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紙レセ医療機関等に「資格確認のみ」行う簡素なオンライン資格確認等システム導入し、保険証廃止に対応—社保審・医療保険部会(1)

2022.10.28.(金)

2024年秋に「マイナンバーカードと被保険者証(保険証)の一体化」(事実上の保険証廃止)が予定されています。その際、オンライン資格確認等システムの導入が免除されている医療機関(紙レセプト請求が可能なクリニックなど)において「保険証が廃止された場合に、どのようにして保険診療を受ければよいのか?」という疑問があります。

この点、10月28日に開催された社会保障審議会・医療保険部会では、「資格確認のみに対応するアプリケーションソフトを配布し、汎用のカードリーダーを用いて資格確認のみを行う。新規の医事システム導入などが必要ない仕組み【簡素なオンライン資格確認等システム】で対応する」考えが厚生労働省保険局医療介護連携政策課の水谷忠由課長から示されました。

紙レセプト医療機関のほか柔道整復師・あんまマッサージ師・鍼灸師の施術所等でも、この「簡素なオンライン資格確認等システム」が導入され、「100%の医療施設等でマイナンバーによる保険診療等を受けられる環境」が整うことになります。

もっとも、「マイナンバーカードを持たない患者にどう対応するのか」「セキュリティを十分に確保し、国民の信頼を得る工夫が必要である」などの課題もあり、今後、検討を深めていくことになります。

10月28日に開催された「第156回 社会保障審議会 医療保険部会」

100%の医療機関で「マイナンバーカードによる保険診療受診」に対応できる環境整う

河野太郎デジタル大臣が先頃「現行の保険証を2024年秋に廃止し、マイナンバーカードによる医療機関受診に切り替える」方向を打ち出しました。

医療DXが推進され、例えば「どの医療機関でも、患者の同意の下で過去の診療情報を閲覧・共有できる」環境が整えば、まったくの初診患者であっても「かかりつけ医と同様の医療サービスを受けられる」ことが可能になるなど、医療の質が飛躍的に向上することが期待されます。このため「医療DX推進」方向に反対する声はありません。

ただし、保険証を廃止した場合には、ぱっと思いつくだけでも、▼「マイナンバーが付されておらず、カードも当然所持していない新生児はどのように医療機関を受診するのか」「ICTに疎い高齢者等にどのように浸透させていくのか」などの患者・国民サイドの課題▼「インターネット環境が十分でない、離島や山村などで、どのような対応をとるのか」「高齢医師の1人で運営するクリニックなど(オンライン資格確認等システムの導入義務を除外)で、どのような対応をとるのか」などの医療施設サイドの課題▼「カードを紛失した場合に、保険診療をどのように受けるのか(再発行までに一定の時間がかかる」「情報漏洩などの心配はないのか」などのセキュリティ上の課題—が存在します。

これから、こうした課題の解決法を探っていくことになりますが、10月28日の医療保険部会には、上述のうち「医療施設サイドの課題」の解決方法案が提示されました。

オンライン資格確認等の面から見ると、医療施設は▼オンライン資格確認等システムが導入される医療施設▼オンライン資格確認等システムが導入されない医療施設—に分けることができます。

医療機関や薬局のほとんどは「前者のオンライン資格確認等システムが導入される医療機関」となり(療養担当規則等の見直しにより来年(2023年)4月からオンライン資格確認等システムの導入が義務化される、関連記事はこちらこちらこちら)、ここについては「マイナンバーカードの保険証利用」による医療機関受診に問題は生じません。

オンライン資格確認等システムの導入促進に向けた診療報酬上の対応(中医協総会(1)1 220810)

オンライン資格確認等システムの導入促進に向けたシステム改修費等支援の拡充(中医協総会(1)2 220810)



また、訪問看護ステーションについては、看護師等が持参するモバイル端末でオンライン資格確認等を行う仕組みが構築されます(関連記事はこちら)。こにでも「マイナンバーカードの保険証利用」による医療機関受診に問題は生じません。

オンライン診療でのオンライン資格確認等システム案(医療保険部会(2)5 220819)



