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【2022年度診療報酬改定答申5】地域医療体制確保加算、医師事務作業補助体制加算、夜間看護配置に関する加算を軒並みアップ

2022.2.10.(木)

2月9日の中央社会保険医療協議会・総会で、2022年度次期診療報酬改定に関する答申が行われ、新点数・新施設基準などの大枠が確定しました(急性期入院医療に関する記事はこちら、高度急性期入院医療に関する記事はこちら、地域包括ケア病棟に関する記事はこちら、回復期リハビリ病棟に関する記事はこちら)。

●2022年度診療報酬関係の資料(告示内容等)はこちら(中医協資料)

本稿では「医療従事者の働き方改革」に焦点を合わせます。

2024年4月から、勤務医に新たな時間外労働規制(原則となるA水準では年間960時間以内、救急医療などのB水準・研修医などのC水準などでは例外的に同じく1860時間以内)が適用されるため「医師の働き方改革」が急務です。その一環として「医師から他職種への業務移管(タスク・シフティング)」が重視されますが、移管を受けた他職種の業務が過剰となってはいけないため、「別の他職種へのタスク・シフティング」を合わせて行う必要があり、結果として「医療従事者全体の働き方改革」が極めて重要となってきます。その際には、「どの業務をどの職種が担当することが医療の質向上に結び付くか」という視点が重要です。2022年度診療報酬改定でも、この視点を重視した改定項目が並んでいます。

医師働き方改革の全体像(中医協総会1 210721)

地域医療体制確保加算の点数引き上げ、救急搬送1000件以上の小児病院などでも算定可

2020年度の前回診療報酬改定では、医師働き方改革をサポートするために【地域医療体制確保加算】が創設されました。2020年度の前回改定で新設されました。「勤務医の負担が極めて大きいと考えられる、救急医療に力を入れている病院」で、真っ先に医師の業務負担軽減に向けた取り組みを進めてもらう必要があることから、▼年間2000件以上の救急搬送患者を受け入れていること▼勤務医の負担軽減・処遇改善に積極的に取り組んでいること―などの施設基準を満たす病院において、入院患者に対して入院初日に520点の算定を認めるものです。

2022年度の今回改定では、この【地域医療体制確保加算】について次のような見直しが行われます。

▽点数を「520点」から「620点」に引き上げる

▽▼救急搬送受け入れ件数が年間1000件以上で、【ハイリスク分娩管理加算】・【総合周産期特定集中治療室管理料】・【小児特定集中治療率管理料】・【新生児特定集中治療室】のいずれかを届け出ている病院▼総合周産期母子医療センター▼地域周産期母子医療センター―でも取得可能とする

▽施設基準で求められていた「勤務医の負担軽減・処遇改善計画」作成要件について、「医師労働時間短縮計画作成ガイドライン」に基づいた「医師労働時間短縮計画」作成に改める(B水準・C水準指定を目指す病院においては「『医師労働時間短縮計画作成ガイドライン』に基づいた『医師労働時間短縮計画』の作成」が必須となるため)

夜間の看護配置に関する加算点数を引き上げ、負担軽減要件を厳格化

また医療従事者の労働環境改善等に向けて、次のような見直しが行われます。

(1)手術・処置の【休日加算1】、【時間外加算1】、【深夜加算1】について次のような見直しを行う
▽記録要件について、「予定手術前日の当直等」に加えて、「2日以上の連続当直」を加える
▽当直要件(現在、当直医が6人以上の場合には予定手術前日当直制限が通常の12日から24日に緩和される)について、「予定手術前日の当直が4日以内」かつ「2日以上の連続当直が年4日以内」に改める

(2)夜間の看護・看護補助配置強化を評価する加算について点数引き上げ(各5点)を行う
【対象加算】
▼夜間看護加算(療養病棟):現在は45点→改定後は50点
▼看護補助加算(障害者施設等):現在は14日以内141点、15-30日116点→改定後は同じく146点、121点
▼夜間看護配置加算(有床診療所):現在は加算1が100点、加算2が50点→改定後は同じく105点、55点
▼夜間急性期看護補助体制加算(30対1、50対1、100対1)(急性期看護補助体制加算の上乗せ加算):現在は30対1が120点、50対1が115点、100対1が100点→改定後は同じく125点、120点、105点
▼看護職員夜間配置加算(12対1、16対1):現在は12対1のイが105点、ロが85点、16対1のイが65点、ロが40点→改定後はそれぞれ110点、90点、70点、45点
▼夜間75対1看護補助加算:現在は50点→改定後は55点
▼看護職員夜間配置加算(地域包括ケア病棟):現在は65点→改定後は70点
▼看護職員夜間配置加算(精神科救急):現在は65点→改定後は70点
▼看護職員夜間(精神科救急・合併症入院料):現在は65点→改定後は70点

(3)【夜間看護体制加算】(急性期看護補助体制加算)等の施設基準における「夜間における看護業務の負担軽減に資する業務管理等に関する項目」について、「勤務間インターバル11時間以上」または「連続夜勤2回以下」のいずれかを満たすことを必須化する
【対象加算】
▼夜間看護体制加算(急性期看護補助体制加算)
▼夜間看護体制加算(障害者施設等)
▼看護職員夜間配置加算(12対1、16対1)
▼夜間看護体制加算(看護補助加算)

