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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

かかりつけ医制度化を検討すべきか、感染症対策と医療提供体制改革はセットで検討を―社保審・医療保険部会(1)

2021.10.25.(月)

2022年度の次期診療報酬改定に向けた基本方針では、現下の「新型コロナウイルス感染症」をはじめとする新興感染症に対応できる医療提供体制の構築」を主眼におくが、そこでは「医療機能の分化・連携の強化」をセットで考えていく必要がある―。

「かかりつけ医」の制度化を求める声もあるが、それは果たして患者・国民のためになるのだろうか―。

10月22日に開催された社会保障審議会・医療保険部会で、こうした議論が行われました。

10月22日に開催された「第146回 社会保障審議会 医療保険部会」

「かかりつけ医の制度化」、患者・国民のためになるのか

診療報酬改定に向けた議論は、かつて中央社会保険医療協議会を舞台とした汚職事件が発生したことを踏まえて、▼基本方針を社会保障審議会の医療保険部会と医療部会で決定する▼改定率(つまり財源配分の大枠)を内閣が予算編成過程で決める▼基本方針と改定率を受け、中医協で改定内容を詰める―という役割分担が行われています。すでに中医協では個別具体的な第2ラウンド論議に入っていることがGem Medで報じているとおりです。

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◆基本方針策定論議に関する記事はこちら(医療部会2)こちら(医療保険部会2)こちら(医療部会1)こちら(医療保険部会1)



医療保険部会・医療部会でも基本方針策定論議が進んでおり(関連記事はこちら(医療部会2)こちら(医療保険部会2)こちら(医療部会1)こちら(医療保険部会1))、10月22日の医療保険部会には、これまでの委員意見等を踏まえて▼改定に当たっての基本認識▼基本的視点▼具体的方向性―の案が厚生労働省保険局医療介護連携政策課の水谷忠由課長から示されました。

このうち基本的視点については、これまでに「新興感染症等に対応できる医療提供体制構築と、医療機能の分化・強化とはセットで考えるべき」との意見が多数出ていることを踏まえ、水谷医療介護連携政策課長は、次の4つの柱に整理しました。
(1)新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築 【重点課題】
(2)安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革等の推進【重点課題】
(3)患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現
(4)効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上

この柱に沿った具体的な方向性も打ち出されており、(1)では例えば▼新型コロナウイルス感染症対応▼医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価▼外来医療の機能分化▼かかりつけ医機能等の評価▼質の高い在宅医療・訪問看護の確保―などを診療報酬で推進していく考えが示されました。

また(2)では▼医師から他職種へのタスク・シフティング等の推進▼業務の効率化に資するICT利活用の推進―などが具体的な方向として示されました。

他方(3)では、▼医薬品の安定供給▼ICT・デジタル化の推進▼アウトカムに着目した評価―のほか、がんや認知症などの疾病対策を進める考えも明確化されました。

さらに(4)では▼後発医薬品の使用促進▼費用対効果評価制度の活用▼重症化予防▼医薬品の適正使用推進―など、より幅広い効率化・適正化方針が示されました。

2022年度診療報酬改定の基本的視点案(医療保険部会(1)2 211022)

2022年度診療報酬改定の基本認識案(医療保険部会(1)1 211022)



委員からは、前回に続き「こういった点を具体的に明示すべきではないか」(明示によって、中医協に医療保険部会等からのメッセージが届きやすくなる)という提案が出されています。

多くは前回と同じ意見・提案ですが、例えば佐野雅宏委員(健康保険組合連合会副会長)や藤井隆太委員(日本商工会議所社会保障専門委員会委員)、安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)らは「かかりつけ医機能の明確化・制度化を進める必要があり、2022年度診療報酬改定でもその点を踏まえるべき」旨が強く指摘されました。健保連では「医療保険制度の持続可能性確保に向けて、かかりつけ医の要件を法令等で明確すべき」旨の提言を行っており、それと内容を同じくする主張です。

これに対して、医療提供サイド代表の1人である松原謙二委員(日本医師会副会長)は「かかりつけ医には、さまざまな要素・機能・役割があり、法的な制度化などはできないであろうし、その方向も間違っている。仮にがちがちな『かかりつけ医制度』をつくれば患者・国民に迷惑がかかる。かかりつけ医機能を1つづつ診療報酬で評価し、機能を充実させていくことが大事である」と反論しています。

中医協でも同様の議論が行われています。



また池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長、福井県医師会長)や秋山智弥委員(日本看護協会副会長)は「人材の確保、平時でも幾分余裕のある人材配置」の重要性を強調しました。両委員とも、平時でもギリギリの人員配置(医師、看護師、メディカル・スタッフ)であれば、コロナ感染症の大流行など有事には「すぐにパンクしてしまう」ことを自明であるとし、「一定程度余裕・ゆとりのある人員配置が可能となる診療報酬」設定の必要性を訴えています。



医療保険部会と並行して医療部会でも論議が行われており、12月初旬までには基本方針が策定される見込みです。



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