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医療機関等の窓口での「マイナンバーカードはお持ちですか?」との声掛けが、マイナ保険証利用に非常に有効—社保審・医療保険部会

2024.3.1.(金)

「マイナンバーカードの保険証利用」を進める方策の1つとして、医療機関等の窓口での「マイナンバーカードはお持ちですか?」などの声掛けが非常に重要であることが明らかになった—。

今後、都道府県を通じて、医療機関等に「窓口で『マイナンバーカードはお持ちですか?』などの声掛け」をより一層促進してもらう—。

2月29日に開催された社会保障審議会・医療保険部会で、こういった方針が固められました。

2月29日に開催された「第175回 社会保障審議会 医療保険部会」

顔認証カードリーダーシステムの「同意画面」も今夏に改善

医療DXの推進を目指し、「現行の健康保険証の新規発行を本年(2024年)12月2日に終了し、マイナ保険証(マイナンバーカードの保険証利用)を基本とする仕組みに移行する方針が固められ。「マイナンバーカードの保険証利用促進に向けた総合的な対策が順次進められています(関連記事はこちら)。

しかし、マイナ保険証の利用状況は依然として低調で、本年(2024年)1月末の状況を見ると次のような点が明らかになりました。

(1)人口の73.1%(9168万人)がマイナンバーカードを保有している

(2)うち77.9%(7143万人)が「マイナンバーの保険証利用」(マイナ保険証)の登録をしている

(3)人口の約4割、マイナンバーカード保有者の約5割が、マイナンバーカードを携行している(常に持ち歩いている)

(4)「マイナンバーの保険証利用」(マイナ保険証)経験者は約4人に1人である

(5)医療機関ベースで見ると、「マイナンバーの保険証利用」(マイナ保険証)は約4.60%にとどまる

マイナ保険証利用等状況(社保審・医療保険部会1 240229)



(4)で「約25%がマイナンバーカードの保険証利用を経験している」のに対し、(5)で利用率がはるかに低い4.60%にとどまっていることから、厚生労働省の担当者は「マイナンバーカードの保険証利用登録をしている者でも、保険証を携行し、医療機関等で『保険証はありますか?』と問われた際には保険証を提示し、『マイナンバーカードはお持ちですか?』と問われた際にはマイナンバーカードを提示している」と分析。ここから、医療機関等の窓口において「マイナンバーカードはお持ちですか?」などと受診者に声掛けすることが重要と強調しています。

この点は、「保険証をお持ちですか?」という声掛けから「マイナンバーカードをお持ちですか?」などの声掛けに切り換えた施設の割合が高い自治体では、マイナンバーカードの利用率が高い、というデータからも裏付けられます。

「マイナンバーカードはお持ちですか?」との声掛け率の高い自治体では、マイナ保険証利用率が高い(社保審・医療保険部会4 240229)



ただし、医療機関ベースで「マイナンバーカードをお持ちですか?」などの声掛けを行っている施設の割合を見ると、全体では40.76%、病院35.29%、医科クリニック35.95%、歯科クリニック49.23%、薬局42.57%にとどまっており、「さらなる声掛けの促進」に期待が集まります。

医療機関等におけるマイナ保険証利用促進策の取り組み状況(社保審・医療保険部会3 240229)



こうした状況を踏まえて厚労省は、都道府県に対し「マイナ保険証の利用促進に関する説明会」を実施し、都道府県から保険者協議会などの場を活用しして「保険者・医療関係者等における積極的な取り組み(「マイナンバーカードをお持ちですか?」などの声掛け)を要請してもらう」考えを明らかにしました。

都道府県を通じたマイナ保険証利用促進(社保審・医療保険部会5 240229)

医療機関等で参考にすべきチェックリスト(社保審・医療保険部会2 240229)



医療保険部会委員からも「医療機関窓口や診察する医師からの『次回はマイナンバーカードを提示してください』などの声かえが非常に重要である」との指摘が相次ぎ、上記の方針を歓迎しました。今後、説明会日程の詰めなどが行われます。

もっとも、「医療機関の窓口で声掛けを進めているが、現時点では患者のメリットが小さく、理解を得にくい。声掛け時に患者に渡せる『マイナンバーカード受診のメリット』に関するリーフレットやチラシなどがあるとよい」(猪口雄二委員:日本医師会副会長)、「マイナンバーカード受診のメリットを分かりやすく解説した動画などを国が作り、PRしてほしい」(渡邊大記委員:日本薬剤師会副会長)、「薬局では処方箋での資格確認が一般的であるが、マイナンバーカードでの資格確認を積極的に行うべき」(佐野雅宏委員:健康保険組合連合会副会長)、「マイナンバーカードによる医療機関受診のメリット(過去の診療情報を現在の診療に活かせる、高額療養費の限度額認定証申請が不要となるなど)を、より積極的にPRする必要がある」(佐野委員、藤井隆太委員:日本商工会議所社会保障専門委員会委員、袖井孝子委員:高齢社会をよくする女性の会副理事長、村上陽子委員:日本労働組合総連合会副事務局長)などの要望が出されています。

このうち、猪口委員や渡辺委員の要望する「患者向けのリーフレットやチラシ、PR動画」などについては、国(厚労省)が作成し、逐次、アップデートしています(厚労省サイトはこちら)。こうしたサイトのPRも重要と考えられます。



このほか、マイナンバーカードの保険証利用に向け、▼事業主から従業員に対し「マイナンバーカードの取得」「マイナ保険証」の利用を呼びかけてもらう▼新規採用者について、3月中(内定段階)にマイナンバーを収集し、入社日前に資格取得届等の作成を行うなど速やかな届け出を行い、4月(入社後)の保険証交付時にマイナ保険証の利用勧奨を行ってもらう▼オンライン資格確認(医療機関窓口での資格確認)がより円滑に行われるよう、顔認証付きカードリーダーの同意画面の改善(前回受診時の同意内容を継続可能とし、機器操作などを簡略化するなどを今夏に行う)—などの対策も図られます。

事業主を通じたマイナ保険証利用促進(社保審・医療保険部会6 240229)

顔認証付きカードリーダーシステムを今夏に改善する(社保審・医療保険部会7 240229)



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