(4)【看護職員夜間配置加算】(精神科救急入院料、精神科救急・合併症入院料)の施設基準における「夜間における看護業務の負担軽減に資する業務管理等に関する項目」について、満たすべき項目数を「2項目以上」から「『勤務間インターバル11時間以上』または『連続夜勤2回以下』のいずれかを満たす3項目以上」に厳格化する

医師事務作業補助体制加算、点数を引き上げ「3年以上のベテラン」確保・定着を目指す

さらにタスクシフティング・タスクシェアリングを推進するために、次のような見直しが行われます。

【医師事務作業補助体制加算1】について、「3年以上の勤務経験を有する医師事務作業補助者が、それぞれの配置区分ごとに5割以上配置されている」ことを要件化し、加算1・2の点数を以下のように引き上げる(医師の業務負担軽減効果の高い「3年以上経験を持つクラーク」の給与アップ・職場定着が図られると期待)
【加算1】
・15対1:現在は970点→改定後は1050点
・20対1:現在は758点→改定後は835点
・25対1:現在は630点→改定後は705点
・30対1:現在は545点→改定後は610点
・40対1:現在は455点→改定後は510点
・50対1:現在は375点→改定後は430点
・75対1:現在は295点→改定後は350点
・100対1:現在は248点→改定後は300点
【加算2】
・15対1:現在は910点→改定後は975点
・20対1:現在は710点→改定後は770点
・25対1:現在は590点→改定後は645点
・30対1:現在は510点→改定後は560点
・40対1:現在は430点→改定後は475点
・50対1:現在は355点→改定後は395点
・75対1:現在は280点→改定後は315点
・100対1:現在は238点→改定後は260点

▽【精神科リエゾンチーム加算】【栄養サポートチーム加算】【褥瘡ハイリスク患者ケア加算】【呼吸ケアチーム加算】について「専門的な研修を受けた者」の配置が要件となっているが、そこに「特定行為研修を修了した看護師」を組み込む(特定行為研修修了者へのタスク・シフティング推進が図られると期待)

▽【病棟薬剤業務実施加算1】について、【小児入院医療管理料】算定病棟でも算定可能とする

▽手術室の薬剤師が病棟の薬剤師と薬学的管理を連携して実施することを、新たに【周術期薬剤管理加算】(【麻酔管理料(I)(II)に75点を加算】として評価する(院内に周術期の薬学的管理を行う専任薬剤師を配置し、病棟薬剤業務実施加算1を取得していることが必要)

▽看護補助者の活用を推進するため、看護補助者との業務分担・協働に関する看護職員を対象とした研修実施等、看護補助者の活用に係る十分な体制を整備する病棟を、新たに【看護補助体制充実加算】として評価する(加算を取得するためには夜間16対1以上の看護・看護補助配置、ADL区分3患者が5割以上、看護職員の負担軽減・処遇改善体制整備などを満たすことが必要)
▼年間200名以上の緊急入院患者受け入れ等を行う病院等で取得できる【急性期看護補助体制加算】(【看護補助体制充実加算】として5点を上乗せし、次のように点数を引き上げる)
・25対1(看護補助者5割以上):現在は240点→改定後は245点
・25対1(看護補助者5割未満):現在は220点→改定後は225点
・50対1:現在は200点→改定後は205点
・75対1:現在は160点→改定後は165点
▼地域一般等で取得できる【看護補助加算】(【看護補助体制充実加算】として5点を上乗せし、次のように点数を引き上げる)
・加算1:現在は141点→改定後は146点
・加算2:現在は116点→改定後は121点
・加算3:現在は88点→改定後は93点
▼療養病棟
・夜間看護加算:現在は45点→改定後は50点
・(新)看護補助体制充実:55点
▼障害者施設等
・看護補助加算:現在は14日以内141点、15-30日116点→改定後は同じく146点、121点
・(新)看護補助体制充実加算:14日以内151点、15-30日126点
▼地域包括ケア病棟
・看護補助者配置加算:変更なく160点
・(新)看護補助体制充実加算:165点

新設される【看護補助体制充実加算】については、例えば▼看護補助活用にかかる所定研修を終えた看護職員の配置▼病棟の全看護職員への「看護補助者へのタスクシフティングにかかる院内研修」実施▼看護補助者への日常生活支援にかかる業務手順・留意点に関するマニュアル整備や研修実施—などが施設基準・要件に盛り込まれる予定で、3月上旬の告示・通知で詳細が明らかにされます。

入退院支援加算等のカンファレンス、「オンラインでの実施」も可能に

医療従事者の働き方改革を進めるためには、「ICT等の利活用」により業務内容そのものをスリムにすることも非常に重要です。少子化の進展等で人材確保が困難になる中では、この点の重要性がますます高くなっていきます。2022年度診療報酬改定では次のような項目が盛り込まれました。

