイナ保険証の利用状況は上昇傾向にあり、本年(2025年)5月時点で29.30%となりましたが、まだ十分とは言えず、様々な「マイナ保険証のさらなる利用促進」策が検討・実施されてきています。
その一環として「スマートフォンへのマイナ保険証機能搭載」があります。4月3日に開催された社会保障審議会・医療保険部会では、▼6・7月(2025年6・7月)頃から約2か月、10程度の医療機関等(3病院、4医科診療所など)で「実証事業」を行う→▼実証事業で課題を抽出し、必要な改善を行う→▼早ければ8月下旬-9月(2025年8月下旬-9月)から、「環境の整った全国の医療機関等」でスマホ対応を可能とする—というスケジュールが提示されました(関連記事はこちら)。
あわせて厚労省は「スマートフォンによるマイナ保険証へ対応を行う医療機関では汎用のスマートフォンリーダーなどを購入・設置する必要があり、そこへの補助を検討している」との考えも示していました(関連記事はこちら)。
スマートフォンは多くの国民が保有していることから、「マイナ保険証のスマホ対応」によりマイナ保険証利用がさらに促進すると期待されます。

スマホへのマイナ保険証利用機能搭載(社保審・医療保険部会(1)2 250403)
この点について厚労省は、マイナンバーカード機能のスマートフォンへの搭載(以下、スマホ搭載)について、▼本年(2025年)5月にAndroid端末へのスマホ用電子証明書搭載サービスの開始▼6月にiPhone(Appleウォレット)へのマイナンバーカード搭載—をしており、「本年(2025年)9月頃」より、スマホ搭載されたマイナ保険証の読み取りの機能を開放 し、機器の準備が整った医療機関等から順次受付が可能となることを明示しました。
スマホ搭載されたマイナ保険証の電子証明書を読み取るためには、上述のとおり「汎用カードリーダーの設置」が必要となります(ただし、キヤノンマーケティングジャパン社製の顔認証付きカードリーダーでは既に読み取り可能)。
この汎用カードリーダー等の導入に当たって、今般の事務連絡では次の点を明らかにしました。
▽8月下旬(2025年8月下旬)頃から補助を始める(1万4000円を上限として、2分の1の補助を行う(医療機関への補助上限額は7000円となる))
▽実際の汎用カードリーダー購入等の詳細については追って示す
▽汎用カードリーダー等を購入し、スマホ搭載されたマイナ保険証の読み取り設定が完了した場合は、「スマートフォンのマイナ保険証の読み取りに対応している」ことを示すステッカーを8月下旬(2025年8月下旬)頃より全施設に対して一斉に発送する
→このステッカーを受付窓口などに掲示することで、患者が「この医療機関等ではスマホで保険診療を受けられる」と理解できる
●医療機関等向け総合ポータルサイトの「スマホ搭載対応」(医療機関等への補助)の詳細はこちら

スマホ保険証対応への補助1

スマホ保険証対応への補助2
なお、【医療DX推進体制整備加算】(初診料等の加算)について、マイナ保険証利用率の基準値が「2025年10月」・「2026年3月」の2段階でさらに引き上げられる(関連記事はこちらとこちら)ことを踏まえると、スマホ対応は「医療機関等での任意対応」ではあるものの、積極的に検討・導入することが重要と言えるでしょう。

医療DX推進体制整備加算の見直し(中医協総会(2)1 250723)
【関連記事】
スマートフォンへマイナ保険証機能を搭載、2025年夏頃から対応済医療機関で「スマホ保険証受診」可能に—社保審・医療保険部会(1)
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