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産科医療機関の費用だけでなくサービス内容等も併せて公表せよ!医療保険改革論議が大詰め迎えるが・・・—社保審・医療保険部会(2)

2022.12.12.(月)

全国の医療機関について「出産にかかる費用がどの程度なのか」(差額ベッド代なども含めて)、「無痛分娩を行っているのか」などの情報を国民が一覧できるように公表する方針が厚生労働省から示されているが(関連記事はこちら)、産科医療機関の選択にあたっては「費用」だけでなく、「自宅等からのアクセス」「病室の環境」「希望する人の立ち合いが可能か」「医療者の説明や対応」など様々な要素が勘案される。費用だけでなく、各種のサービス内容もセットで公表すべきである—。

12月9日に開催された社会保障審議会・医療保険部会では、こういった議論も行われました。

また、医療保険改革に関する意見取りまとめ論議も始まっています。

12月9日に開催された「第160回 社会保障審議会 医療保険部会」

参加医療機関の「費用」だけでなく、サービス内容なども併せて公表せよ

Gem Medで報じているとおり、医療保険部会で「医療保険改革」論議が積極的に進められています。
高齢者の保険料負担に関する試算結果など
現役世代内の負担公平化論議
後期高齢者の負担見直し論議
医療費適正化計画見直し論議(2)
出産育児一時金見直し論議
世代間・世代内の負担公平化論議
簡素なオンライン資格確認等システム論議
医療費適正化論議
キックオフ論議



その中で、全国の医療機関について「出産にかかる費用がどの程度なのか」(差額ベッド代なども含めて)、「無痛分娩を行っているのか」などの情報を国民が一覧できるように公表する方針が厚生労働省から示されました(関連記事はこちら)。医療機関によって、また自治体によって出産費用に大きなバラつきがあることから、妊婦が分娩医療機関を選択する際に「分かりにくい」状況になっていると指摘されている点を踏まえたものです。

この考えについて、全国の母体保護法指定医師・産婦人科医師等で構成される日本産婦人科医会は、「費用等の公表は良いが、それだけでは正しい医療機関選択を歪める恐れがある。他のサービス内容もあわせて公表する必要がある」との考えを12月9日の医療保険部会で強く訴えました。

医会の石渡勇会長(石渡産婦人科病院院長)は、妊産婦等が参加医療機関を選択する際には、費用よりも、「自宅等からのアクセス」「病室の環境」「希望する人の立ち合いが可能か」「医療者の説明や対応」などの要素を重視するとの調査結果を紹介。「費用のみ」の公表では、重要な要素が隠され、適切な医療機関選択を阻害する恐れがあると強調。

妊産婦の参加医療機関選択に向けた要素(社保審・医療保険部会(2) 221209)



あわせて、ハイリスク分娩の対応する総合周産期母子医療センターや地域周産期母子医療センターといった「高次医療施設」から、ローリスク分娩に対応する一般の産科医療機関や助産所までを「一律」に一覧表へ掲載することで、妊産婦等の誤解を招く可能性もあると指摘しています。

医会は、「出産費用の公表」には反対しておらず、「出産費用に加えて、さまざまなサービス内容も、きめ細かく公表すべき」と考えています。



これに対し、多くの委員は、「出産費用が、妊産婦の医療機関選択において重要要素に上がってこないのは、出産費用の実態が見える化されていないからである。実際に厚生労働科学研究では、出産費用の把握が難しいという妊産婦の大きな声が明らかになっている」と述べ、出産費用の公表の重要性を強調。さらに、▼出産費用の平均金額だけでなく、例えば最低・最高や分布なども明らかにしていくべき(菅原琢磨委員:法政大学経済学部教授)▼できるだけ詳細な内容を公表すべき。どのような項目をどのような形で公表するのかを専門家と医会とで検討していくべき(佐野雅宏委員:健康保険組合連合会副会長)—などの提案も出ています。

委員の考えと、医会の考えとは同じ方向を向いており、今後、「どのような項目を、どのような形で公表するのか」を詰めていくことになるでしょう。

医療保険改革論議が大詰め迎える、ただし最終決着は政府の予算案編成論議の中で

また医療保険部会では、「医療保険改革案のとりまとめ」議論に入っています。▼出産育児一時金の見直し▼高齢者と現役世代との負担の公平化▼現役世代内の負担の公平化▼医療費適正化計画の見直し—などに関するこれまでの議論を整理し、「今後の方向性」確定に向けた最終調整を行う段階に入っています(関連記事はこちら)。

委員からは、例えば「現役世代の負担軽減を目的とした改革であり、実際に『負担減が確保される』(負担増が10から5に抑えられるような内容ではいけない)ようにすべき」(佐野委員)、「医療費適正化計画の見直しについて、多剤投与の定義は慎重に検討すべき」(猪口雄二委員:日本医師会副会長)などの意見が出ており、こうした点にも配慮して意見調整がさらに進められていきます。

なお、「出産育児一時金の金額をどこまで引き上げるのか」「現役世代に負担公平において、総報酬割をどの程度導入するのか」などは、2023年度予算とも密接に関連するため、今後(12月中旬から下旬)の予算案編成過程で政治決着されます。



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