一方、後者のオンライン資格確認等システムが導入されない医療施設には、次のようなものがあります。
▼紙レセ請求などを行っており、オンライン資格確認等システムの導入が義務化されないクリニック等(「手書きでレセ作成している医療機関等」「電子請求義務化時点で65歳以上(現在は概ね75歳以上)の医師等の医療機関等」で、全体の約4%にあたる)
▼柔道整復師・あんまマッサージ師・鍼灸師の施術所等

こうした「オンライン資格確認等システムが導入されない医療機関」では、保険証が廃止された暁には「どのように受診すればよいのか」という大きな疑問がわきます。

この点、厚生労働省は次のような「簡素なオンライン資格確認等システムを導入する」ことで対応する方向を打ち出しました。

▽資格確認(どの医療機関に受診しているかの確認、現在は保険証を元に行っている)のみを行う簡素なシステムとする

▽「汎用のカードリーダー・パソコン等・一般のインターネット回線」、「国から配布される「資格確認用のアプリケーションソフト」を用いて、オンライン資格確認等システムから「資格情報」のみを取得する(過去の診療情報などへのアクセスはできない)

紙レセ医療機関等に新たに導入される「簡素なオンライン資格確認等システム」のイメージ案(医療保険部会(1)1 221028)



詳細はこれから詰めていきますが、病院等で行われる「医事システムの導入・改修」などは不要となる見込みで、導入のハードルは極めて低くなると考えられます(既存のパソコンに汎用のカードリーダーをつなぎ、資格確認用アプリをインストールするのみというイメージ)。



これにより、100%の医療施設において「マイナンバーカードによる保険診療受診が可能」な環境が整うことになります。
▼オンライン資格確認等システムが導入される医療施設
→オンライン資格確認等システムにより、「マイナンバーカードによる保険診療受診」が可能
▼オンライン資格確認等システムが導入されない医療施設
→新たな「簡易なオンライン資格確認等システム」により、「マイナンバーカードによる保険診療受診」が可能

2024年秋の保険証廃止に向け、▼マイナンバーカードの様式等見直し▼アプリ開発▼医療施設への配布▼国民等への周知—を進めることになります。これらに係る経費(アプリ改修経費など)は新たな経済対策の中に盛り込まれる見込みです。

なお、「医療施設サイドの課題」以外の課題(マイナンバーカードを持たない場合の取り扱い、セキュリティの確保など)については、今後、必要な検討を行っていく考えが厚労省から示されています。

こうした方向に対し医療保険部会委員から反対の声は出ていませんが、多くの委員が「保険証が廃止された後に、保険診療の実施に支障がでないように万全を尽くすべき」と注文しています。また、▼解決しなければならない課題が多数ある。具体的な工程表を遡及に示し、現場(医療機関や保険者など)と協議して丁寧に進めてほしい(佐野雅宏委員:健康保険組合連合会副会長)▼オンライン資格確認等システムの導入が加速しているが、マイナンバーカードを持参する患者は少ない。「マイナンバーカードによる保険診療受診」の呼びかけを行うべき(池端幸彦委員:日本慢性期医療協会副会長)▼▼高齢者などでは新たな仕組みに不安や苦手意識を持ちがちであり、丁寧な説明とフォローを行う必要がある(横尾俊彦委員:全国後期高齢者医療広域連合協議会会長/佐賀県多久市長)—などの意見も出ており、厚労省は、こうした声も踏まえながら、新たな制度設計や準備を進めていくことになります。

なお、オンライン資格確認等システムの導入状況をみると、カードリーダー申し込みは「義務化医療機関等の90.6%」に達しましたが、運用開始は「同じく35.0%」にとどまっています(本年(2022年)10月23日時点)。委員からは導入促進を強化すべきとの声が数多くでており、水谷医療介護連携政策課長は「医事システムの改修などを行うベンダーに、さらなる協力を要請している」旨をコメントしています。

オンライン資格確認等システムの導入状況、マイナンバーカードの保険証利用状況(医療保険部会(1)2 221028)



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