▽【入退院支援加算】、【感染対策向上加算】(感染防止対策加算を改組)、【退院時共同指導料1・2】、【介護支援等連携指導料】、【退院時共同指導加算】(訪問看護療養費)において、カンファレンスなどを「ビデオ通話システム等を用いてオンラインで実施する」ことを認める

▽【在宅患者訪問看護・指導料】、【同一建物居住者訪問看護・指導料】、【在宅患者緊急時等カンファレンス料】、【在宅患者訪問褥瘡管理指導料】、【在宅患者緊急時等カンファレンス加算】(訪問看護療養費)における「カンファレンス」について、「1者以上が患家に赴きカンファレンスを行う場合は、その他の関係者はビデオ通話が可能な機器を用いた参加でよい」とする

▽「研修終了証」の添付義務廃止、レセプト摘要欄の選択式拡大など事務負担軽減を進める

▽【診療録管理体制加算】に係る定例報告において、▼電子カルテの導入状況▼HL7 FHIR(電子カルテ情報を共有等するための標準規格)の導入状況―に関する報告も求めることとする(電子カルテの標準化に向けた取り組みを推進するため、関連記事はこちら



なおGem Medでは改定セミナー動画も準備しております。是非、あわせてご活用ください。



【これまでの2022年度改定関連記事】
◆議論の整理(改定項目一覧)に関する記事はこちら
◆入院医療の全体に関する記事はこちら(入院医療分科会の最終とりまとめ)こちら(入院医療分科会の中間とりまとめを受けた中医協論議)こちら(入院医療分科会の中間とりまとめ)こちら(入院総論)
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◆消費税対応の是非に関する記事はこちら
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◆答申附帯意見に関する記事はこちら
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看護必要度やリハビリ実績指数などの経過措置、コロナ対応病院で来年(2022年)3末まで延長―中医協・総会(1)
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一部のDPC病棟は「回復期病棟へ入棟する前の待機場所」等として活用、除外を検討すべきか―入院医療分科会(3)
ICUの看護必要度においてB項目は妥当か、ICU算定日数を診療実態を踏まえて延長してはどうか―入院医療分科会(2)
救急医療管理加算、加算1・加算2それぞれの役割を踏まえながら「対象患者要件」の明確化・厳格化など検討していくべき―入院医療分科会(1)
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かかりつけ医機能・外来機能分化を進めるための診療報酬、初診からのオンライン診療の評価などを検討―中医協総会(2)
感染症対応とる医療機関を広範に支援する【感染対策実施加算】を恒久化すべきか―中医協総会(1)
2020年度改定で設けた看護必要度IとIIの基準値の差は妥当、「心電図モニター管理」を含め患者像を明確に―入院医療分科会(2)
急性期入院の評価指標、看護必要度に加え「救急搬送や手術の件数」「ICU設置」等を組み合わせてはどうか―入院医療分科会(1)
2022年度診療報酬改定に向け「入院医療改革」で早くも舌戦、「看護必要度」などどう考えるか―中医協総会
大病院の地ケアでpost acute受入特化は是正されているか、回リハ病棟で効果的リハ提供進む―入院医療分科会(3)
適切なDPC制度に向け、著しく「医療資源投入量が少ない」「自院の他病棟への転棟が多い」病院からヒアリング―入院医療分科会(2)
看護必要度II病院で重症患者割合が増、コロナ対応病院よりも「未対応」病院で重症患者割合増が顕著―入院医療分科会(1)
不妊治療の方法・費用に大きなバラつき、学会ガイドライン踏まえ「保険適用すべき不妊治療技術」議論へ―中医協総会(3)
2022年度診療報酬改定論議、コロナ感染症の影響など見据え7・8月に論点整理―中医協総会(1)

医療部会も2022年度改定基本方針案を了承、12月10日の中医協に報告されるが正式諮問は年明けに—社保審・医療部会(1)
2022年度改定基本方針を了承、医療提供体制改革・医師働き方改革が重点課題—社保審・医療保険部会
2022年度診療報酬改定の基本方針策定は目前、オンライン資格確認稼働から1か月間の状況は―社保審・医療保険部会
2022年度診療報酬改定、「強固な医療提供体制の構築」「医療従事者の働き方改革」が重点課題―社保審・医療部会
かかりつけ医制度化を検討すべきか、感染症対策と医療提供体制改革はセットで検討を―社保審・医療保険部会(1)
平時に余裕のない医療提供体制では有事に対応しきれない、2022年度診療報酬改定での対応検討を―社保審・医療部会(1)
コロナ感染症等に対応可能な医療体制構築に向け、2022年度診療報酬改定でもアプローチ―社保審・医療保険部会(2)
「平時の診療報酬」と「感染症蔓延時などの有事の診療報酬」を切り分けるべきではないか―社保審・医療部会
診療報酬で医療提供体制改革にどうアプローチし、医師働き方改革をどうサポートするか―社保審・医療保険部会(1)

中小規模医療機関の標準準拠電子カルテ導入、基金や診療報酬活用して支援へ―医療情報ネットワーク基盤WG