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GemMed塾 看護モニタリング

マイナンバーカードでの受診実績等もとにした一時金、「最大で病院40万円、クリニック20万円」に倍増—社保審・医療保険部会

2024.6.24.(月)

「マイナンバーカードの保険証利用」実績などをもとに、今夏に一時金支給をしていたが、その額をこれまでの「最大で病院20万円、クリニック10万円」から「最大で病院40万円、クリニック20万円」に倍増する—。

また、医療現場等の誤解を解くために、▼マイナンバーカード、従来の保険証、さらに薬局では処方箋のいずれの提示であっても保険診療が受けられること▼マイナンバーカード受診でエラーが出た場合でも、各種情報をもとに1-3割の自己負担徴収が可能であること(10割全額負担としない)—などを周知していく―。

6月210日に開催された社会保障審議会・医療保険部会で、厚生労働省がこういった方針を示しました。

6月21日に開催された「第179回 社会保障審議会 医療保険部会」

マイナ保険証飲み、紙保険証のみ、処方箋のみでも保険診療受けられる点に留意を

医療DXの推進を目指し、「現行の健康保険証の新規発行を本年(2024年)12月2日に終了し、マイナ保険証(マイナンバーカードの保険証利用)を基本とする仕組みに移行する方針が固められ。「マイナンバーカードの保険証利用促進に向けた総合的な対策が順次進められています(関連記事はこちらこちら)。

マイナ保険証の利用状況を見ると、昨年(2023年)12月に、直近では最も低い4.29%に低下しましたが、本年(2024年)に入ってから、1月:4.60%、2月:4.99%、3月:5.47%、4月:6.56%、5月:7.73%と上昇モードに入っています。

ただし、「依然としてマイナ保険証の利用率が低調である」状況そのものは変わっておらず、さらなる利用促進を図っていく必要があると厚労省保険局医療介護連携政策課の竹内尚也課長は強調しています。

マイナ保険証利用実績等(社保審・医療保険部会1 240621)



この点、厚労省は、本年(2024年)5-7月を「マイナ保険証利用促進集中取組月間」とし、例えば従前の「マイナンバーカードによる受診率アップ度合いに応じた支援金」を、「マイナンバーカードによる受診実績等もとにした、最大で病院20万円、クリニック10万円の一時金」に改組する取り組みを行っています。

上記のマイナンバーカードの利用実績向上には、こうした支援金・一時金の効果があるものと推察されますが、竹内医療介護連携政策課長は「マイナンバーカード利用実績が高く、一時金の最大額に達している医療機関が相当数出てきており、さらなる利用促進に向け一時金の最大額をこれまでの『病院20万円、クリニック10万円』から『病院40万円、クリニック20万円』に倍増する」方針を明らかにしました。

マイナ保険証利用実績に応じた一時金の最大額を倍増(社保審・医療保険部会3 240621)

施設別のマイナ保険証利用実績(社保審・医療保険部会2 240621)



一時金支給の考え方そのものは従前と変わりなく、次のように整理できます。
【一時金の考え方】
▽次の2つの指標に応じて、病院では10-40万円(従前は10-20万円)、クリニックでは3-20万円(従前は3-10万円)を交付する
▼2023年10月のマイナ保険証利用率
▼「2023年10月のマイナ保険証利用実人数」から「2024年5-7月のいずれかの月で最も多いマイナ保険証利用実人数」への増加数

▽2023年10月のレセプト件数が150件以下の小規模施設(全体の約15%程度)では、配慮した区分を設ける(1-5万円)
→ただし、マイナ保険証利用実績が高ければ上述の3-10万円の一時金を受けることも可能

▽交付要件として、▼窓口での共通ポスターの掲示▼来院患者への「マイナ保険証の利用を求めるチラシ」配布の徹底を—を設定する

ポスター・チラシの利用が一時金交付の要件となる点に留意(社保審・医療保険部会(1)3 240410)



また、竹内医療介護連携政策課長は、マイナンバーカードのさらなる利用促進に向けて次のような取り組みを行う考えも示しています。

▽一部薬局で「健康保険証を受け付けない」などの誤った取り組みがなされている点を踏まえ、医療機関等の誤解を解くよう「マイナンバーカード、健康保険証、さらに薬局では処方箋のいずれのみの提示でも患者の被保険者資格確認を行う」よう周知する

