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GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

「マイナンバーカードで医療機関受診したがオンライン資格確認できない」場合の救済措置・レセプト請求について医療現場の疑問に回答

2023.8.7.(月)

「マイナンバーカードを用いて医療機関を受診したが、様々なトラブルにより資格確認ができない」場合でも、例えば「被保険者資格申立書を患者に記載してもらい、通常どおりの1-3負担負担を可能とする」救済措置や、「患者がどの保険者に加入しているのかを明確にできなかった場合には、『保険者不詳』としてレセプト請求を認める」救済措置などが設けられています。

厚生労働省は8月3日に事務連絡「マイナンバーカードによるオンライン資格確認を行うことができない場合における対応等に対する疑義解釈について」を示し、こうした救済措置に関する医療現場からの疑問に回答を行いました(厚労省サイトはこちら)(関連記事はこちらこちらこちら)。

被保険者資格申立書や不詳請求などに関する医療現場の疑問に厚労省が回答

医療DXの基盤となる「マイナンバーカードによるオンライン資格確認」が医療現場で進められています。患者の過去の診療情報を「今の診療内容」に活かすことで、医療の質向上が期待されます。

しかし、「他人の情報が紐づけられていた」「医療機関で資格確認がなされず10割負担を求められた」などの事例が報告されており、政府は「正確なデータ登録の確保」を進めるとともに、「マイナンバーカードを用いて医療機関を受診したが、様々なトラブルにより資格確認ができない場合でも、通常どおり1-3負担負担となるような救済措置を設ける」考えを明示し(関連記事はこちら)、あわせてその場合のレセプト請求(診療報酬請求)等の手続きを明確化しています(関連記事はこちら)。

さらに厚労省は今般、医療現場から寄せられた疑問に対し回答を行っています。

まず、被保険者資格申立書についてです。

マイナンバーカードでのオンライン資格確認が何らかのトラブルで行えない場合、「患者のマートフォンを利用してマイナポータル画面から資格確認を行う」「患者が持参した被保険者証(保険証)を用いて資格確認を行う」ことなどが考えられますが、スマートフォンや保険証などを持参していない場合には、医療機関等の窓口で、患者に「被保険者資格申立書」(マイナンバーカードの券面情報(氏名、生年月日、性別、住所)、連絡先、保険者等に関する事項(加入医療保険種別、保険者等名称、事業所名)、一部負担金の割合など)を可能な範囲で記入し、提出してもらうことで、1-3割負担を可能とするという救済措置が設けられています(関連記事はこちら)。

被保険者資格申立書(1)

被保険者資格申立書(2)

被保険者資格申立書(3)



この被保険者資格申立書について、今般の疑義解釈では次のような考え方が明示されました。

▽患者が一部負担金割合の欄に「わからない」がチェックされた場合、医療機関等において、患者の年齢等(70歳未満か、70-74歳か、75歳以上かなど)を踏まえつつ、前年の負担割合や前年からの変更可能性などを可能な限り聞き取り、一部負担金割合(1割?2割?3割)を判断することが適切である
▼なお、通知「マイナンバーカードによるオンライン資格確認を行うことができない場合の対応について」では、「70歳以上等の患者で、患者の申し立てに基づく割合で一部負担金を受領した場合、実際の負担割合が異なっていても負担割合相違によるレセプト返戻は行わないことを基本とする。保険者等が判明した場合で、負担割合の相違が確認された場合には、当該保険者等から患者に対して返還請求等を行う」旨が記載されている。この考え方のとおり、患者の申し立てに基づく割合で一部負担金を受領した場合、実際の負担割合が異なっていても、負担割合相違によるレセプト返戻は行わないことを基本とする

▽保険者種別の欄について患者が「後期」にチェックをした場合は、被保険者資格申立書の「保険者等名称」については可能な限り記載する(後期高齢者は必ずしも住所地の広域連合の被保険者であるとは限らない)こととするが、「事業所名」の欄は記載不要である



またマイナンバーカードによるオンライン資格確認が行えない場合でも、医療機関等では上述のように患者のスマートフォン(マイナポータル)や保険証を活用するなどして「この患者がどの医療保険に加入しているのか」をできる限り把握し、当該保険者にレセプト請求を行います。

しかし、中には「さまざまな手立てを講じたが、どの保険者かを把握できなかった」という事例も生じると思われます。この場合、保険者等番号および被保 険者等記号・番号が「不詳」のままに診療報酬請求等(以下「不詳請求」)を行うことが認められます。当該医療機関等に対する直近の診療報酬支払実績に応じて保険者で按分して診療報酬をし払うことになります。

この「不詳請求」について、今般の事務連絡では次のような考えが明らかにされました。

▽医療機関等で、患者が記載した被保険者資格申立書や患者からの聞き取り内容等から、患者の加入する保険種別を可能な限り特定し、当該保険種別に対応した審査支払機関(健康保険組合や協会けんぽであれば社会保険診療報酬支払基金(支払基金)、国民健康保険であれば国民健康保険組合連合会(国保連)など)に請求する

▽保険種別を特定できなかった場合には、各医療機関等の判断で支払基金か国保連かのいずれかに請求する

▽不詳性急に関して医療機関等から審査支払機関(支払基金、国保連)に対し再審査または取り下げの申し出でを行う場合、その期間は「医療機関等が不詳請求を行った日の6か月後の日が属する月の20日まで」とする

▽1976年の厚生省通知「診療報酬請求書等の記載要領等について」では「70歳以上の患者については所得区分に応じて特記事項を記載する」こととされている。不詳請求の場合には、請求を行った一部負担金の割合に応じてそれに対応する特記事項を記載する。
▼なお、通知「マイナンバーカードによるオンライン資格確認を行うことができない場合の対応について」では、「70歳以上等の患者で、患者の申し立てに基づく割合で一部負担金を受領した場合、実際の負担割合が異なっていても負担割合相違によるレセプト返戻は行わないことを基本とする。保険者等が判明した場合で、負担割合の相違が確認された場合には、当該保険者等から患者に対して返還請求等を行う」旨が記載されている。これと同様に、患者が申し立てた一部負担金割合・それに対応する特記事項について、実際の負担割合・特記事項と相違があった場合であっても、医療機関等にレセプト返戻は行わないことを基本とする(関連記事はこちら
▼負担区分が不明の場合、特記事項欄には、請求を行った一部負担金の割合に応じて「3割負担の場合:26区ア、2割負担の場合:70~74歳では29区エ、75歳以上では41区カ、1割負担の場合:42区キ—」と記載する

▽事務連絡「マイナンバーカードによるオンライン資格確認を行うことができない場合における診療報酬等の請求の取扱いについて」では「不詳請求の場合、レセプトの摘要欄に被保険者資格申立書に記載された事項等を記録する」こととしている。被保険者資格申立書の「保険者等名称」の欄、「事業所名」の欄が空欄であった場合(記載が不要な場合も含む)には、レセプト摘要欄にはそれぞれ「保険者等名称記載なし」「事業所名記載なし」と記録する



このほか、公費負担医療(自治体が行っている子ども医療費助成なども含む)についてオンライン資格確認を行うことができなかった場合、公費負担医療について有効な受給者証が提示されていれば▼旧資格請求(「資格(無効)」画面に表示された喪失済み資格、過去の受診歴等から確認した資格に基づいて保険者等番号・被保険者等記号・番号でレセプト請求を行う、請求後にオンライン資格確認等システムの自動振り替え機能で正しい保険者に請求する)▼不詳請求—を行える点も明確にされています。



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