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GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

オンライン資格確認等システム導入の経費補助を充実、医療機関等は「早期の申し込み、システム改修」に努めよ—厚労省

2022.8.19.(金)

Gem Medで既報のとおり、【8月10日の中央社会保険医療協議会・総会で「オンライン資格確認等システムの導入促進」に向けて、▼療養担当規則などを見直し、来年(2023年)4月から、保険医療機関等は「オンライン資格確認等システム導入」を原則義務化する▼この10月から【電子的保健医療情報活用加算】を廃止し、新たに初診料の新加算【医療情報・システム基盤整備体制充実加算】を設ける—旨を決定しました。

さらに政府は、オンライン資格確認等システム導入経費に関する補助を充実することも決定しており、本稿では、その詳細を見てみます。

オンライン資格確認等システム導入に係るシステム改修経費の補助を充実

Gem Medで繰り返し報じているとおり「オンライン資格確認等システムの導入」推進が非常に重要な政策テーマになっています。

オンライン資格確認等システムは「患者の資格確認(どの医療保険に加入しているのかの確認)を円滑・確実に行う」仕組みですが、そのインフラを活用して「患者の診療情報(現時点では特定健康診査情報、薬剤情報)を医療機関等が確認し、診療内容に活かす」ことが可能となっています(近くレセプト情報、さらに将来的に電子カルテ情報にまで情報共有を拡大していく、関連記事はこちらこちらこちらこちら)。

全国の医療機関での電子カルテ情報共有するにあたり「オンライン資格確認等システムのインフラ」を活用する方針を決定(医療情報ネットワーク基盤WG1 220516)



こうした仕組みのメリットを最大限に活かすためには「すべての医療機関がオンライン資格確認等システムを導入・運用し、すべての患者がマイナンバーカードの保険証利用を行う」ことが求められますが、導入・運用医療機関等が少ないのが実態で、本年(2022年)7月31日時点の状況を見ると次のような状況にとどまっています。

(i)顔認証付きカードリーダー申し込み済の医療機関・薬局:61.5%

(ii)オンライン資格確認等の準備が完了した医療機関・薬局:31.1%

(iii)オンライン資格確認等の運用を開始した医療機関・薬局:26.1%

本年(2022年)7月31日時点のオンライン資格確認等システム導入等の状況



顔認証付きカードリーダーシステムは「無償供給」されますが、「患者の診療情報を参照する仕組み」を院内で構築するためには、「院内の情報システム」と「オンライン資格確認等システム」とを連結するなどのシステム改修が必要となり、ここには「高額なコスト」が生じるため、導入に二の足を踏んでいる医療機関等が少なくないようです。

この点、昨年(2021年)3月31日までに顔認証付きカードリーダーを申し込んだ医療機関では、システム改修費が一定の上限付きで「全額補助」されていましたが、4月1日以降の申し込みでは「2分の1の補助」となっていました。

厚生労働省と財務省は「オンライン資格確認等システム導入促進に向けて、補助を充実する必要がある」との観点で調整を行ってきており、今般、その内容が整ったものです。厚労省保険局医療介護連携政策課の水谷忠由課長は、次のような「補助の充実」を行うことを8月10日の中医協総会で報告しています。

▽本年(2022年)6月7日から本年末(2022年12月末)までに顔認証付きカードリーダーを申し込むとともに、来年(2023年)2月末までにシステム事業者との契約を結んだ医療機関・薬局について、次のような補助の充実を行う(従前どおり、来年(2023年)3月末までに事業を完了し、同年6月末までの交付申請することが必要)

▼病院:補助率は「2分の1」を維持したまま、補助上限額を従前の2倍に引き上げる(例えば、1台申し込みであれば、事業額の2分の1(上限210万1000円)であったところ、事業額の2分の1(上限過420万2000円)を補助する)(半数以上の病院が事業額の上限を超過していることを踏まえた見直し)

▼診療所・薬局(大型チェーン薬局以外):経営規模を踏まえ「実費補助」(つまり全額補助)とする

▼大型チェーン薬局:補助基準内にほぼ収まっていることから現状を維持する

オンライン資格確認等システムの導入促進に向けたシステム改修費等支援の拡充(中医協総会(1)2 220810)



補助対象となるのは、▼マイナンバーカードの読取・資格確認等のソフトウェア・機器の導入▼ネットワーク環境の整備▼レセプトコンピュータ、電子カルテシステム等の既存システムの改修—などで、消費税分(10%)も補助対象に含まれます。



ところで、補助が薄くなっていた期間(昨年(2021年)4月から今年(2022年)6月6日)に顔認証付きカードリーダーを申し込んだ施設においては、上述(ii)(iii)のように「オンライン資格確認の運用が進んでいない」状況があります(補助が薄く、高額なシステム改修が進んでいない)。

この点、「運用を促進する」((i)はもちろん、(ii)(iii)のパーセンテージを高めていく)ために、「今年(2022年)6月7日から来年(2023年)1月末までに運用開始した施設」については、別途の補助(「これまでの補助」と「充実した補助」との差額補填)を行う考えも水谷医療介護連携政策課長は示しています。



さらに、それ以前(昨年(2021年)3月末まで)に顔認証付きカードリーダーを申し込んだ意欲的な医療機関・薬局については「上限額まで実費を補助する」特例も実施されます。

申し込み遅れに起因するシステム導入遅れ、「救済すべきでない」との指摘ある点に留意

保険医療機関・薬局においては「オンライン資格確認等システム導入が義務化される」点を踏まえ、急ぎ、「顔認証付きカードリーダーシステムの申し込み」「システム改修」などに努める必要があります。水谷医療介護連携政策課長は「補助の申し込み期限は『最も遅い』ケースを想定しており、より早期の申し込み・契約を進めてほしい」と医療機関・薬局に要請しています。

この点、例えば「補助申請が遅れた」「契約が遅れた」ために、来年(2023年)4月の「オンライン資格確認等システム導入が間に合わない」場合の対応が気になります。

療養担当規則の改正内容に照らせば「オンライン資格確認等システム導入が間に合わない」医療機関等では、「システム導入まで保険指定が取り消される」ことになります。保険指定が取り消されれば、ほとんどの患者は当該医療機関等の受診を控え、他の医療機関等を選択することになるでしょう(10割負担を避け、3割負担の医療機関等に流れる)。この場合、「経営の破綻」にもつながりかねません。

このため、中医協では診療側委員から「導入が遅れた場合には、紋切り型に保険指定取り消しとせず、救済措置などを検討してほしい」との要望が出ていますが、支払側委員は「申し込みが遅れ、それが原因で導入が間に合わないケースは『やむを得ない事情がある』とは言えず、救済措置の対象にすべきでない」と強く指摘しています(関連記事はこちら)。

現時点では救済措置の内容や要件は不明であり、医療機関・薬局等は「一刻の早い顔認証付きカードリーダーの申し込み、システム改修を行うベンダーの選定、改修計画の作成」などに努める必要があります。



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