マイナ保険証のみ、保険証のみでも保険診療を受けられる点を周知へ(社保審・医療保険部会4 240621)



▽「マイナンバーカードで医療機関を受診したがエラーが出るなどし、被保険者資格を確認できない」場合でも、10割負担(患者が一度全額を負担し、後に保険者から7-9割分の償還を受ける)のではなく、各種情報(過去の受診歴、資格確認書など)をもとに「3-1割の自己負担」を可能とする考え(救済措置)を改めて周知する(関連記事はこちらこちらこちらこちら

マイナ保険証でエラーが出た場合でも、1-3割負担を可能とする救済措置を再周知する1(社保審・医療保険部会5 240621)

マイナ保険証でエラーが出た場合でも、1-3割負担を可能とする救済措置を再周知する2(社保審・医療保険部会5 240621)



▽救急隊がマイナ保険証を活用して傷病者の情報を正確かつ早期に把握し、救急活動の迅速化・円滑化を図る 実証事業(マイナ救急)を本年度(2024年度)から実施している



▽保険者におけるデータ登録の迅速化・受診時のマイナ保険証による資格確認の円滑化を進める(転職等した場合に、速やかに被保険者情報の登録を行うよう、さらに促していく)



こうした点について医療保険部会委員からは、▼マイナンバーカードの取得は「任意」であり、マイナ保険証利用は100%にならない。国で対応を考えるべき(袖井孝子委員:高齢社会をよくする女性の会理事)▼例えば「本年(2024年)12月2日以降は保険証が使えなくなる」などの誤解もあるようだ、政策な情報を国が分かりやすく提供する必要がある(渡邊大記委員:日本薬剤師会副会長)▼マイナンバーは特定個人情報として厳格な取り扱いが求められ、それが保険者でのデータ登録を妨げている一面もあり、改善が必要ではないか(佐野雅宏委員:健康保険組合連合会会長代理)—などの意見・注文が出ています。

また、猪口雄二委員(日本医師会副会長)の代理として出席した、日本医師会常任理事の長島公之参考人は、▼スピードのみを重視し、トラブルが出れば国民の不信・不安につながり、それが最大のブレーキになってしまう点に最大限留意すべき。丁寧に進めることが最短ルートである▼日医も医療DX推進、マイナ保険証利用推進に全面協力するが、「一時金目当てにマイナ保険証利用の声掛けをしている」などを思われることは心外である▼当初「マイナンバーカードは金庫にしまっておく」ことなどが推奨されたが、いつの間にか「マイナンバーカードは携行してほしい」と変化した。この理由などをきちんと説明すべき▼マイナンバーカード受診でエラーとなっても「1-3割負担」の救済措置があること、マイナンバーカードのみでも、保険証のみでも保険診療を受けられることなどを強く周知すべきである—など、広範な注文を行っています。

こうした意見も参考に、さらなる「マイナンバーカードでの医療機関受診」促進策に力が入れられます。今後の推移をしっかり見守る必要があります。



このほか6月21日の医療保険部会では、厚労省から次のような報告も行われました。

▽「妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会」を6月26日から立ち上げ、妊娠・出産・産後に関する様々な支援等の更なる強化の方向性について具体的な検討を行う(関連記事はこちら

▽NDBからの新たなデータ提供形態として、今秋(2024年秋)から▼NDB-β(機微コード等をマスクしたレセプト全件を含むデータを提供し、希少疾患の疫学研究、医療費の全国的推移の調査、慢性疾患を長期追跡する縦断的分析、薬剤等の安全性評価などに活用することが期待される)▼通年パネルデータセット(機微コード等の一部やハンドリングしやすいよう施設属性等を加えたサンプリングされた連続データを提供し、罹患者数の多い疾患の分析疫学研究、手術件数の都道府県毎の推移の調査、急性疾患を短期追跡する縦断的分析、薬剤効果の日単位の用量反応性の評価などに活用することが期待される)—を稼働させる

新たなNDBデータ提供1(社保審・医療保険部会7 240621)

新たなNDBデータ提供2(社保審・医療保険部会8 240621)



▽医療費の見える化データの更新(2021年度データを掲載)

▽「子ども・子育て支援金」制度創設などを盛り込んだ「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律」の可決・成立(支援金制度は2026年度からスタート)

子ども・子育て支援金等の創設(社保審・医療保険部会9 240621)



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